特別トップインタビュー 近未来・元年「2020」気鋭の企業に訊く
Vicor

スマート化に欠かせない高性能電源技術

圧倒的なパフォーマンスで
顧客の技術革新を支える
電源ソリューション

Vicor
バイスプレジデント
グローバルセールス&マーケティング

フィリップ・デイヴィス

代表取締役社長 米国本社バイスプレジデント

堂園 雄羽

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自動車の電動/電子化、産業機器のスマート化など、より多くの電力が必要とされる方向へと時代は進んでいる。これらの機器を安定的かつ高効率に動かすためには、優れた電源の技術が必要だ。48V電源システムなど、最先端の電源技術開発と独創的な製品で市場をリードするVicor。同社を牽引する2人に、現在の電源を取り巻く市場の状況と今後の展望を聞いた。

貴社の強みを教えてください。

デイヴィス Vicorは、高効率と高電力密度を誇るDC-DCコンバーター等に注力する、モジュール電源メーカーです。使い勝手の良い「ChiP(Converter housed in Package)」製品でお客様の製品の競争力を高めることが私たちの役割です。

 当社製品のターゲット市場は、HPC(高性能コンピューティング)、自動車、産業機器、防衛、航空宇宙など、とくに高性能で高い信頼性を要求する分野が多いです。これは、Vicorが技術の先進性と独創性に強みを持つ企業であり、ChiPの変換効率と電力密度を継続的に向上させるため、収益の15%を研究開発費に充てている成果でもあります。また一般的に、電源回路では、電力変換する際の効率と電力密度はトレードオフの関係です。

 しかし当社は、「Factorized Power Architecture(FPA)」「ZVS/ZCS(ゼロ電圧・ゼロ電流スイッチング)技術」「Sine Amplitude Converter(SAC)技術」などの独自技術を次々と創出することで、他社にはない独自の高電力密度と高効率の双方を両立する電源ソリューションを実現してきました。

堂園 製品のパフォーマンスは継続的に向上しており、電力密度は、現時点で競合他社の10倍の値を実現しています※1。この差を過去の性能向上の推移に照らすと、当社は市場より約8年先を進む企業ということになります※2

 また、当社独自の磁性部品一体型の3次元実装ChiP製品は、電源システムの設計を簡素化します。ディスクリートのデバイスではなく、モジュール型ソリューションを提供することで、電源システムの設計作業を容易にし、早期市場投入が可能となります。

高まる市場のニーズ

近年の状況はいかがでしたか。

デイヴィス 2018年の市況は、一部の半導体部品や受動部品の納期が1~2年延び、発注過剰で電子部品業界がミニバブル状態でした。その結果、お客様の在庫レベルが高くなり、かつ米中貿易摩擦やデータセンターの経費削減が引き金となって、残念ながら、当社の2019年受注件数は減少となりました。

 しかし、2020年以降につながる潜在案件は2018年を大幅に上回る形で現在進行しています。あらゆる分野で電力に関わる厳しい課題が顕在化し、当社の強みである高い効率と電力密度が、最終製品の価値と競争力の向上に重要であることが明白になってきています。

2020年は何に注力しますか。

デイヴィス 当社は、成長著しい48Vサーバー向け電源モジュールや、AI用のGPUやASIC向けの電源などの新興市場で非常に高いシェアを占めています。さらに、48V電源を用いるマイルド・ハイブリッド車の市場が立ち上がり、今後は、車載市場向けにも参入できると見ています。

 世界中で開発が進む自動運転車では、ディープラーニングを活用した走行環境の認識技術が活用される見込みです。実現に際しては、データセンターと車両の双方で、高度なAI処理を行うための安定的かつ高効率な電源が必要であり、当社のソリューションの需要が高まると予測しております。車載グレードの品質規格準拠はもちろん、安定供給に向けてセカンドソースも設け、2020年には本社工場の増強、2022年以降に第二工場の稼働も予定しています。

次世代車用半導体では、EVのインバーターや自動運転車のAIチップが注目されがちですが、DC-DCコンバーターの需要増は見逃せません。

堂園 EVで駆動用モーターを制御するインバーターも電源回路の一種ですが、参入する半導体メーカーも多く、近年は自動車業界の企業による独自開発も目立ちます。他方、次世代車では、電気で動作する機器やシステムが増え、そこに安定した電力を高効率に供給する仕組みが欠かせません。そこへ競争力あるソリューションを投入していく計画です。

今後新たな需要が常に生まれそうな印象です。

デイヴィス 商用サービスが始まった5Gの基地局用システムも有力な市場です。今後大電力で駆動される7nmや5nmノードのネットワークASICが搭載される見込みです。Vicorは、通信事業者と提携し、これらのチップを駆動する超低電圧の給電ソリューションを提供していきます。

 また、新たな技術領域へ挑戦すべく、2020年には単相と三相ACシステム用の高密度のモジュール型フロントエンド・ソリューションとして、AC/DC市場に参入する予定です。既にデータセンター向けに投入している「RFM9459」は、三相AC200V入力を、DC48V(10kW)出力へ96%の効率で変換します。これを契機に、新たな分野でビジネスチャンスが生まれると確信しています。

2019年は日本法人が新体制でスタートしました。

デイヴィス 日本法人では、車載ビジネスをはじめ、豊富な経験を持つ堂園雄羽を新しい代表取締役に招きました。ChiP製品の販促、客先サポートの指揮を執り、日本国内のお客様によりご安心してお使いいただけるサポートの提供やパートナー様との関係強化を期待しています。

今後、日本で注力する市場はどこでしょうか。

堂園 2019年は電動トラックやバスの分野で当社製品が採用され、Vicorグループとして重要な一歩を踏み出しました。動力の電動化と機能の電子化が進む車載市場では、日本は世界的に見ても競争力を維持しており、当社としては先進的なソリューションを提供していきます。また、HPCや通信のシステムメーカーにも当社製品の採用が進みましたので、引き続き注力していきます。

 測定機や検査装置、半導体製造装置など産業機器向けにも、これまで多くの当社製品が使われてきました。これらの分野ではデータ活用や制御機能の高度化から、今後もさらに高性能の電源が要求されると見込んでおります。

 2020年は、販売パートナー様と協力し、日本のお客様に、より安心して当社製品をご利用いただけるサービスを提供し、日本におけるプレゼンス強化に繋げていきたいと考えます。新組織体制で、お客様の技術革新に貢献できるよう一同努めて参ります。

※1 ※2 Vicor調べ

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電力密度で見るVicorの技術革新の歩み

お問い合わせ

Vicor株式会社
〒141-0031 東京都品川区西五反田8-9-5 FORECAST五反田WEST 6F
TEL:03-5487-3016
URL:http://www.vicorpower.com/ja-jp/