ITインフラSummit 2020

サーバやストレージをはじめとする自社の製品群や各種サービスを柱に、AIやクラウドやOSSも適宜組み合わせつつ、企業に最適なITインフラを提供するHPE。今回の講演では、AIトランスフォーメーションの実現手法、ハイブリッドクラウド環境の運用自動化、オンプレミスのAs a Service、データ基盤のインテリジェント化といった4つを切り口に、ITインフラの課題解決方法や次世代のあるべき姿などを提示した。

失敗しないAIトランスフォーメーションの
検討ステップと実現手法

日本ヒューレット・パッカード
Pointnext事業統括 テクノロジーアーキテクト部 部長
惣道 哲也

日本ヒューレット・パッカード
惣道 哲也

惣道氏は講演冒頭で、AIトランスフォーメーションにはProcess、Platform、Peopleの「3つのP」が重要であると強調した。

Processについては5つのステップに分けて解説。「AIはやみくもに始めるのではなく、最初にビジネスゴールを明確化し、AIチームとビジネスチーム間の対話によりロードマップを策定します。次はデータソースの取得方法はもちろん、ビジネス利用が法的に許されるのかも検討します」(惣道氏)。

集めたデータは集約・加工などの前処理を行う。特にディープラーニングにおける教師あり学習では、データのラベル付けは面倒でも欠かせない作業だ。そして、モデル学習においてもアルゴリズムやハイパーパラメータの選定に関する比較検証を実施し、その結果を可視化する。「これら一見泥臭いステップをきちんと踏むことが肝要です」と惣道氏は述べた。

Platformについても収集した大量のデータを加工・分析し、モデル学習する必要があり、多種多様なツールやバージョンの組み合わせも含めて迅速かつ柔軟に行える基盤が求められる。

「各処理を行うシステムはサイロ化せずに、統合化・近代化すべきです。その鍵はコンテナ技術です」と語る惣道氏。コンテナの構成配備や運用管理には、現時点では業界標準のOSS製品である「Kubernetes」がほぼデファクトとして活用されている。

AIのモデル学習やデータ分析は対象や目的などによって、使用するツール類など環境が異なるが、コンテナ統合基盤の上で、そういった多様な環境を生成・利用できる。

「コンテナによって、分析者自身で環境の準備やタスク実施を素早く自在に行えます。分析者に優しい“データ分析の民主化”を実現できるのです(People)。不要なオーバーヘッドを省き迅速なフィードバックが得られるため、ビジネス成果につながります」(惣道氏)

HPEはコンサルティング・構築サービス部門「HPE Pointnext」を中心に、顧客のAI活用を支援している。

「当社の製品やソリューションとOSSを組み合わせ、AIに必要な要素をコンテナによって“As a Service”で提供する基盤構築をはじめ、包括的なサービスを提供しています。クラウド、オンプレミス問わず、AIで何かご要望や課題があれば気軽にお声がけください」と惣道氏は講演を締めくくった。

自動化で何を変えたのか
~HPE社内ITの場合、日本国内のお客様の場合~

日本ヒューレット・パッカード
ハイブリッドIT事業統括 プロダクトアーキテクト統括本部
齋藤 豪

日本ヒューレット・パッカード
齋藤 豪

企業のITインフラは近年、オンプレミスとパブリッククラウドを組み合わせたハイブリッド環境の導入をはじめ、複雑化の一途をたどっている。そのようなITインフラの構築保守運用の自動化が今求められている。

「複雑化が進む多様なITインフラをマニュアルで管理するのはもはや限界です」と話す齋藤氏。自動化は作業時間・労力の削減をはじめとする定量的な効果に加え、非定量的な効果も大きいと述べた。

「システム面では、セキュリティの向上、ヒューマンエラー低減、ナレッジ平準化などの効果が得られます。同時に人の面でも、スキルアップできない職場に不安を抱えている貴重なIT人材をルーティンワークから解放し人材流出防止につなげたりするなど、多くの効果が期待できます」と齋藤氏は語った。

HPEは自社のIT変革の一環として、ハイブリッド環境の導入とともに、徹底的な自動化を実施。レッドハット社のIT運用自動化ツールの「Red Hat Ansible Tower」(以下、Ansible Tower)を軸に、ソフトウェアとハードウェアの保守運用をトータルで自動化した。

HPEは社内実践で蓄積した知見を活かし、APIコントロールが可能なサーバ「HPE Synergy」などの製品とAnsible Towerを組み合わせた自動化ソリューションを顧客に提供する。齋藤氏はその国内事例として、ICTサービス企業のPSCのハイブリッド環境、みずほ銀行のプライベートクラウドの自動化を取り上げた。

続けて齋藤氏はVMware ESXiのプロビジョニング、およびデプロイ済みOSの設定変更を例に、Ansible Towerによる自動化の効果を具体的な数値を挙げて紹介。そして、コンプライアンスチェック(システムが「あるべき状態」かの確認と修正)の例として、クラウド上のサーバとオンプレミスのサーバのOS設定確認を自動的に行っている様子をデモで紹介した。

「ハイブリッド環境におけるパブリッククラウドとオンプレミスの保守運用を、Ansible Towerという同じツールを用いて、一元的に効率よく実施できます」と斎藤氏は強調した。

HPEではHPE SynergyなどのサーバにAnsible Towerを事前セットアップしたパッケージ「あんしんAnsible パック」の提供などによって、ITインフラ構築保守運用の自動化に取り組む企業を強力に支援する。

As a ServiceによりITはどう変わるのか?

