東京デジタルイノベーション 2020 AWS Transformation Day Report 日本生命とニッセイ情報テクノロジーが 二人三脚で挑むDX戦略の中身とは

競争力の強化と顧客サービスの向上を狙って「デジタル5カ年計画」を打ち出した日本生命。同社は現在、ニッセイ情報テクノロジーと二人三脚でデジタル戦略を推進中だ。これまでに、最新のデジタル技術を活用したPoC(実証実験)を約40件実施している。ここではその具体的な中身を紹介したい。

5カ年にわたるデジタル計画を策定

日本生命保険相互会社 デジタル推進室 専門部長 デジタル推進担当部長 高倉 禎氏
日本生命保険相互会社
デジタル推進室
専門部長 デジタル推進担当部長
高倉 禎

日本生命保険相互会社(以下、日本生命)は、2017年度から4カ年の中期経営計画の中で「先端IT活用」という戦略を掲げ、デジタル化を推進してきた。さらに2019年度には、新たに「デジタル5カ年計画」を策定(図)。「競争力を強化するための既存業務効率化・市場への新しいアプローチによる顧客サービスの向上がデジタル5カ年計画の狙いです」と日本生命の高倉 禎氏は語る。

同社は、これまでに関連会社のニッセイ情報テクノロジーと共に、最新のデジタル技術を活用したPoCを約40件、手掛けてきたという。この中には、公式ホームページで稼働しているチャットボット「夢乃 七未(ゆめの ななみ)」や、アマゾン・ドット・コムのAI(人工知能)アシスタントを活用した認知症予防サービス「ニッセイ脳トレ」のように、外部へのサービスとして実用化したものも含まれている。

社内の業務でもデジタル技術の活用が始まっている。例えば、営業職員が利用するタブレット端末にはAI技術を活用したアプリが搭載されている。過去に蓄積した顧客情報や契約情報、営業活動のビッグデータを分析し、最適なタイミングで訪問できるように特定の条件に該当する顧客を提示する仕組みだ。この取り組みは、仏パリに本部を置く非営利団体Efmaとアクセンチュアが共催する「保険イノベーションアワード」の「顧客体験」部門において、国内の生保では初めての金賞を受賞している。

AWSを活用したRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の展開も進んでいる。2018年10月から全社展開を開始し、2019年12月末時点で約350の業務で合計360台のロボットが稼働中だ。この取り組みによって、年間で約16万時間の労働時間を削減できたという。

図 5カ年にわたるデジタル計画を策定

図 5カ年にわたるデジタル計画を策定

AIやRPAなど最新のデジタル技術で競争力の強化や顧客サービスの向上を図っている

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AWSとの協業で生保業界のDXを加速

ニッセイ情報テクノロジー株式会社 デジタルイノベーション推進部 担当部長 摺木 拓也氏
ニッセイ情報テクノロジー株式会社
デジタルイノベーション推進部
担当部長
摺木 拓也

このように積極的にデジタル戦略を推進しているものの、「金融機関の中でも生保は、デジタル化が難しい」と指摘するのは日本生命のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する、ニッセイ情報テクノロジーの摺木 拓也氏だ。

銀行は日常生活の中で顧客との接点が多い。損保の場合は、保険の対象である車や家屋がIoT(インターネット・オブ・シングス)との親和性が高い。実際、近年はIoT技術を活用した商品・サービスが相次いで登場している。

これに対して、生保は契約期間が長く、数十年に及ぶが他業態に比べて契約および支払い以外における顧客との接点が少ないため、データを集めにくい。「こうしたことから、業務の自動化という『守り』からDXの推進が始まり、現在はようやく外部データを活用したニーズの把握、あるいは保険外のサービスとの連携といった『攻め』のテーマの相談が増えつつあるところです」と摺木氏は説明する。

生保業界のDXの推進を支援すべく、ニッセイ情報テクノロジーでは、2016年からAIの研究開発に着手。生保会社の業務において煩雑さの要因である非定型帳票のデジタル化に取り組んだ。こうして実用化にたどり着いたのがAIとOCR(光学的文字認識)を活用したクラウドサービス「READ-IT!!」である。

ニッセイ情報テクノロジー株式会社 個人保険システム事業部 サービス開発ブロックチーフマネジャー 落合 広則氏
ニッセイ情報テクノロジー株式会社
個人保険システム事業部
サービス開発ブロックチーフマネジャー
落合 広則

生保会社では、保険金・給付金の支払い手続きにおいて医療機関からの領収書や診療明細書などを人手で入力している。READ-IT!!は、この作業の効率を大きく高めるために開発されたサービスだ。「医療機関ごとに帳票の書式が異なるため、これまでの技術ではシステム化が困難でした」と同社の落合 広則氏は語る。

READ-IT!!は、AIとOCRで非定型帳票の記載内容を自動的にデジタル化するもの。保険関連事務で取り扱う膨大な非定型書類を教師データとして、ディープラーニング(深層学習)で学習。最大で97%、項目平均で90%以上の認識率を実現しているという。学習済みの認識機能を搭載しているので生保会社は導入後、すぐに利用することが可能だ。

READ-IT!!をサービス化する際には、AWSの支援を受けたという。AWS上でプロトタイピングを行った上で、AWS上にサービスを実装した。「今後もAWSとの協業によって、生保業界のDXを加速していきたいと考えています」と摺木氏。今後も日本生命とニッセイ情報テクノロジーでは、適切にクラウドを利用することで、迅速にDX時代の新しいサービスを創造していく考えだ。


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