日立製作所・ヴイエムウェア 仮想デスクトップ活用事例/損保ジャパン日本興亜 日立のHCIとVMware Horizonで仮想デスクトップを刷新 働き方改革に向けた利便性とセキュリティ強化を高度に両立

SOMPOグループの中核会社として、顧客の安心・安全・健康に資する幅広い事業領域にチャレンジし続ける損害保険ジャパン日本興亜(以下、損保ジャパン日本興亜)。同社では、保険会社間の競争激化への対応と、働き方改革を進める上での従業員の利便性向上、さらなるセキュリティ強化を実現するため、シンクライアント環境「SOMPOライン」に、「VMware Horizon」と「日立HCIソリューション for VMware vSAN」を採用した。2万3000ユーザーを対象とした仮想デスクトップ環境の整備により、高効率かつ柔軟なテレワークの実現と攻めの経営戦略を加速させている。

損保業界の危機感に対応したイノベーション

損害保険ジャパン日本興亜株式会社 IT企画部 企画グループ グループリーダー 遠山 岳志氏
損害保険ジャパン日本興亜株式会社
IT企画部
企画グループ
グループリーダー
遠山 岳志

現在、損保ジャパン日本興亜では時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を実現する「ワークスタイルイノベーション」を推進している。その目的は、働き方改革だけでなく、損保業界そのものの危機に対応する目的もあったと、同社の遠山 岳志氏は語る。

「現在、損保業界は激動の時代を迎えています。デジタルイノベーションの進展によって既存のビジネスモデルが崩壊する一方で、台風や地震といった自然災害も多発するなど、経営環境の急変が、この業界にも確実に押し寄せています。こうした市場の変化にいち早く対応していくためには、今まで以上に多様な人材が活躍できる環境や、生産性を高めるITインフラを用意し、新たな発想やサービスを迅速に創出していかなければなりません。社員一人ひとりに合った働き方を選びながら、生産性を上げ、自己成長や価値創造の業務に時間を充てられるようにする——当社が進めるワークスタイルイノベーションの真の目的は、そこにあります」

デジタル変革に向けた新たな仮想デスクトップ基盤を模索

損害保険ジャパン日本興亜株式会社 IT企画部 企画グループ 特命課長 雪吹 泰伸氏
損害保険ジャパン日本興亜株式会社
IT企画部
企画グループ
特命課長
雪吹 泰伸

それを支えるITインフラとして、同社は損保業界に先駆けて2013年からデスクトップ仮想化システムによるシンクライアント環境を導入。営業現場へのセキュアなノートPCの持ち出しや、BCP(事業継続計画)への対応、ITガバナンスや運用コストにも配慮したテレワーク環境を整備してきた。さらに、顧客に最高品質のサービスを提供し続けるビジネス環境を構築するため、2015年4月からは老朽化・複雑化したシステム基盤・構造を刷新する「未来革新プロジェクト」も立ち上げ、全社を挙げたオフィスインフラ改革を積極的に推進している。

「こうしたオフィスインフラの中核を担うのが仮想デスクトップです。しかしシステムの老朽化により、新しいシステム環境への移行が必要となりました。それに合わせて、デジタル変革をより推進できる性能やセキュリティの強化、運用負担の軽減といった改善も図ることにしたのです」と同社の雪吹 泰伸氏は説明する。

また仮想デスクトップの実現方式がSBC(Server Based Computing)だったため、ユーザー独自のアプリケーションが柔軟に利用できず、特定部門からの要求に応えられなかったことや、消費リソース増加に伴うシステム性能の低下なども課題となっていたという。

「システム性能の低下は、スケーラビリティとも直結する課題でした。ユーザー数の増加に応じてスケールアウトしたいと考えても、SBC方式は、まず大きなストレージを追加して、まとまったユーザー数単位で増やすことしかできません。どうしても予算的なハードルが高くなっていたのです」と、同社の小林真郁氏は語る。

