日経クロステック

革新素材の力で時代の要請に応える 銀ナノワイヤーの先駆者Cambrios

透明導電性材料や抗菌・抗ウイルス性を持つ材料として、比類なき特徴を備えている革新的素材、銀ナノワイヤー(Silver nanowires)の応用に注目が集まっている。その開発と提供で世界をリードしているのが、台湾に本社を置く「Cambrios Film Solutions(カンブリオス・フィルム・ソリューションズ)」だ。同社が提供するSNWとその部材は、タッチパネルなどの特性を飛躍的に向上させた。さらに、医療・ヘルスケア分野のウエアラブル機器への応用にも大きな可能性を秘めている。新たな応用を切り拓く同社の動きから目が離せない。

Cambrios Film Solutions CEO 蕭 仲欽 氏 (シャオ チュンチン)
Cambrios Film Solutions CEO 蕭 仲欽 (シャオ チュンチン)

カンブリオスは、2004年にシリコンバレーで設立され、世界で初めて銀ナノワイヤー(SNW)の量産に成功した。SNWやインク化といった材料を提供するだけでなく、使い勝手がよい透明導電性フィルムに加工して、電子機器メーカーなどに提供している。2017年、同社は数多くの電子機器メーカーがひしめくアジアに拠点を移し、応用と利用実績の拡大に取り組んできた。

「カンブリオスでは『Life Changing Materials』、すなわち優れた技術によって身近な日常生活に革新をもたらすことを目指しています。私たちは、常にこの志を忘れないよう、技術開発と製品の製造、提供に取り組んでいます」と同社 CEOの蕭仲欽(シャオ チュンチン)氏は語る。

実際、同社のSNWの応用製品は、既に身近な場所で多く使われている。まず、SNWの透明導電性フィルムは、視認性と感度に優れたタッチパネルなどに広く応用されており、高付加価値なスマートフォンや電子黒板などのユーザー・インタフェースを実現するうえで欠かせない部材となっている。さらに、調光ガラスの導電性材料、SNWを塗布した省エネルギーガラスが建材として使用されている。

加えて、SNWは持続性が銀イオンに勝る抗菌・滅菌効果やウイルス不活性効果が実証されている。この性質を利用して、現金自動支払機(ATM)や自動販売機、レストランなどのオーダー端末など、人が触れて利用する機器を安全に利用できるようにする応用開拓も進められている。

優れた電気特性と
光学特性を両立

透明導電性フィルムの方式の中で、SNWフィルムは優れた電気特性と光学特性を両立できる優位性を備えている。これまで液晶パネルなどを構成する透明導電性材料として、インジウムとスズの酸化物であるITOが広く使われてきた。SNWの素材である銀は最も導電性の高い金属であり、ITOと比べた導電率は約100倍にも達する。もちろん、有機系の透明導電性材料である導電性ポリマーに比べても電気特性に優れている。

一般に、電子機器のタッチパネルなどに使われる透明導電性フィルムでは、光の透過率が高いほどディスプレイの映像を鮮明に表示できるようになり、同時に光源の光を有効利用できるために省電力化にもつながる。銀の優れた導電性を、電気の伝導路を細くする方向に振り向ければ光学的特性を高めることが 可能だ。カンブリオスが創業した当初のSNWの直径は55nmだったが、現在では10nmにまで細くできるようになり、より優れた光学特性の実現が可能になった。さらに、シート抵抗の低いSNWフィルムの生産技術を長年にわたって蓄積してきたことで、より大型のタッチパネルへの応用も可能になった。

SNWフィルムの優れた特性は、タッチパネルに応用した際にモアレが発生しない点もある。モアレの発生条件はモニターの解像度などによって変化するが、SNWフィルムならばモニターの仕様に合わせてカスタマイズする必要がなく、電子機器の開発コストを削減できる。加えて、SNWフィルムは柔軟性の高い部材である。折り曲げたり伸ばしたりしても導電性を損なうことがない。この性質を活かせば、次世代のフレキシブルなタッチパネルや、ウエアラブル機器への応用が広がる。

電気特性と光学特性に
優れたSNWの応用

SNWフィルムの優れた特性は、次世代のフレキシブルなタッチパネルや、ウエアラブル機器への応用が広がる

フォータブル/フレキシブルスマホ
フォータブル/
フレキシブルスマホ
抗菌フィルム
抗菌フィルム
スマートウィンドウ/調光ガラスでのアプリケーション
スマートウィンドウ/
調光ガラスでのアプリケーション
電子黒板/IWB
電子黒板/IWB

知的財産・品質・サポートで
圧倒的な信頼感

新たな応用に期待されている革新的素材 「Silver nanowires」
新たな応用に期待されている革新的素材
「Silver nanowires」

カンブリオスは、知的財産、信頼性と品質、サポートの3つの側面で他の追随を許さない圧倒的な安心感を顧客企業に保証することができる。米国ワシントン大学で開発されたSNWの製造技術の特許を創業時に世界で初めて取得。その後の事業化と応用拡大の過程で周辺特許を固め続け、2020年10月現在では累計300件以上の関連特許を世界で取得している。その範囲は、SNWの生産からSNWインクの調合、導電薄膜のような部材の生産、タッチセンサーなどへの応用にも及ぶため、ユーザー企業に隙のない知的財産の保護を保証。生産する製品の信頼性と品質を高レベルで保証し、車載用機器への応用で求められる厳しい基準もクリアしている。

さらに、SNW関連技術の開発に投入している人材や資金などのリソースも潤沢だ。「開発チームのメンバーには、材料やアプリケーション、生産技術など様々な分野の専門家がいます。ユーザーとなる顧客企業それぞれの要求にきめ細かく応える頼れるサポート体制を整えています」と蕭氏は強調する。

SNWでバリューチェーンを
創出するプロバイダー

2020年に入り猛威を振るっているコロナ禍は、世界中の人々の生活様式を一変させた。コロナ禍によりSNWは、様々な側面から新たな生活様式を支える材料としてますます注目を集めるようになった。多くの企業や学校がテレワークやオンライン授業へと移行する中で、SNWを活用した視認性の高い電子黒板の需要が急増している。さらに、フレキシブルな電子機器への応用に適し、ウイルスの不活性化にも効果があるSNWの特徴は、一人ひとりの健康状態をケアするウエアラブル機器やIoTデバイスを構成する材料として需要が高まっている。

Cambrios Film Solutions CEO 蕭 仲欽 氏 (シャオ チュンチン)

広範なアプリケーションで SNWの優れた特徴を活用していくため、カンブリオスはブランドの再構築を推し進めている。「今後は、出来上がった素材や部材の提供にとどまらず、製品と技術でユーザーが持つ新たなアイデアの具現化や課題解決に向けたソリューションを提供するプロバイダーになることを目指します。様々な業界とのコラボレーションを歓迎し、SNWの特長を生かした価値あるバリューチェーンを共に創出し、技術の進歩に貢献したいと考えています」と蕭氏は力を込める。

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