日経 xTECH Special

日本の人事を支える「COMPANY」新体制で挑戦する次のステップ日本の人事を支える「COMPANY」新体制で挑戦する次のステップ

第2回 徹底した顧客視点で成長を続け
人事分野のプラットフォームへ

現在では約1200の企業グループが活用するWorks Human Intelligence(ワークスHI)の「COMPANY」。中心となる顧客層は、日本の大企業である。時には難題を突き付けられる顧客の声と真摯に向き合いながら、COMPANYは20年以上にわたって成長を続けてきた。製品部門を統括する森田旭氏に、COMPANYの成長の軌跡、将来のビジョンについて、日経BP総合研究所の桔梗原富夫が聞いた。

将来にわたって顧客に対して責任を持つ
顧客視点へのこだわり

森田 旭 氏

株式会社 Works Human Intelligence
Product Div.
Senior General Manager
森田 旭

桔梗原 まず、森田さんのバックグラウンドについてお尋ねします。

森田 私は2004年、ワークスHIの前身であるワークスアプリケーションズに入社しました。以来、ほぼ一貫して開発畑を歩んできました。私が入社したころ、主力パッケージ製品である「COMPANY」のお客様は400社ほどだったと思います。現在は約1200の企業グループで活用されていますが、時代ごとの製品の成長や変化を現場で見てきました。

桔梗原 環境変化のスピードは速いですね。2000年代から現在までを見ても、テクノロジーやマーケットの状況は大きく変わりました。

森田 かつて、日本の大企業は人事関連のシステムをスクラッチ開発していました。2000年前後から外資系パッケージを導入する企業が増えましたが、パッケージの機能だけでは業務が回らないので、大幅なカスタマイズを施して活用していました。こうした中で、私たちは日本の大企業がカスタマイズなしに使えるソフトウエアとしてCOMPANYを提供してきました。カスタマイズすれば既存業務に適合するシステムにはなりますが、バージョンアップに対応するために多大なコストと時間がかかります。私たちはノンカスタマイズによりお客様のトータルコストを抑え、ROI(投資対効果)向上に寄与したいと考えています。また、そこに社会的な意義も感じています。

桔梗原 COMPANYはワンソース・ノンカスタマイズで、すべてのユーザーが同じソフトウエアを使います。業務アプリケーションにおいてそうした考え方を貫くためには、開発現場のご苦労も多かったのではないですか。

森田 エンジニアとしてのキャリアの中で、印象に残っているエピソードがあります。お客様から、「人事情報を表計算ソフトに出力したい」という強い要望がありました。シェアウエアのライブラリーを見つけて、「これを使えないか」と経営に提案したところ、即座に却下されてしまいました。そのライブラリーが将来にわたって最新の表計算ソフトをサポートするという保証がない。したがって、当社がお客様にこの機能を提供し続けるという約束ができない。一度実装された機能は、引き続き提供されることをお客様は期待しています。期待に応えられると自信を持って言えない以上、そのライブラリーを使うべきではないという判断だったのです。

桔梗原 徹底した顧客視点ですね。その後、求められた機能は実現したのですか。

森田 オープンソースのライブラリーを探し出し、これを用いて機能を実装しました。もしライブラリーが表計算ソフトへの対応をやめたとしても、オープンソースなので、自分たちで責任を持って機能を提供し続けられます。自分たちの提供するソフトウエアに、自分たちは本当に責任を持つことができるか。それは、現在の私の重要な判断基準の1つでもあります。

「既存業務の効率化」に加えて
「今は行われていない業務の実現」がテーマに

桔梗原 富夫

日経BP総合研究所
フェロー
桔梗原 富夫

桔梗原 近年、「2025年の崖」という言葉が危機感を持って語られるようになりました。スクラッチ開発または大きなカスタマイズを施したシステムが、十分なメンテナンスができないまま「負の遺産」になっているのではないか。こうした問題意識が一般化する前から、COMPANYはノンカスタマイズにこだわってきました。20年以上前にこのような設計思想を掲げたことは、画期的だったと思います。

