導入シリーズ

JR九州

2000台のiPadと
現場主体の多彩なアプリで
サービス高度化や業務効率化を推進
ペーパーレス化
働き方改革にも大きな効果

「2030年長期ビジョン」を掲げ、新たな技術の取り込みを積極的に取り組んでいるJR九州。ここではその一環として、スマートデバイスを活用した現場主導でのデジタル化を推進している。既に2000台を越えるiPadを導入、その上で動く各種アプリを独自に開発することで、運行サービスの高度化や業務効率化が進められている。これらのデバイス管理には、マルチキャリア対応で運用管理が容易なMDM製品「CLOMO MDM」を採用。セキュリティ強化やアプリ配信効率化に大きな貢献を果たしている。

現場にiPadを導入しアプリで業務を効率化

九州旅客鉄道株式会社 運輸部 車両課 山元 雄太氏
九州旅客鉄道株式会社
運輸部 車両課
山元 雄太
 九州のモビリティサービスの重要な役割を担う九州旅客鉄道(以下、JR九州)。568駅と車両1665両による22線区・2273kmに及ぶ旅客鉄道事業をはじめ、海上運送事業や旅行業、ホテルや商業施設の運営など、幅広い事業を手がけている。2019年3月には「2030年長期ビジョン」を策定。新たな技術の取り込みや他社との連携などによって、持続可能なモビリティサービスの構築やまちづくりに挑戦している。

 その一環として進められているのが、デジタル技術の活用である。2020年3月にJR九州グループデジタル戦略を制定し、サービスの高度化や業務の効率化を積極的に推進しているのである。

 「運輸部では安全性やお客様サービスの向上、異常時の運転再開迅速化、検査効率の向上などを図るため、2017年からiPadを導入しています。これまで口頭で伝達していた本社や列車の運行管理を行う指令と現場とのやり取りを、スマートデバイス活用によってデジタル化しています」と語るのはJR九州 運輸部 車両課の山元 雄太氏だ。

 「列車運行の現場では、線路への動物の侵入や障害物の落下、車両からの異音発生など、様々な異常が発生します。従来はその状況を口頭で連絡していたのですが、詳細な状況把握や列車位置の特定には現場に行く必要があり、時間と手間がかかっていました。そこで、写真共有アプリ活用や独自アプリを開発、GPSや写真によって本社や指令および各現場との情報共有を効率化するとともに、運転士のヒヤリ・ハット防止などにも役立てています」(山元氏)

 その一方で「トンネルや橋梁といった構造物検査にもiPadを活用しています」と言うのは、同社 施設部 工事課の豊田 邦弘氏だ。施設部でも独自にアプリを開発し、構造物検査における検査データの蓄積や検査の効率化を進めてきたという。「以前は検査のたびに、前回までの検査結果を記録した分厚い紙の資料を持っていく必要がありました。これをアプリ化することで、タブレット1つで検査が行えるようになっています」(豊田氏)。
線路の点検作業も紙資料が不要になり、タブレット端末が1台あればスムーズに行える 線路の点検作業も紙資料が不要になり、タブレット端末が1台あればスムーズに行える

4つの理由からMDMにCLOMOを採用

九州旅客鉄道株式会社 施設部 工事課 豊田 邦弘氏
九州旅客鉄道株式会社
施設部 工事課
豊田 邦弘
 このように業務で本格的にスマートデバイスを活用するには、当然ながらデバイス管理の徹底が不可欠だ。そのためにJR九州が活用しているのが、アイキューブドシステムズの提供するクラウド型MDM製品「CLOMO MDM」である。採用の理由は大きく4点あったという。

 第1はマルチキャリアに対応していること。JR九州ではボトムアップ型でデジタル化を推進しているため、結果的に複数キャリアの通信網が利用されていたからだ。第2はiOSでの導入実績が豊富であること。第3は管理パネルが分かりやすく運用しやすいこと。そして第4が、サポート体制がしっかりしていることだ。

 「MDMに関する知識があまりなかったこともあり、当初はきちんと運用できるのか自信がありませんでした。しかしCLOMO MDMの管理パネルはWebアプリとしてつくられており、パソコンでもiPadでも簡単に操作できます。またサポートに関しても、アイキューブドシステムズの担当者に基礎から手取り足取り教えていただき、操作方法が分からなくなったときにも迅速に対応してくれました」(豊田氏)

 CLOMO MDMを提案したNTTドコモの福山 賢輔氏も「お客様の利便性を考慮した結果、マルチキャリア・マルチ機器対応のCLOMO MDMが最適だと判断し、この提案に至りました」と振り返る。

株式会社NTTドコモ 九州支社 法人営業部 法人営業担当主査 福山 賢輔氏
株式会社NTTドコモ
九州支社 法人営業部
法人営業担当主査
福山 賢輔
 CLOMO MDMを当初から導入しておいたことで、セキュリティ確保も容易になった。万一デバイスを紛失した場合でも、デバイスを「紛失モード」にして停止し、位置情報を確認して回収できるからだ。またJR九州では現場で利用するアプリを数多く開発・展開しているが、その配布やアップデートも迅速かつきめ細かく行うことが可能だ。

 「JR九州様は組織が大きく、例えば運輸部の中にも複数の部門があります。そこで、それぞれの部門ごとにどのアプリを入れるのか設定する運用をご提案しました。部門間で異動した際もCLOMO MDMを活用すれば、即座にアプリを入れ替えられます」(福山氏)

