日経クロステック Special

OPENSAUCE代表 宮田人司氏と語る シチズン時計の新たな挑戦/IoTプラットフォーム「Riiiver」の可能性とは

「腕時計に創造を」。2018年に創業100年を迎えたシチズン時計(以下、シチズン)が、101年目からの挑戦として開発したIoTプラットフォーム「Riiiver」の可能性に、起業家でクリエーターの宮田人司氏が迫る。

時計メーカーが開発したIoTプラットフォームとは

IoTプラットフォームRiiiver
IoTプラットフォーム
Riiiver
「Riiiver」は、IoTデバイスや様々なサービスをつなぐことで、使い手(ユーザー)がそれぞれのライフスタイルに合わせた“体験”を作ることができるIoTプラットフォームだ。
CITIZEN Eco-Drive Riiiver
CITIZEN
Eco-Drive Riiiver
「Eco-Drive Riiiver」は、「Riiiver」用に開発されたエッジデバイス。Bluetoothでスマートフォンと接続し、スマホ上の専用アプリでPieceを組み合わせて創った機能(iiidea)を利用できる。

 「1世紀にわたって培ったモノづくり、腕時計づくりの伝統には誇りを持ちつつ、いったんそこから離れて、腕時計の可能性を“拡大解釈”してみようじゃないかというのが、すべての始まりでした」

 そう語るのは、シチズン オープンイノベーション推進室の大石正樹室長である。

 シチズンは2019年夏、独自に開発したIoTプラットフォームサービス「Riiiver」をスタート。同年11月には、サービスに対応するエッジデバイス「Eco-Drive Riiiver」を発売した。時計メーカーがなぜIoTなのか。大石氏は「単に時を刻む道具ではなく、使う人のアイデアによって、わくわく、どきどきするような機能が自由に創れて、盛り込めるデバイスにしたかったから」だと説明する。

 「Riiiver」には、「Piece」と呼ばれる様々な機能パーツが用意されており、きっかけとなる「トリガー」、利用する「サービス」、サービス利用によって起こる「アクション」の3つのPieceを組み合わせるだけで、簡単に新しい機能「iiidea」が創れる。「時計のボタンを押すと、自分の現在地とメッセージをいつものメンバーに送信する」という機能であれば、「時計のボタンを押す」(トリガー)、「現在位置を知らせる」(サービス)、「メッセージを送る」(アクション)の3つを組み合わせるといった要領だ。Pieceの数が増えることにより、その組み合わせによってできることも広がっていく。

 「自分で創るだけでなく、新しい機能を家族や仲間、地域などで共有すれば、小さなコミュニティが広がっていきます。そうした『マイクロコミュニティ』の形成を促すきっかけのひとつになってくれればと思っています」と大石氏は語る。

 「Riiiver」でできることは、腕時計の枠を超えている。「『Eco-Drive Riiiver』はあくまでもエッジデバイス(端末)のひとつにすぎません。今後、様々なIoTデバイスがつながるようになり、マイクロコミュニティがますます広がっていくことを期待しています」(大石氏)

OPENSAUCE代表宮田人司氏と考える
「Riiiver」の可能性

宮田氏
OPENSAUCE
代表
宮田人司
音楽家としてキャリアをスタート後、1989年株式会社SOUNDSYSTEMを起業。98年に世界初の着メロのダウンロードサービスを手掛ける。2010年に金沢へ移住後、株式会社OPENSAUCEを設立。食農、IT、音楽、デザイン、映像作品、執筆など業種を超えたフィールドで活躍。2019年9月よりMistletoe Japan合同会社代表に就任。

 創業101年目からの新たな挑戦として、IoTプラットフォームづくりに取り組み始めたシチズン。実際、「Riiiver」はどのような可能性を秘めているのか。起業家でクリエーターでもあるOPENSAUCE代表の宮田人司氏が、シチズンの大石氏と語り合った。

 宮田氏はまず、シチズンが「Riiiver」用のエッジデバイスとして発売した「Eco-Drive Riiiver」について、「他のスマートウオッチと違い、デジタルではなく、針によるアナログ表示を採用している点に興味を覚えました。ぱっと見ただけで時間がわかりますし、デザインもバウハウス的でとても洗練されています。IoTデバイスの痕跡を消し去ってしまっていることは、スマートフォンや時計以外のメーカーがつくるウエアラブル端末に慣れている若い世代にとって、逆に新鮮に感じるのではないでしょうか」と語った。

 「Eco-Drive Riiiver」にはモノづくりで100年以上磨いてきたシチズンの技術が結集されている。太陽光や室内の少ない光でも発電する、シチズン独自の光発電技術Eco-Driveを搭載しているのは、その最たる特徴だ。

大石氏
シチズン時計株式会社
営業統括本部オープンイノベーション推進室
室長
大石正樹

 大石氏は、「『Eco-Drive Riiiver』には、Eco-Driveによる光発電だけで動く照度計や加速度計、温度センサーなどが搭載されています。どんな環境下でも、創った機能が存分に発揮されるものでなければ、IoTデバイスとしては不完全だと考えたからです」と語る。

 さらに大石氏は、「通常の時計針は、時針より分針が短くなりますが、『Eco-Drive Riiiver』は表面に塗る色の長さだけを変え、針そのものの長さは同じにしました。針の長さを変えてしまうと、時計としての機能には使えますが、他の機能に使うときに制約が出てしまうからです」と説明した。

 宮田氏は「非常に面白い考え方です。思いもよらない発想やアイデアは、制約を取り払ってこそ生まれるものですからね。わたしは日本を含む世界7カ国で、子どもたちに自由な発想で新しいモノやコトを創造してもらえる機会を提供する事業を行っていますが、『Riiiver』は、そうした子どもたちの“遊び道具”としても非常に適しているのではないでしょうか。ぜひ今後、『Riiiver』に対応する子ども向けの腕時計もつくってほしいですね」と語った。

CITIZEN Riiiver