森田 A社の要求を聞いて、それをシステムに落とし込むのがカスタマイズです。これに対して、COMPANYの方針はA社やB社の要求を聞いてA~Z社、すなわちすべての企業が活用できるような仕組みをつくることです。汎用性と個社における業務のしやすさは、時にトレードオフになることがあります。私たちはできる限り、これらの両立を目指して開発に取り組んできました。

桔梗原 改めてお聞きしますが、日本の大企業の多くに受け入れられてきたCOMPANYの強みはどこにあるとお考えですか。

森田 長年、日本の大企業のニーズを継続的にバージョンアップに反映させてきた結果、COMPANYは汎用的かつ業務網羅性の高いシステムになりました。それが最大の強みです。特に、人事・給与、勤怠管理など中核的な領域における充実した機能は、簡単にはマネのできないものです。稼働環境もクライアント/サーバー型から3層構造型、さらにはSaaS型へと技術の進展に合わせて変えてきました。ただし、お客様のニーズは時代とともに変化します。その変化に追随し続けることにより、COMPANYはこれからも進化していきます。

桔梗原 ニーズの変化とは、具体的にどのようなものでしょうか。

森田 以前は「既存業務の効率化」が人事部門の大きなテーマでしたが、7~8年前から「今は行われていない業務の実現」が課題視されるようになりました。代表例がタレントマネジメントです。人材のスキルなどを可視化し、最大限に活用しようという考え方は日本企業の間でも広がりつつあります。3~4年前から目立ってきたのは社員エンゲージメントの潮流です。ある意味では、人事業務の拡張、進化といえるでしょう。こうした動きに対応して、COMPANYのカバーエリアも拡大しつつあります。

森田 旭 氏

人事分野のプラットフォーム
エンプロイージャーニーを支える基盤に

桔梗原 人事分野において次々と新テーマが浮上している中で、そうした機能をCOMPANYに実装し続けるのは大変だと思います。

森田 すべてを自前で開発しようとは考えていません。特定の領域で強みを持つクラウド事業者も増えており、こうしたパートナーと連携することで、お客様のニーズに対応することは十分可能です。人事に関わるエコシステムの中核に、ワークスHIの統合データベースが位置するというような形を目指しています。

桔梗原 将来的には、COMPANYが人事分野のプラットフォームとして成長していく。そんなイメージでしょうか。

森田 そうした世界を目指したいと思っています。営業実績や健康データなど、様々なデータが人事データとつながり始めています。そして、これらのデータをいかに活用するかが、企業戦略における主要テーマになっています。単にデータを管理するだけでなく、データを分析し活用することが求められるようになりました。システム側ではデータを整理し、いつでも活用可能な状態を維持しておく必要があります。タレントマネジメントや社員エンゲージメントにも関連しますが、長期にわたって社員の成長をサポートする姿勢や施策は、経営において今後ますます重要になるでしょう。こうしたエンプロイージャーニーをトータルに支える基盤として、COMPANYを進化させていきたいですね。

桔梗原 時間軸の入ったエンプロイージャーニーという言葉はいいですね。長期雇用を前提とする日本企業にとって、非常に有効な視点だと思います。

左から森田 旭 氏、桔梗原 富夫

対談を終えて

COMPANYの開発一筋で歩んできただけあって、森田さんの経験は現場感にあふれる多くのエピソードに彩られています。印象に残ったのは、やはりワンソース・ノンカスタマイズへのこだわりです。そして、顧客とユーザーにとっての最適を追求する姿勢。COMPANYがなぜ日本の大企業の多くから支持を集めているのか、その理由が理解できたように思います。
(桔梗原富夫)

桔梗原 富夫
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問い合わせ先

株式会社 Works Human Intelligence
https://www.works-hi.co.jp/