「PCサーバー」部門と「ストレージ」部門でNo.1となった日本ヒューレット・パッカード(HPE)。同社は先進的な製品を提供するベンダーとして知られているが、見逃せないのはサービス面でも積極的な取り組みを進めていることだ。その目的は、変化への対応を柔軟かつ俊敏に行えるITインフラの構築・運用を、強力に支援することにある。デジタル化で変化し続けてきた経済環境は、コロナ禍によってさらに激変することになった。このような状況に対応する上で、頼りになるパートナーといえるだろう。
デジタル化を背景に急速な変化が続くビジネス環境。新型コロナウイルス感染症の拡大は、この勢いを一気に加速することになった。このような環境下で企業が生き残っていくには、ITの俊敏性が欠かせない。ITインフラを根本から見直し、激変するビジネス環境に柔軟に対応できる基盤を確立しなければならないのだ。その取り組みを強力に支援できる企業が、今回「PCサーバー」部門と「ストレージ」部門の両部門で、顧客満足度No.1を獲得した日本ヒューレット・パッカード(HPE)である。
評価の背景には、同社が提供する製品の先進性があることは言うまでもない。「当社のPCサーバーである『HPE ProLiant』は現在既に10世代目となっていますが、世代が進むごとに、HPEならではの新技術を投入しており、それが市場のスタンダードになるという流れを生み出してきました」。そう説明するのは、HPEの本田昌和氏だ。
2017年に登場した第10世代では、シリコンレベルのセキュリティ機能をいち早く搭載、現在では他社製品にも盛り込まれる一般的な機能になっている。また最近では“クラウドの利用感”でインフラをシンプルに管理できる「HPE Synergy」もリリース。コンポーザルインフラストラクチャという新時代のコンセプトを提唱し、オンプレミスとクラウドのシームレスな連携を可能にしている。
ストレージでも様々な先進的な取り組みが行われている。その1つが「HPE Primera」のリリースだ。ミッションクリティカルを再定義するハイエンドストレージであり、卓越した耐障害性とパフォーマンス、そしてクラウドの俊敏性を備える。特定の条件を満たした場合には可用性100%を保証するプログラムの提供でも大きな話題となった。
しかし製品の先進性だけに目を奪われてしまうと、HPEの本質を見誤ることになる。こうした先進性に加えて重要なのが、ITインフラの運用モデルを変革する取り組みが、積極的に進められていることなのだ。
「当社は『Nimble Storage』を買収したときから『HPE InfoSight』を提供していますが、この機能はストレージの運用モデルを大きく変えるものとして、お客様から高く評価されています」と本田氏。HPEInfoSightは、世界中にあるHPEのストレージ製品群をネットワークに接続し、そこから集められた膨大な実稼働データをAIで分析する機能である。
HPE InfoSightが個々のストレージの稼働状況の予測やレコメンデーション、障害に関する高度な洞察を提供してくれるため、適切なリソース計画や障害時のプロアクティブな対処が可能になる。HPEPrimeraの100%の可用性保証も、このような機能を活用しているからこそ可能になったといえる。「現在ではHPEInfoSightの適用製品を、ストレージだけではなくサーバーにも拡大しています」と本田氏は語る。
その一方で提供サービスの拡充も行っている。その中心的な役割を担うのが、「HPE Pointnext Technology Services」だ。
「HPE Pointnextは2017年11月にスタートしていますが、その最大の特徴は、従来は2つの部門に分かれていたシステム構築と運用の部隊を統合した点にあります」と説明するのは、HPEの小川 光由氏。これによって構築から運用までシームレスにサポートできるようになり、運用で得られた知見も構築にフィードバックしやすくなった。
またISO9001の取得など、品質マネジメントシステムの確立に向けた取り組みも地道に進めてきた。「HPE Pointnextのサービスを活用していただくことで、オンプレミスとクラウドを融合したハイブリッドクラウドを、最適な形で構築・運用できるようになります。これは変化に強いITインフラを確立していく上で、重要な条件の1つとなります」と小川氏は説明する。
そしてもう1つ見逃せないのが“as-aservice”への取り組みである。HPEでは10年前から「HPE Flexible Capacity」というオンプレミスITインフラの従量課金制を提供していたが、その後「HPE GreenLake」へとリブランドし、プログラム内容を拡充し続けている。
「HPE GreenLakeによって、クラウド的なインフラ活用がオンプレミスでも可能になります。当初は製品と保守のas-a-serviceからスタートしましたが、現在では構築や運用、HPEパートナーのデータセンターにおけるコロケーション、そこで稼働させるソフトウエアまで含め、月額課金で利用できるようにしています。また中小規模のITインフラでもご利用いただきやすくするため、特定のワークロードに特化したパッケージもご用意しています。今年8月には『SAP HANA Enterprise Cloud, customer edition』を、HPE GreenLakeと連携させたマネージドサービスも発表しています」(小川氏)
このようにHPEは、ITインフラを”サービス”として提供できる、ユニークなIT企業だといえるだろう。同社のような企業と手を組むことで、環境変化に柔軟かつ俊敏に対応できるITインフラの実現も、容易になるだろう。