データバックアップやBCPの最適化という点でも、改善したいポイントがあった。「これまでは東西2つのデータセンターに、2万3000ユーザーの仮想デスクトップ環境を分散し、ユーザーデータの同期処理を実施することで事業継続性を担保していました。しかしこのやり方では、双方合わせて200%のサーバー/ストレージリソースを用意しなければなりません。そこで新しい基盤では、データセンターをもう1つ増やした3拠点に仮想デスクトップ環境を分散し、50%のリソースを相互にバックアップすることで、トータル150%のリソースでBCPを行えるようにしたいと考えました」と語るのは、SOMPOシステムズでシステム設計を担当したITシステム本部 明田川 裕史氏である。

日立製作所とヴイエムウェアの組み合わせが最良の選択と確信

損害保険ジャパン日本興亜株式会社 IT企画部 計画推進グループ 課長代理 小林 真郁氏
損害保険ジャパン日本興亜株式会社
IT企画部
計画推進グループ
課長代理
小林 真郁

こうした要件を踏まえた損保ジャパン日本興亜のRFP(提案依頼書)に4社が手を挙げ、最終的なパートナーに選ばれたのが、日立製作所(以下、日立)とヴイエムウェアである。

「綿密に調査した結果、われわれの要件を満たす仮想デスクトップのソリューションはVDI方式のVMware Horizonがベストだと判断しました。例えば、ある部門だけに特定のソフトウエアを配布したいと考えた際、個別ソフトウエアのデリバリー機能はHorizonが優れています。システム開発ベンダーとして日立を選んだのは、他社にはない優れた提案内容に加え、当社との長年にわたるお付き合いも含め業務を熟知されていたこと、VMware製品の構築実績が豊富で、両社が非常に強固なパートナーシップを結んでいることも高く評価したからです」と、遠山氏は語る。

日立は自身が社内で仮想デスクトップを活用し稼働しており、その活用と運用で培われたノウハウが、日立品質の信頼性と安全性に変換され、顧客システムの構築にフィードバックされていると判断したのだ。

そうした独自のノウハウを生かした提案の1つが、スケーラビリティとコストの最適化を実現する「日立HCIソリューション for VMware vSAN」とフラッシュストレージ連携のハイブリッド構成だった(図)。

損保ジャパン日本興亜の従業員、約2万3000ユーザーが利用する「SOMPOライン」。vSAN(HCI)とフラッシュストレージのハイブリッド構成により、利便性と運用性の向上やリソースの最適化を図っている

損保ジャパン日本興亜の従業員、約2万3000ユーザーが利用する「SOMPOライン」。vSAN(HCI)とフラッシュストレージのハイブリッド構成により、利便性と運用性の向上やリソースの最適化を図っている

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組織改編などでユーザー数が急増する場合も、IAサーバーに搭載されたSSD/HDDをソフトウエア機能によって統合・制御するHCI(Hyper-Converged Infrastructure)なら、ノード増設を最適なコストでリニアに拡張することができる。

さらに日立は、OSやアプリケーションといったシステム領域はHCI、プロファイルや作成したデータの格納はフラッシュストレージに振り分けることで、仮想デスクトップにおけるアプリケーションとデータ量の増加に対するシステム全体での投資の最適化を提案。これが損保ジャパン日本興亜に高く評価された。

IT企画部は新仮想デスクトップ基盤の構築に先立ち、社内各部署から入念なヒアリングを行った後、2018年11月から、日立とヴイエムウェアとの3社協働によるシステム構築に着手。翌2019年7月より、従業員約2万3000ユーザーが利用するVDI方式の仮想デスクトップ「SOMPOライン」の稼働が段階的に開始され、同9月に全国展開が完了した。

