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日本の人事を支える「COMPANY」新体制で挑戦する次のステップ日本の人事を支える「COMPANY」新体制で挑戦する次のステップ

第1回 日本発の人事ERP「COMPANY」
多様なパートナーとの協業で進化を目指す

日本発の業務アプリケーションである人事ERP「COMPANY」は、約1200の大手企業グループが採用する。その「COMPANY」を提供しているのが、Works Human Intelligence(ワークスHI)である。過去からの蓄積を引き継ぎつつ、ワークスHIはさらなる成長に向けた動きを加速している。ワークスHIの最高経営責任者に就任した安斎富太郎氏に、日本企業の働き方や人事部門の役割の変化をどう捉え、経営に生かすのか、日経BP総合研究所の桔梗原富夫が聞く。

日本発の業務アプリケーションとして
存在感を示す「COMPANY」

安斎 富太郎 氏

株式会社 Works Human Intelligence
代表取締役社長
最高経営責任者
安斎 富太郎

日本IBM理事、デル日本代表、SAPジャパン代表取締役社長、アルテリア・ネットワークス代表取締役社長兼CEOなどを経て、2020年7月1日付けでワークスHI代表取締役社長最高経営責任者に就任

桔梗原 まず、ワークスHIの企業概要についてうかがいます。

安斎 前身であるワークスアプリケーションズは1996年の設立以来、日本発のERPベンダーとして成長しました。人事と会計、SCMの領域でソリューションを提供してきましたが、2019年8月、さらなる発展を目指して人事領域のERP「COMPANY」関連事業を分離。新たにワークスHIが生まれました。COMPANYは20年以上の歴史を持ち、大企業を中心に、現在では約1200の企業グループに導入されています。グループ企業などを含めると、約1万社の法人が人事システムとしてCOMPANYを活用しています。また、98%という継続利用率の高さは、特筆に値するでしょう。

19年の新体制発足に当たっては、投資ファンドのベインキャピタルが100%の株主として参画し、財務基盤が安定しました。製品そのものの進化を加速するとともに、お客様にとって一層価値ある企業になっていきたいと考えています。

桔梗原 外資系企業の経験が豊富で、SAPジャパンの社長も務めた安斎さんがワークスHIの社長に就任するというニュースには驚きました。どのような気持ちで引き受けたのでしょうか。

安斎 理由は2つあります。まず、日本発のビジネスアプリケーションは少ない。その数少ない中でも、COMPANYはトップ集団の一角をなす存在です。実はSAP時代に人事領域ではCOMPANYに結構負けているのですよ。自分にできることがあるなら、ワークスHIの輝きを増すために何かをしたいという気持ちがありました。もう1つ、ワークスHIの若い世代と一緒に仕事をすることで、自分自身がもう一段成長したいとも思いました。

ユーザー目線の設計思想と
変化へのコストを吸収するビジネスモデル

桔梗原 富夫

日経BP総合研究所
フェロー
桔梗原 富夫

桔梗原 確かに、特に大企業向けで日本発のソフトウエアはほとんどありませんね。COMPANYは非常に特異な存在です。なぜ、これほど多くの企業がCOMPANYを活用し続けているのでしょうか。

安斎 理由は徹底したユーザー目線だと思います。2つの側面で説明しましょう。まず、設計思想です。多くのERPベンダーは「業務プロセスをどうやってITに載せるか」という発想から設計開発をスタートします。ある意味では、当然のことでしょう。一方、COMPANYは業務プロセスを分析した上で、まず「どのような業務プロセスにすれば、ユーザーにとって効率的か」を議論し、その上で「それをどのようにITに載せるか」を考える。こうして、ユーザーに寄り添った製品を開発しています。

桔梗原 業務プロセスの最適化を起点にしているということですね。

安斎 もう1つの側面は、お客様ニーズや外部環境変化を反映したバージョンアップに際して、追加料金が発生しないことです。これは、業界の中でも珍しいことです。お客様にとっては、臨時の費用が生じないので安心感につながります。

企業活動や人事戦略は変化の連続です。この「変化のコストを吸収できる」というビジネスモデルで20年以上やってきました。ここが、長期的目線で見た際に多くの企業でメリットを感じていただけている点だと考えています。

桔梗原 COMPANYの「カスタマイズしない」というこだわりは創業当初からですね。

安斎 ノンカスタマイズというと「プロダクトアウトではないか」と思われがちですが、そうではありません。お客様のニーズを取り込んで標準機能の拡充を続けています。すべてのお客様が同じソフトウエアを使っているので、私たちがユーザーコミッティと呼んでいるユーザー会の活動も活発です。

