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ニューノーマル時代に
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  • IT自動化/レッドハット

進まないITインフラ自動化
作業をサービス化した
「自動化2.0」で課題解決へ

ITインフラの運用業務効率を向上させるには自動化が欠かせない。しかし、複雑化、多様化しているITインフラでは、自動化を進めても効果が得られないことが多い。こうした現状を打破し、ITインフラの自動化を実現するパラダイムシフトとして「自動化2.0」への移行がある。作業をサービス化、標準化して価値がある自動化を実現する方法を見ていく。

インフラの自動化は
自動化1.0から自動化2.0へ

レッドハット株式会社
テクニカルセールス本部
ソリューションアーキテクト
中島 倫明 氏

桔梗原 ITインフラの自動化や運用負荷の軽減は古くからある課題です。既存インフラの運用にリソースが割かれることでデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の妨げになっているともいわれています。

中島 ITインフラは、自動化して効率を上げようとすると、頑張れば頑張るほど効率化が進まないというジレンマを抱えています。大規模なインフラになればなるほど、スキルが分散し対応できる人が限定され「自動化のサイロ化」が進みます。実際、ITインフラのオペレーション自動化は3割から4割程度にとどまっているという調査の報告もあります。

桔梗原 するとITインフラの自動化はうまくいかないのでしょうか。現状を打開する新しい動きはありますか。

中島 ITインフラの自動化では、最近になってパラダイムシフトが起きています。従来の自動化(自動化1.0)では、人間の手作業を自動化することで効率化するアプローチでした。一方の自動化2.0は、そもそもの作業をサービス化するよう設計し、自動化を進めます。

作業を「サービス化」して
誰でも使えるように

桔梗原 実際のITインフラの例から、自動化2.0について説明していただけますか。

中島 例えば、サーバーチーム、ネットワークチーム、アプリケーションチームの3つが連携して、Webアプリケーションのリリースという作業を考えます。自動化1.0では、「ロードバランサーの閉塞」「事後のバックアップ」などの個々の作業は自動化できますが、この3チームは変わらずに業務に登場し続けます。自動化2.0になると、「ロードバランサーの閉塞」などの機能はネットワークチームがサービスとして作り、他のチームが使えるようにします。すると、ネットワークチームは業務には関わる必要はなく、サーバーチームとアプリケーションチームの連携で業務が遂行できます。

桔梗原 なるほど、作業に関わるチームが3チームから2チームに減りましたね。

中島 3チームが登場していると3経路の調整が必要ですが、2チームになれば1経路の調整だけで済みます。机上の計算では作業量が3分の1になります。実際の案件ではこれ以上の効果が出ています。これは調整作業が占める割合が想像以上に多いということを示しています。自動化2.0はこのような人や組織のオーバーヘッドに作用します。

桔梗原 レッドハットではRed Hat Ansible Automation Platform という自動化プラットフォームを提供しています。これは自動化2.0の実現にどのような役割を果たしていますか。

中島 2つの役割があります。1つは「自動化のサイロ化」を解決するものです。自動化の作成方法、実行の仕方を標準化することで、属人化やサイロ化を防ぎます。もう1つは、標準化した機能を「ボタン」として提供することです、作った人以外も、機能をサービスとして「ボタン」を押すだけで利用できるようにします。

[画像のクリックで拡大表示]
「自動化1.0」から「自動化2.0」へ
「自動化1.0」では、作業を個々に自動化していた。「自動化2.0」では、作業をそれぞれサービスとして定義し、標準化する。これにより、各サービスを連結して大きな機能を作れる
※講演の一部をOn-Demand形式で視聴いただけます。

自動化2.0の取り組みのポイントは
「ゴール」「専任体制」「アジャイル」

桔梗原 自動化2.0を推進しようとする企業が注意するポイントがあれば教えてください。

中島 自動化2.0をゴールとして、Ansibleのようなツールを使ったからといって、全員が成功しているとは限りません。3つのポイントが明暗を分けていると分析しています。1つ目は「ゴール設定」で、「サービスを提供する」ことをゴールに見据えて自動化を進める必要があります。自動化1.0のような単純な作業の置き換えではダメです。2つ目は「体制」です。自動化の推進は専任の担当者に任せなければなりません。現場と兼任では小手先の作業になりがちです。3つ目は「アジャイル」なアプローチで小さくても効果を積み重ねていくことです。ウォーターフォール型のアプローチでは、自動化の対象が着々と変化し、出来上がったときには既に使えない自動化になっていることもあります。「ボタン」を1つずつ作り、小さな効果を認めていき、最終的には多くのボタンを連携した自動化を実現するアプローチが自動化2.0を成功させるために求められています。

レッドハット株式会社

https://red.ht/ansiblejp


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