カスタマーエクスペリエンスフォーラム2019 レビュー
@ホテル雅叙園東京

顧客満足だけではない!成果につながる顧客体験とは?
~CVR30%増などWeb接客成功事例から秘訣を解説~

株式会社Sprocket

デジタルであっても優れた顧客体験は、優れた接客があってこそ実現する。Sprocketが提唱するWeb接客は、コンバージョンアップなど具体的な成果をもたらす。

店頭での接客を参考にスマホ時代の接客をデザインすべき

Sprocket代表取締役深田 浩嗣 氏

 冒頭Sprocketの深田氏は、「良質な顧客体験はビジネスの成果につながります。その大きなヒントは“接客”にあります」と語る。同社が目指すのは、単なるデジタルでの接客向上にとどまらない、導入企業が事業として成果を出すことだ。

 それでは顧客体験とはどのようなものなのだろうか。マーケッターが考える重要な顧客体験としては、チャネルを横断した体験の一貫性、レコメンド・パーソナライズ、ロイヤリティプログラムなどが挙げられる。しかし、ユーザーに不満を聞いてみると、実は情報を見つけにくい、検索結果が不親切といった回答が多い(※1)。「課題発想の起点をユーザーに置いてどんな顧客体験をデザインすべきかを考える必要があります」と深田氏。

 例えばかご落ち(ECサイトで商品をカートに入れたにもかかわらず購入しないこと)の理由をユーザーに聞くと、上位は「送料や手数料などが高い」、「選べる支払い方法が少ない」、「配送日が遅い」などである(※2)。つまり、顧客は不安や不満があって離脱している。そんな人に別な商品を勧めても意味はなく、困りごとがないかを聞いて不安を解消する方が有効だ。

 もう1つ考えるべきは、従来PCで情報を能動的に探していた時代とスマホ時代では、情報接触の前提が異なっているということだ。スマホで情報に接する場合は「ながら」になりがちで、集中しづらい。スマホの画面は小さく情報が限られている一方で、ネットには情報が溢れ、自分が求める情報がどんどん見つけにくくなっている。「もはやユーザーは情報を見つけられないという前提でWebサイトの設計をすべきです」(深田氏)

デキる店員の接客をWeb上で再現

 このような現状に対し、ヒントとすべきは「接客」だ。実際の店舗では、店員が顧客の様子を観察し、状況に応じて声をかける。深田氏は、このようなデキる店員が実践する接客をWeb上で再現する「Web接客」を提唱する。そのためには、一人ひとりの状態を把握し、適切な対応をとることが重要だ。

 今回深田氏が紹介したのは、ポップアップを活用したWeb接客である。顧客の購入履歴やWebサイト内での行動データ、店舗での購買データなど様々なデータを活用し、Webサイト内での行動をリアルタイム判定。状況に合わせて適切なポップアップを配信する。その後ABテストなどで効果判定を行い、必要に応じてシナリオを見直す。

 Web接客の特徴は、既存のWebサイトに手を入れる必要がなく、既存のWebサイトの構造に縛られず、どこにでもポップアップを出すことができることにある。また、ページ遷移やスクロールもコントロールできるので、Webサイト内を案内するような体験を提供できる。

 Sprocketは、このような優れた顧客体験を可能にするWeb接客の実現をサポート。ノウハウ提供だけでなく運用も提案。数値に強くコミットし、半年で約9割の顧客が当初設定した目標を達成する。データの連携や活用に関する実績も豊富で、接客AIの活用など最新テクノロジーにも強い。

適切なタイミングでの適切な声がけが成果をもたらす

 ここから深田氏は、同社が手掛けた成功事例を紹介。

 まず、セカンドハンドショップを展開するコメ兵では、かご落ち対策として、カートに商品を入れたにもかかわらず購入手続きに踏み切れないユーザーにFAQへのリンクを表示。返品の可否、配送にかかる時間などユーザーのよくある疑問にすぐに答えられるようにした。これにより、購入完了率が25%向上したという。

 かご落ち対策としては、他にも顧客の状態に合わせて、初回購入者特典の表示や送料無料の案内、希少在庫のアピールなど打ち手はいろいろあり、思いつくケースをシナリオ化して試し、改善を繰り返すことで成果へとつながっていく。

購入直前のタイミングで、顧客の状況に合わせてそれぞれ適切なポップアップを表示。これにより、かご落ちを防ぎコンバージョンアップが期待できる

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 ワコールでは情報収集支援として利用。たとえば同社のサイトでブラジャーを選ぼうとすると600件以上がヒットし、なかなか選べない。そこで、探し方の切り口を提案し、それをタップすることで好みに合わせて絞り込んだ商品だけが表示されるようにした。これにより、購入完了率が25%改善した。

 三井住友カードでは、リボ払いの気づき促進を目的に利用。リボ払いはそもそも優先的に検討するわけではない商材。案内を出すことで閲覧者が増え、実際読むと悪くないと思ってもらえて、利用申し込み率が2.5倍増加した。このような未知のことを気づかせるシナリオは、高い効果が見込める。

 また、メディケア生命では、保険のプランができたところでポップアップを表示し、計算された保険料だけを見て離脱するユーザーの引き留めに成功。「家族でじっくり考えたい」といった選択肢を出し資料請求を促すことで、資料請求率が80%向上した。

 「できることはいろいろあります。要素は、ポップアップを出す場所、タイミング、内容の3つで、ポイントは試行錯誤です。実際にデキる店員は試行錯誤を繰り返します。試して改善を繰り返すことで精度を高めることができます」(深田氏)

  • ※1 出典
  • ※2 Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2018年1月度)/マーケティングリサーチキャンプ

INDEX

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BtoB企業における営業活動のデジタルシフト
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岩崎 也寸志 氏

優れたカスタマーエクスペリエンスの鍵を握る、データマネージメントの重要性
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