特定のツールを導入しただけで、ものづくりは変わらない
- 3Dプリンターを導入したはいいが、現場では全然使っていない
- 社長は「うちもIoTでスマート工場だ」と息巻いているけれど、そこから先は現場任せ。
何からやればいいのか分からないよ - デジタルトランスフォーメーション? それよりも、目の前の仕事だ
そんな声を聞いたことはないだろうか。製造業界では、デジタル技術を活用した「ものづくり革新」が急務になっているが、一方で、少なからぬ企業の現場で冒頭のような状況が起こっている。
実際、機械系の設計担当者を対象に実施したあるアンケート※でも同様の実態が浮き彫りになった。「3Dプリンターを導入している」という回答こそ過半数に達したものの、「IoT、AI/機械学習、クラウドコンピューティングなどを導入している」との回答はいずれも2割程度にとどまったのである(図1)。特定のソリューションに着目し、導入はしていても、本格活用には取り組めていない企業が大半のようだ。

図1 「今後の『ものづくり』に関する企業の技術部門の意識調査」
※出典:「今後の『ものづくり』に関する企業の技術部門の意識調査」/オートデスク、日経BPコンサルティング(2020年3月にインターネットで実施、有効回答数257人)
「土台」の3D化が、あらゆるプロセスの革新をもたらす
どうすればこの状態を脱却できるのか。必要なのは、経営者のコミットである。トップが全体方針を明示し、変革を推進できる人材の確保や育成、テクノロジーの導入、ツール活用スキルの向上といった課題の対応に主体的にかかわる。ものづくり革新とは単なるツールの利活用のことではなく、企業全体の意識変革、体質変革にほかならない。このことを自覚して取り組むことが肝心なのだ。
その上でツールを導入する。その際は、ものづくりの「土台」になる部分を先行して固めることがポイントだ。さもなければ、その後に新しいプロセスやビジネスモデルを実装することが困難になるからだ。
土台になる部分が、設計プロセスである。具体的に、設計資産を3D化することで、データに基づくものづくりの基盤を整備する(図2)。既にほとんどの企業が進めていると思われがちな3D化だが、前出のアンケートによれば、「CADを利用していない」「2D CADのみを利用」「2D CADと3D CADの両方を利用しているが、2Dが多い」と回答した企業が計57%にのぼった。この領域にメスを入れることが、引き続き重要なのである。

図2 ものづくり革新の土台になる、設計プロセスの3D化
3D化によって設計資産をデータ化することが、ものづくり革新には不可欠だ
3D CADソフトウエアメーカーのオートデスクは、この土台づくりが日本企業のものづくり革新の基盤になると提唱している。3Dデータを活用することで、設計・製造品質の向上、人手不足の問題の解決、営業力の強化、業務プロセスの効率化が可能になり、ものづくりをさらに活性化・高度化させることができる。この3D化の土台づくりをすることで、ものづくりの革新が可能になり、新たなビジネス価値を創り出せるのだ。さらに、不確実性の高い時代を勝ち抜き、これからの変化をチャンスに変えていくために、どんな内部/外部的なビジネス環境の変化にも柔軟に対応できる柔軟な開発・設計環境の構築を日本の製造業の目線で支援している。
オートデスクは、ここで紹介した内容を含めた、ものづくり革新のポイントを紹介するホワイトペーパーも提供している。少子高齢化による働き手の減少、コロナ禍など、様々な問題が横たわる日本製造業。先行きの見通しにくい時代を勝ち抜くためのヒントを得てもらえれば幸いだ。