採用広がる車載Ethernet、自動運転やコネクテッドの要

テスト標準を積極活用すれば、相互接続確認の負担が劇的に軽減
Razvan Petre氏

Spirent Communications
Sr. Technical Marketing Engineer

Razvan Petre

車載Ethernetをクルマに導入する際には、ネットワーク上のデバイスの間で確実にデータをやり取りできることを検証する必要がある。標準化されたテストを利用すれば、短時間、低コスト、軽負荷での検証が可能になる。Spirent Communicationsが重要なテスト標準と将来重要性が高まる技術について語った。

テスト標準活用のメリット

「車載ネットワークの構築では、確実に相互接続できることを検証するテストの実施が欠かせません。その際、標準化されたテストの活用は極めて有用です」とPetre氏は強調する。

相互接続できることを確認するために、どのようなテストを実施すれば良いのか。テスト対象となるユースケースや項目を自前で定義することは難しい作業であるが、既に標準化されているテストを活用すれば、時間やコスト、労力を大幅に削減できる。さらに、自前でテスト仕様を策定するよりも、確実に信頼性は高まる。製品やサービスが業界標準に準拠したテストにパスしていれば、他のメーカーが開発したデバイスとも相互接続できることの保証が可能だ。

このように車載ネットワークのテストの標準化には大きな意義があり、多様な業界団体が標準化に取り組んでいる。車載Ethernetに関連した2つのテスト標準と将来車載ネットワークの主役となるであろう技術について解説しよう。

TC8にはUpper Testerが必須

1番目は、車載EthernetにつながるECUのテスト標準「OPEN TC8」である。レイヤ1〜7までのすべてのレイヤーをカバーする823項目のテストの仕様が定められている(図1)。

レイヤー1(物理層)はOPEN Alliance BroadR-Reachを対象にしたものと、レイヤー2(データリンク層)のIEEE Ethernet MAC、VLAN(IEEE 802.1Q)、ARPScope L2などを対象にしたものである。ただし、ほとんどのテスト項目がOPEN TC11でカバーされており、「TC11を参照」とだけ記されているものが多い。

中心は、レイヤー3(ネットワーク層)のIPv4、ICMPを対象にしたものと、レイヤー4(トランスポート層)のUDP、TCP、DHCPを対象にしたものだ。とくにTCPに関するものは、222項目も記載されている。TCPは、他のプロトコルよりも複雑であり、多くのリソースを使っているため、テスト項目も多くなっている。レイヤー5〜7のアプリケーションに関連した層のテストは、そのほとんどがSOME/IPのバリエーションに関するものであり、249項目ある。

TC8のテスト環境を構築する際には、重要な注意点がある。Upper Testerと呼ばれる、DUT(テスト対象)上のTCPスタックをテストするための簡単なクライアントを実装する装置を、必ず用意する必要があることだ。Upper Testerを自動テストに用いれば、テストに要する時間や労力を削減できる。ただし、TC8に記載されたTCP関連のテスト項目のほとんどが、Upper Testerなしでは実行できない。「テスト環境構築の際には、自社開発するにせよ、外部から購入するにせよ、予算をしっかりと確保しておくことが重要です」とPetre氏は言う。

図1 OPEN TC8とOPEN TC11のテスト項目
										OPEN TC8 v2.0, Aug 2017, 823 Tests
										ARP,ICMPv4,IPv4,Network Auto Configuration,UDP,TCP,DHCPv4,SOME/IP Server,SOME/IP ETS
										OPEN TC11 v1.0, Dec 2018, 166 Tests
										General,Address Resolution,VLAN,Time Synchronization,QoS,Configuration,Filtering,Diagnostic,Interfaces

OPEN TC8は、2017年8月に発行されたバージョン2.0、OPEN TC11は2018年12月に発行されたバージョン1.0に記載された項目を挙げた。