カスタマーエクスペリエンスフォーラム2019 レビュー
@ホテル雅叙園東京

アプリが可能にする顧客体験向上と
ロイヤルカスタマー醸成

株式会社ヤプリ

スマートフォンアプリを活用した販促の成功事例や効果的なダウンロード施策、アプリ開発を容易にするソリューションをヤプリの島袋氏が紹介した。

得意客(ファン)とのコミュニケーションに最適な専用アプリ

ヤプリコミュニケーション本部
コミュニティマネージャー/マーケティングスペシャリスト
島袋 孝一 氏

 スマートフォンの普及率が高まるにつれ、アプリ関連の経済圏も拡大を続け、2017年で820億ドル、2021年には1390億ドルにまで伸びることが予想されている(※1)。また、従来アプリの多くがゲームであったが、現在は非ゲームアプリが拡大しており、単なる暇つぶし以上の価値を提供するアプリが伸びている。SNS上で気に入った商品を直接購入したり、店舗の近くに行くとセールの案内をプッシュ通知するなどアプリの機能も向上。顧客の購買行動においてその影響力がますます高まっている。顧客はアプリでの体験が充実していると通常額の2.7倍を消費し、コンバージョン率も2.3倍増えるという調査結果(※2)もある。

 小売りでは、2割の得意客(ファン)が8割の売上をつくる(パレートの法則)といわれ、その2割のファン層にいかにつながるかが重要だ。ヤプリの島袋氏は、「ブランドや商品になじみのない潜在顧客に対しては検索や広告を使ったコミュニケーションを行い、1回でもタッチポイントができたらSNSなどでつながります。リピーターにまで育つとモール型ECサイトやメルマガを活用したマーケティングが可能になり、その先に顧客とより深いエンゲージメントを構築するツールとして自社アプリや自社ECサイトを利用するというのが昨今のトレンドです」と語る。

  • ※1 App Annie「2016~2021年アプリ市場予測レポート」
  • ※2 AppsFlyer調べ

多彩なYappli活用事例とダウンロード施策

 ヤプリが提供するクラウド型アプリ開発プラットフォーム「Yappli」は、300社で利用され、累計3500万ダウンロードを誇る。

 小売業界では、近年実店舗で商品を比較検討しオンラインで購入する「ショールーミング」が問題になっている。そのような消費行動を逆手に取って売上を伸ばしているのがマルイだ。店舗では幅広いサイズやカラーバリエーションの商品を展示して試せるようにし、店頭のQRコードを読み込んでECサイトへ誘導。アプリによってプッシュ型の情報発信を行いリピーターになってもらうというカスタマージャーニーを想定している。このアプリをYappliで開発した。同社では、ストアでの体験価値を高めたことで、来店客の約70%がオンラインストアを訪れ、ストアリピート率が1.6倍向上した。

 カフェチェーンのプロントでは、ブランドの経年に伴いユーザーの年齢層も上昇しており、20~30代にリーチしたいという課題があった。そこで、Yappliを活用し公式アプリ「プ活」を開発。アプリでは、メニューの紹介、クーポンや読み物の配信などを行い顧客とのより濃密なコミュニケーションを実現した。「既存メディアの3倍のリーチを実現し、ロイヤルカスタマー予備軍との強力な接点づくりができたと評価いただいています」(島袋氏)

 アプリを作ってもダウンロードしてもらえなければ意味がない。ファッションビル 渋谷109では、ECサイト、スマホサイト、SNSなどあらゆるオンラインでのタッチポイントからの誘導を試みている。また、オフラインでも店頭POPでの告知やユーザー向けキャンペーン、テナント間競争を促すキャンペーンなどを実施し、1年で10万ダウンロードを突破。店舗でのクーポン利用が800件/月、アプリ経由の購入率がモバイルサイトの2.5倍にまで成長した。島袋氏は、「デジタルチームだけががんばるのではなく、全社のスタッフを巻き込んでアプリを成長させお客様とコミュニケーションしていくことが重要です」と語る。

 ミセス向けファッションブランドのDoCLASSEでは、電話をかけると折り返しショートメッセージ(SMS)でURLが送られ、それをタップすることでアプリをダウンロードできるという方法でユーザーを増やしている。同社では、全ダウンロードのうち約半分がこの方法だ。シニア層などQRコードの使い方がわからない顧客が多いブランドに有効な方法である。

プログラミング不要で誰でも開発・運用が可能

 島袋氏は、Yappliの特徴を次のように語る。「プログラミング不要で直感的ユーザーインタフェースの管理画面により、エンジニアでなくても開発や運用が可能です」

 Yappliのアプリ開発は、あらかじめ用意された機能をドラッグアンドドロップで組み合わせることで実現する。テスト環境も用意しているので、作成したアプリを簡単に試せる。スマホアプリ開発で大変なのが、毎年更新されるスマホOSのバージョンアップへの対応だ。その点Yappliは、スマホOSバージョンアップ対応をYappli側のプラットフォームで対応。導入企業側で個別に対応したり、追加の開発費用が発生することもない。

Yappliはプログラミング不要でアプリ開発が可能なクラウドサービス。日々の更新が容易で、ダッシュボードで利用状況分析もできるので、運用しながら改善していくことができる。

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 既存の顧客データを活用したい場合は、ポイント管理システムやMA・接客ツール、データ・分析ツールなどとも容易に連携可能。3D AR機能も装備しており、たとえば商品にアプリをかざすことで価格や特徴を表示するといったことが簡単にできる。

 最後に島袋氏は、「アプリは作って終わりではなく、それを使ってお客様とどうコミュニケーションするかが重要です。完成後は、カスタマーサクセス部がお客様と伴走し、成功に向けお手伝いいたします」と締めくくった。

INDEX

冷静(デジタル)と情熱(アナログ)のアイダ?

長瀬 次英 氏

デジタル時代における顧客体験のあり方
~MAを活用した最新手法のご紹介~

SATORI マーケティング営業部 部長 兼 カスタマーサクセスグループ グループ長
高橋 美絵 氏

FJORD Trends 2019 - デジタルの大掃除・価値の探求へ

アクセンチュア アクセンチュアインタラクティブ ビジュアルデザイン・ディレクター
苅谷 森嗣 氏

BtoB企業における営業活動のデジタルシフト
~データを活用した顧客とのコミュニケーション実践事例~

コニカミノルタジャパン 執行役員 総合企画室 オムニチャネル戦略推進 部長
岩崎 也寸志 氏

顧客満足だけではない!成果につながる顧客体験とは?
~CVR30%増などWeb接客成功事例から秘訣を解説~

Sprocket 代表取締役
深田 浩嗣 氏

優れたカスタマーエクスペリエンスの鍵を握る、データマネージメントの重要性
~事例から学ぶ最新動向と活用例~

インフォマティカ・ジャパン セールスコンサルティング本部 第二セールスコンサルティング部 部長
宇津木 太志 氏

商品機能価値から商品体験価値へ
-スペック主義からスタイル主導へのパラダイムシフト-

Contentserv 代表取締役
渡辺 信明 氏

STARBUCKS RESERVE ROASTERY TOKYO
~体験の中に眠るTECHNOLOGY~

スターバックスコーヒージャパン スターバックステクノロジー本部 本部長
亀山 博史 氏