業務効率化に加えペーパーレス化にも貢献

 2017年のiPad導入開始以来、デジタル化される業務は着実に増え続けている。例えば運輸部では、運行異常時の乗客案内アプリ、運転士に停車駅接近や徐行地点の注意喚起などを行う運転支援アプリ、電車時刻表や翻訳など駅業務で活用するアプリなどが利用されている。また工事課ではトンネル検査アプリ、保線課では列車接近警報アプリが使われているという。さらに全社共有の写真共有アプリや、契約書類・帳票類のペーパーレス化アプリ、マニュアル類のアプリも各部に導入されている。
運転支援アプリでは運転士に停車駅接近や徐行地点の注意喚起などを行う。これによってより安全な運行が行えるようになった 運転支援アプリでは運転士に停車駅接近や徐行地点の注意喚起などを行う。これによってより安全な運行が行えるようになった


 このような活用の広がりを受け、2019年3月にはスマートデバイス利用に関するガイドラインも策定。全社的なガバナンス強化も進められている。現在のスマートデバイスの台数は約2000台に上っており、それらの管理はCLOMO MDMで行うことが前提となっているという。

 それではこのようなスマートデバイスを活用したデジタル化によって、どのような効果が生まれているのか。

 「まず新幹線における異常時の手配が迅速化されました。例えば異常時に新たな時刻表を用意する時間は、以前に比べて約40分短縮されています。また在来線異常時の列車位置特定に必要な工数も、最寄り駅に人を派遣する必要がなくなったため、60分×2人削減されました。運転再開までの状況や車両の位置なども把握しやすくなったため、事故等現場への現地派遣やお客様の救済などの計画・実施、運転再開後の車両の検査計画や清掃作業などの計画も立てやすくなりました。さらに運転支援アプリによって、運転士のヒヤリ・ハットなども30%程度減少しています」(山元氏)

 施設部工事課ではペーパーレス化が劇的に進んだという。「昨年度は1人当たり250枚/月の印刷が削減されました。これは導入前に比べて64%の減少です。この印刷代だけで通信費が十分賄えます。今後さらにペーパーレス化を推進していく方針です」(豊田氏)。

 ペーパーレス化は運輸部でも進んでいる。2019年度は運輸部全体で2万5000枚/月が消費されていたが、2020年度には2万0000枚/月を切るレベルまで削減。2018年度からの比較では、約35%の減少になっているという。

利用部門拡大に伴いさらに増えるデバイス台数

 スマートデバイスの活用は働き方改革にも大きな貢献を果たしている。例えば運輸部では、定例会議参加に伴う資料準備の時間が削減された上、各拠点から本部まで出張するために要する時間も劇的に削減されている。また新型コロナウイルス感染症拡大防止のためのテレワークも、既に導入されていたiPadを主力機として活用、遠隔会議やデータ共有などが気軽に行えたという。

 「今後も業務の効率化・省力化ができる様々なアプリを開発し、それらを連携させることで、スマートデバイスのメリットを最大限に引き出していきたいと考えています」と山元氏。具体的には、車両から取得した各種データを集約し、検査帳票のアプリに数値を自動的に反映させる、といったことを検討しているという。その一方で駅ビル事業など、新たにスマートデバイスを活用していこうとしている部門もあり、スマートデバイスの台数もさらに増大していく予定だ。

 「これらのデバイスも最終的にはCLOMO MDMで管理することになるはずです。NTTドコモとアイキューブドシステムズには、今後も継続的にこれまでのようなサポートをお願いしたい」と山元氏と豊田氏は口を揃えた。

ボトムアップから広がるデジタル化も
CLOMO MDMなら柔軟に対応可能

株式会社アイキューブドシステムズ 営業本部 西日本営業課 フィールドエンジニア 貞方 耕三氏
株式会社アイキューブドシステムズ
営業本部 西日本営業課
フィールドエンジニア
貞方 耕三
 トップがプロジェクトをけん引するトップダウン型のDXと、現場が主体となって実現するボトムアップ型のDXの大きく2種類に分かれると思いますが、今回のJR九州様の場合はボトムアップでのデジタル化事例です。今回、ご相談をいただいた当初から目的を明確にされていたことがDXを成功された要因ではないかと感じます。サービスの高度化や業務の効率化、さらには現場での使い勝手という視点からデジタル化を進められ、デバイスの使い方や要件もその延長としてとらえていらっしゃいます。お陰様で、当社としても、適切なサポートをさせていただきやすいプロジェクトでした。

 事実、当初はマルチキャリア対応や管理画面の使い勝手をご評価いただき導入に至りましたが、その後は利用部門もどんどん広がり、キッティングや配布アプリの内容も多様化されています。そのためにCLOMO MDMのグルーピング機能も積極的にご活用していただき、部門ごとに異なるニーズに対応されています。このようにスモールスタートから、徐々に大きくスケールしていくことは、ボトムアップのDXを成功させるもう1つのキーファクターではないでしょうか。MDMツールのみならず、その後の拡張について見据えることは非常に重要なポイントだと思います。

 CLOMO MDMはマルチOSにも対応しています。現在のJR九州様はiOSをメインに利用されていますが、今後台数が増えることでAndroidを採用する可能性もあります。CLOMO MDMならAndroidにも対応でき、1テナントの中で複数の異なるOSを活用することや、専用デバイスモードの展開も容易です。JR九州様のように、業務改善のためにスマートデバイスを活用するケースは着実に増えています。業種・業態でデバイスの使い方が違っていても、CLOMO MDMなら柔軟に対応可能ですので、是非お気軽にご相談いただければと思います。
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株式会社アイキューブドシステムズ URL:https://www.i3-systems.com/
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