SAP BW on HANA基盤更改事例/TOA株式会社 なぜ、TOAはデータドリブン経営を支える基盤に「Ready Node for SAP HANA」を採用したのか ~構築期間や費用・リスクを抑えつつ、信頼性を向上する方法~

業務用の音響機器と映像機器の専門メーカーであるTOA株式会社は、グローバルな経営情報の集計・分析に活用している「SAP BW on HANA」の基盤更改にあたり、デル・テクノロジーズのアプライアンスモデル「Ready Node for SAP HANA」を採用した。各種ソフトウエアやファームウエアが稼働確認済の安定性と信頼性、さらに構築期間の短期化を高く評価したからだ。わずか4カ月で行われた基盤更改で、どのようなメリットが生まれたのかについて紹介したい。

TOAのデータ集計・分析業務支える
SAP BW on HANA基盤

1934年に神戸で創業したTOA株式会社(以下、TOA)は、業務用・プロ用の音響機器と、防犯・監視カメラなどのセキュリティ機器の専門メーカーである。拡声器として知られる「電気メガホン」を世界に先駆けて開発した同社は、駅や学校などの公共施設で使用される放送設備で高いシェアを獲得。長年培ってきた技術力を生かし、「セキュリティ&セーフティ」「インフォメーション&コミュニケーション」「プロフェッショナルオーディオ」の3分野にわたって、世界120カ国以上に数々の商品を送り出している。

TOAはグローバルな競争力強化に向け、様々な業務システム内のデータを統合的に集計・分析し、スピーディーで正確な意思決定を行っている。そのためのツールとして活用されているのが、全社規模での業績管理や経営分析を支えるデータウエアハウスプラットフォーム「SAP Business Warehouse(SAP BW)」、様々なデータ統合から分析レポーティングサービスまでを実現するBI製品「SAP BusinessObjects(SAP BO)」、さらに連結会計ソリューション「SAP BusinessObjects Financial Consolidation(SAP BOFC)」である。これらのシステムは海外グループ会社も含めた連結決算処理の早期化や、グローバルな業務分析、予算管理/予測などに幅広く活用されている。

こうした重要なデータ集計・分析業務を支えているのが、超高速なインメモリデータベース「SAP HANA」を基盤としたインフラ環境だ。TOAのSAP BW on HANAはこれまで、オンプレミスのサーバー上に構築されており、別環境のVMware ESXiの仮想化基盤で稼働する「SAP BW」「SAP BO」とシームレスに連携しながら全体システムを構成していた。

だが数年前から、これらSAP製品の基盤となる物理サーバーの老朽化が進んできたことで、様々な課題が顕在化してきたという。

ハードウエアの老朽化と
バックアップの強化が課題に

「SAP BW on HANAのサーバーでメモリーリークや不具合が頻繁に発生するようになり、数カ月ごとに再起動しなければならない状態になっていました。また、ハードウエアのサポート終了が近づいていたことも大きな不安材料の1つでした。不具合や脆弱性が今後修正されないようになると、業務停止やセキュリティのリスクが高まるからです」と、TOA株式会社 情報システム部 システム技術グループの大林 正氏は振り返る。

さらにバックアップ環境の強化も長年の課題だったという。

「SAP BW on HANAの基盤サーバーには、ハードウエアベンダー特有のファイルシステムが存在しており、それがSAP BW on HANAのシステムバックアップを複雑化する大きな要因になっていました。一度データを別ドライブにエクスポートしてからでないとシステムバックアップができないため、いざというときのリカバリーや再インストールに多大な時間と手間を要していたのです。その間はSAP BW on HANAを停止せざるを得ず、経営データの作成や分析、ひいては経営判断の迅速化にも支障をきたす恐れがありました」と大林氏。基盤をリプレースする際は、そういったリスクを最小化するためにも、SAP BW on HANAのフルバックアップを、よりシンプルかつ迅速に行える環境に移行したいと考えていたという。

TOAにとっては最重要な基幹システムであるだけに、より安定的で高信頼のシステム基盤が必要とされていた。

「アプリケーションに関しては安定稼働していたため、エンドユーザーに与える影響を最小化するためにも、しばらくは同じバージョンで稼働させたいという思いが強くありました。そのため既存環境をそのまま安定的に稼働するプラットフォームへ、なるべく短期間で移行したかったのです」(大林氏)

稼働確認済アプライアンスを
SAP BW on HANAの新基盤に

現在利用しているアプリケーションとの親和性、設計・構築の工数削減といった要件を満たす新たなハードウエア基盤としてTOAが選択したのが、デル・テクノロジーズのアプライアンスモデル「Ready Node for SAP HANA」だった。

その理由を大林氏は次のように語る。「現在使っている各種ソフトウエアやファームウエアが稼働確認済のため、安定したシステムが構築できると考えました。さらにアプライアンスならセットアップまでの期間や費用も抑えられます。こうした観点からいくつか市場にある製品を比較・検討し、デル・テクノロジーズの製品が、最もコストパフォーマンスが高いと判断したのです」