ユーザーコミッティにはお客様の95%が参加し、様々な分科会に分かれて情報交換などを行っています。その活動を見て印象的だったのは、みなさんがCOMPANYを「自分たちのソフトウエア」と思ってくださっていること。ときに厳しい声もありますが、それを含めて前向きなご意見が多く、お客様に助けていただいていることを実感します。

「COMPANY」のエコシステム拡充で
拡大する人事の役割をカバー

桔梗原 技術進化の波を受けて、人事システムに対する企業の要求も多様化しているように見えます。HRテックという言葉もよく使われるようになりました。

安斎 私たちは人事業務を、8段階に分けて整理しています。採用、勤怠管理、人事・給与、福利厚生など様々な手続き、タレントマネジメント、教育・研修、社員エンゲージメント、健康管理です。採用と勤怠管理、人事・給与は人事システムに必須の機能で、それ以外は拡張的な領域といえるでしょう。ただ、近年はタレントマネジメントや社員エンゲージメントなど拡張的な領域への関心が高まっており、こうした動きにERPも対応が求められています。

(図)「COMPANY」がフォローを目指す人事業務分野

「COMPANY」がフォローを目指す人事業務分野

桔梗原 具体的にどのような事業戦略で臨むのですか。

安斎 これから強化すべき部分はありますが、基本的には8つの段階をフルスイートで提供したいと考えています。

ただ、すべてにおいて自社だけで完全な機能を実現するのは難しい。そこで、外部との協業も視野に入れています。

COMPANYの中核は人事関連の業務を支える統合データベースです。協業パートナーのシステムを物理的に統合する必要はなく、論理的に統合データベースに一元化すれば、お客様は1つの人事システムとして有効に活用できます。

安斎 富太郎 氏

桔梗原 パートナーとの協業はどのように進んでいますか。

安斎 製品、販売、サービスの3つの分野で進めています。製品に関しては特化した強みを持つクラウドベンダーなどとの協業を検討しています。

販売、導入およびサービスサポートについても、私がこれまでに培った経験や人脈を生かし、様々な企業とのパートナーシップに向けた準備を進めています。お客様の業務に精通したSIerやコンサルティング会社との協業は、導入の短期化などお客様にとってもメリットが大きいと思います。多様なパートナーとの協業をベースに、COMPANYを中心とするエコシステムの拡充を目指しています。

桔梗原 COMPANYの優位性はお聞きしましたが、ワークスHIの企業としての強みはどこにあるとお考えですか。

安斎 成長する企業は3つの要素を持っていると思います。優良顧客と卓越した技術力、優秀な社員です。そして、ワークスHIはその3つをすべて備えています。先に触れたように、法人数で1万社を超えるお客様がいること。強力な開発チームがあり、チャレンジングな社員がいます。付け加えると、ワークスアプリケーションズ時代から受け継いできた進取の精神、全力を尽くしてやり切ろうとする文化があります。さらに、様々なチャレンジを支える財務基盤も強化されました。過去から継承された文化を生かしつつ、そこに新しい要素を加えながら、お客様に対してより大きな価値を提供できるよう、ワークスHIをさらに成長させていきたいと考えています。

桔梗原 ワークスHIが今後の経営戦略として重視していることは何ですか。

安斎 CEOとしては3つの成長に貢献できる会社にしたいと考えていて、それぞれにKPIを設定しています。1つ目は、お客様の成長。これに対しては、顧客満足度調査を行い製品評価、サポート評価、会社としての評価といった軸の調査結果を指標にしています。

2つ目は、社員の成長。こちらはどれだけ社員が自己実現できているかという点と、各ポジションに対し後継者リストが埋まっているかという点を見ています。

3つ目は、会社の成長。こちらは初めにお伝えした当社の強みである契約継続率、そして当然売り上げや利益率、EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)といった指標で見ています。

これら3つの成長を実現することがCEOとしてのミッションだと考えています。

左から安斎 富太郎 氏、桔梗原 富夫

対談を終えて

対談を通じて、COMPANYは時代を先取りしたビジネスモデルで20年以上成長してきたことが分かりました。これからの人事システムとして、長期目線で見て変化に強い点は非常に強みだと感じられます。これまで自前主義のイメージが強かった同社が、人事業務の役割の変化に対し、群雄割拠となっているHRTech業界の中で新たにエコシステム形成を目指す戦略でどう進化を遂げるのか、期待してしっかり見ていきたいと思います。(桔梗原富夫)

桔梗原 富夫
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問い合わせ先

株式会社 Works Human Intelligence
https://www.works-hi.co.jp/