3社が1チームとしてプロジェクトを推進

SOMPOシステムズ株式会社 ITシステム本部 リーダー 明田川 裕史氏
SOMPOシステムズ株式会社
ITシステム本部 リーダー
明田川 裕史

新たに構築されたSOMPOラインは、全国3カ所のデータセンターに仮想デスクトップ基盤を分散配置している。本番環境はデータセンター1拠点あたり、VMware vSANをHCI構成で搭載した日立アドバンストサーバ「HA8000V」が約150台(計約450台)、プロファイルなどを格納するストレージにはミッドレンジ・フラッシュストレージの「Hitachi Virtual Storage Platform F400」が3台(計9台)配置され、1センターに、利用ユーザーの半数である1万1500人のシンクライアント環境を提供している。仮想デスクトップのマスターは1つに統合されており、各部署からの要望によるソフトウエア配布は個別にカスタマイズする仕組みだ。これにより、ユーザーの利便性を損なわずに、ソフトウエアの導入と運用を以前より簡易化できるようになった。データの蓄積場所を物理的に切り分けられる専用ストレージを用意したことでバックアップ運用を容易にするとともにセキュリティの向上を図った。

「仮想デスクトップ基盤の構築は3センター並行で、共通リソースを調整できるよう少しずつスライドしながら行いました。構築期間は1センターあたり約2.5ヶ月。日立のノウハウを生かした自動化ツールを利用して、日立の工場内で仮想デスクトップを組み上げてから導入する形を採用したため、一般的な仮想デスクトップの構築期間と比較して約30%の工数削減が実現できました」とSOMPOシステムズの里見 智徳氏は語る。

また仮想デスクトップでは、始業時などにアクセスが集中して処理速度が低下する「ログオンストーム」という事象が発生しがちだ。実際に従来の環境でも、同様の課題が指摘されていた。そこで新基盤では、ユーザープロファイルをオールフラッシュの日立ストレージに格納することで、処理速度を高めた。「端末性能が上がっている部分もありますが、システムが立ち上がるまでの時間を短縮できました」と里見氏は言う。

小林氏も「利便性を高めるため、チューニングには徹底的にこだわりました。外出先からアクセスする際の速度は、当初130秒ほどかかっていましたが、日立やヴイエムウェアと何度も意見を出し合いながら、現状では半分以下に縮めています」と続ける。

セキュリティの強化も図られた。具体的にはVMware NSX Data Centerとセキュリティ製品を組み合わせ、仮想デスクトップ同士の通信を禁止。またセキュリティ製品がマルウエアを検出した際に VMware NSX Data Center の分散ファイアウオールと連携し、該当する仮想デスクトップを自動隔離する。これにより、管理者の手を煩わせることなく感染の拡散を防ぐことが可能になった。

SOMPOシステムズ株式会社 ITシステム本部 里見 智徳氏
SOMPOシステムズ株式会社
ITシステム本部
里見 智徳

今回のプロジェクトが成功したポイントの1つは、こうした3社連携のチーム力にあると明田川氏は言う。「システム開発ベンダーである日立、コンサルタントとして入っていただいたヴイエムウェア、そしてわれわれが、立場の違いを乗り越えて1つの開発チームとして動くことができたのが最大の勝因だと思います。定例会議では毎回、前回までの課題をしっかりとトレースし、確実に改善してきたおかげで、最初から非常に障害の少ない安定的なリリースにつなげることができました」

ユーザーの意見を十分に反映できたことも、プロジェクトの大きな成果だ。「システム構築に着手する前から、ユーザーや各部門の担当者から時間をかけた聞き取り作業を行ってきました。ヒアリングで得られた意見をシステム開発にきちんと反映したことで、気持ちよく受け入れてもらうことができ、実際、稼働後のアンケートでも、満足度が非常に高いことがわかっています」(小林氏)。

稼働後のサポート面でも不備はない。日立は、各種ハードウエアやOS、VMware製品などが関与する障害切り分けもワンストップでサポートし、迅速な問題解決支援によって、顧客システムの安定稼働を守る「日立サポート360」を提供。ヴイエムウェアとも密接に連携しながら、安心してビジネスに集中できる環境を実現している。

ワークスタイルイノベーションを通じて、保険の先の、新たなビジネス領域への挑戦を始めた損保ジャパン日本興亜。新たな価値創造の可能性をきり拓くIT基盤の進化は、そのスピードを間違いなく加速させるはずだ。

 

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株式会社 日立製作所
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