デル・テクノロジーズはSAPとの間で20年以上のパートナーシップを結び、共同検証などを通じてSAP ERPシステムやSAP HANAのIT基盤で多くの導入実績を持っている。特にSAP HANAに関しては、その登場時から積極的にコミットしており、2011年6月には他社に先駆けてSAP HANAアプライアンスを製品化した歴史がある。

また、以前同社が2018年に導入していたPowerEdgeサーバー3台を基盤とするHCI環境の評価が高かったことも重要なポイントとなった。「このHCIでは複数のPowerEdgeサーバーの統合遠隔監視が行えるiDRACとOpenManageを活用していました。その管理性能が非常に高いため、インフラの統合管理に活用したいと考えたのです」と大林氏は語る。

これに加えて、デル・テクノロジーズの強固なサポート体制の採用を後押しした。

「システム選定を行う際に、宮崎にあるデル・テクノロジーズのカスタマーセンターを見学させていただきました。今まで使っていた外資系ベンダーの多くは海外にサポートセンターがあるため、どうしても対応レベルやスピードに不安を感じていました。しかし宮崎では当然のように、デル・テクノロジーズの日本人社員の方が日本語でしっかり対応しているのを拝見しましたし、24時間365日のプロサポートでは、重大なインシデントにも対応できるラボ的な環境も整っていました。これなら何かトラブルが起こった際にも安心してお任せできると考えました」(大林氏)

ProDeploy Plusの活用で
デプロイ期間を大幅に短縮

2019年8月にスタートしたSAP BW on HANAの基盤リプレースプロジェクトは、ハードウエア導入に約1カ月、基盤テストや本番移行を含めてもトータルで4カ月という非常に短期間でのカットオーバーとなった。通常のスケジュールと比較すれば、約半分の期間である。

それはSAPアプリケーションでの稼働を事前検証済みで、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを搭載したPowerEdgeベースの「Ready Node for SAP HANA」の選択に加え、エンタープライズ向け導入支援サービス「ProDeploy Plus」を活用した効果が大きい。ProDeploy Plusとは、信頼できるデル・テクノロジーズのエキスパートスタッフおよびパートナーが、ハードウエアの基本的な取り付け作業から計画、構成、複雑な統合までの導入をサポートするサービスだ。これにより、今回のリプレースプロジェクトでも、設計・構築工数と期間が大幅に削減されたのである。

より安定した稼働と
バックアップ環境の強化を実現

SAP BW on HANAのシステムインフラ刷新により、システムの安定性は格段に向上した。

「導入してもう半年以上たちますが、Ready Node for SAP HANAの導入後は安定稼働の状態が続いています。上位のアプリケーションが変わっていないので、エンドユーザーにとっては基盤が変わったという実感がないかもしれませんが、処理速度は確実に速くなっていますし、これまでのように分析業務や会計業務の急な中断を余儀なくしてしまうリスクがなくなったという点は、ビジネス面でも大きなポイントだと考えています」(大林氏)

またバックアップ環境に関してもSAP向けに最適化された仕組みを採用することで、様々な懸念が払しょくされた。特筆すべきは、既に導入済のバックアップ専用重複排除ストレージ「Dell EMC Data Domain」に対する「Application Direct」機能の追加だ。Application Directは、特定のアプリケーションが持つ標準ツールと、クライアント重複排除機能を提供する「Data Domain Boost」を自動連携させることで、一般的なバックアップソフトウエアなしにバックアップとリストアを実施可能とする次世代型データ保護の仕組みで、SAPやSAP HANA環境にも対応している。

今回この機能を追加実装したことにより、SAP BW/BO/HANAデータの日次バックアップ性能を向上させるだけでなく、重複排除が効いた状態でのより効率的なバックアップやDRサイトへのレプリケーションが行えるようになり、14世代にも及ぶバックアップデータの保管と、いつでも任意のタイミングを指定してリストアできる環境が整備されたのである(図)。つまり、既存資産のData Domainのソフトウエア機能を増強するだけで、重要な経営データに対し、より高度なデータ保護を実施できるようになったわけだ。

分析業務に欠かせないSAP BW/BO/HANAデータを日次でバックアップ。 Dell EMC Data Domainのソフトウエア機能の強化により、重要な経営データを効率的かつ強固に保管できるようになった

今後の展望について、大林氏は次のように述べる。

「今回はインフラ部分のリプレースで既存環境の安定的な延命を行うことができました。ただし、この先を見据えると、クラウドへの移行か、オンプレミスのSAP S/4HANAへの移行、もしくはハイブリッドな環境を選択していくしかありません。デル・テクノロジーズさんは、サーバーやストレージといったハードウエアだけでなく、仮想化やクラウドといったDX全般に及ぶ幅広いソリューションを展開されていますので、その際は当社のビジネスをさらに進化させる、様々な提案をいただきたいですね」

今後もTOAでは、グローバル競争力の向上に向けたシステム基盤の強化を図り、高品質な製品とサービスを提供していく考えだ。

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