日本ヒューレット・パッカード
Pointnext事業統括 OSビジネス開発本部
ソリューションビジネス開発部 部長
酒井 睦

日本ヒューレット・パッカード
酒井 睦

ビジネスが求めるITリソース調達における市場の傾向は2019年以降、サービスとしての調達である“As a Service”が加速する。酒井氏は従来の調達と比較し、「As a Serviceは要する期間は分・時間単位、支払いは従量制であり、かつ、維持運用にかかるリソースを有効活用できるのが利点です」と話す。

As a Serviceの代表といえばパブリッククラウドだが、その一方でコントロール性の高さなどから、オンプレミスを利用する企業も多い。HPEはクラウドの技術をオンプレミスに積極利用したコンサンプションモデル(従量課金型)のサービス「HPE GreenLake」を提供する。

「オンプレミス環境において、パブリッククラウドのようにリソースをAs a Serviceで利用できます。オンプレミスとクラウドのメリットを両立したサービスです」と酒井氏は強調する。初期構築や運用支援サービスも含め、月額従量課金で提供する。

ハードウェアには予備リソースをあらかじめ備えておくことで、急なリソース増に対応可能とする。「ビジネス状況に応じたリソース消費の変化に即対応できます。それでいてコストは利用したぶんだけで済むなど、オンプレミスでありながら、クラウドのような柔軟性も兼ね備えています」と酒井氏は解説した。

HPE GreenLakeはグローバルでは8年前、日本では5年前から提供しており、国内の採用事例も増えている。たとえばトヨタマップスターでは、デジタル地図製作システムのストレージとして、高性能オールフラッシュアレイをHPE GreenLakeで導入。将来の地図情報の高精度化・大容量化への柔軟な対応、バッチ処理時間を1/5に短縮などの効果が必要最小限のコストで得られている。

他にもパナソニックインフォメーションシステムズ、大塚商会、SCSK、みずほ銀行、カブドットコム証券などで採用され、幅広い業種の企業のビジネスを長年支えている。

「4~5年先が読めない市況の中で、ITリソースのリスクヘッジをHPEが担ってくれるなど、お客様から高い評価をいただいています」(酒井氏)

データプラットフォームの新常識
~インテリジェント化がDXの成否を左右する~

日本ヒューレット・パッカード
ハイブリッドIT事業統括 プロダクトアーキテクト統括本部
製品技術本部 本部長
中井 大士

日本ヒューレット・パッカード
中井 大士

デジタルトランスフォーメーション(DX)を実践する企業には、オンプレミスも含めすべてをクラウドのごとく運用し、あらゆる垣根を無くしてデータやサービスの活用が求められるが、そのためのデータ基盤はあらゆる環境に分散し複雑化し、もはや人手での運用は困難だ。

中井氏はこれからのデータ基盤の方向性を「適切な運用を自動化できる “インテリジェンス” が必要です。システムのことはシステム自身に任せ、人はビジネスへのフォーカスを加速させるべきです」と語った。

そのようなインテリジェンスの代表が、AIを活用したシステムの分析/予測/自律運用だ。HPEは「HPE InfoSight」として、既にいくつかの製品に組み込んでいる。

「収集したシステム稼働データから、AIが自動で問題分析、傾向の学習、原因追究を行います。そして、最適な運用アクションを実行/レコメンドし常に最適なシステム状態を維持します」(中井氏)

中井氏は実例として、システムで従来の傾向にはない温度上昇を検知・分析し、周辺環境の問題を探ることをレコメンドした結果、データセンター内の空調障害を突き止めて対応したケースを紹介。また、ストレージ「HPE Primera」にて、AIによる予測運用で可用性100%を保証する例も取り上げた。将来は分析ポリシーにグローバルでの学習結果を即座に反映させる高度化も構想している。

中井氏はインテリジェンス基盤の他の特徴として、データモビリティについても述べた。マルチクラウド/オンプレミス環境にまたがるデータ連携には現状、オンプレミスのデータはパブリッククラウドに上げづらい、一度パブリッククラウドに入れたデータは取り出しにくいなどの課題がある。HPEはクラウドストレージサービス「HPE Cloud Volumes」で解決する。

「各パブリッククラウドのVMから、クラウド内のストレージサービスのようにデータアクセスが可能になります。データロックインを回避し、データの置き場に縛られずに、組織横断でのデータ活用を推進できます」と中井氏は強みを説明した。

お問い合わせ

日本ヒューレット・パッカード

https://www.hpe.com/jp/

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