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安全と省工数で労働人口減の社会課題に応える 人とロボットが協働する時代に向けて協調安全/Safety 2.0の取り組みを強化/セールス・マーケティング統括本部 商品・市場戦略統括部 HMIソリューション推進部 部長 河中 保則

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HMIソリューションや安全ソリューションを手掛けるIDECは、人と機械が協働する時代に向けて、センシングやコネクティビティーの技術を活用して安全を維持する「協調安全/Safety 2.0」への取り組みを強化している。また、盤組み立ての省工数を実現するプッシュイン式への取り組みや新たなサービス展開などと併せて紹介する。

 協働ロボットやAGV(無人搬送車)/AMR(自律走行搬送ロボット)の導入が様々な現場で進んでいる。生産性の追求、少子高齢化に起因する労働力不足への対策、あるいは作業者の負担軽減などが目的だ。人の作業領域にロボットが進出するに伴って、新たに提唱されるようになったのが、人と機械と環境をITでつなぎ、センシングやコネクティビティーの技術を活用して安全を維持する「協調安全/Safety 2.0」である。

 Safety 2.0は、人の注意で安全を確保するSafety 0.0や、人と機械を「隔離と停止の原則」で安全確保するSafety 1.0の先にあるコンセプトだ。

 スイッチのリーディングカンパニーとして市場をけん引するIDECがこれを推進する理由として、IDECの河中保則氏はこう説明する。「1945年の創業直後から人と機械とが安全かつ安心に共存できる最適環境の創造に努めてきました。安全・安心は当社のDNAであり、最新の安全コンセプトである協調安全/Safety 2.0に対してもいち早く取り組みを行っています」。

センサーとワイヤレスでロボットの安全・安心を向上

 安全に関する同社の取り組みの中から、2019年11月開催の「IIFES 2019(オートメーションと計測の先端技術総合展)」で参考展示された2つの技術的な取り組みを紹介しよう。

 1つが、ロボットの構造や形状に合わせて様々にカスタマイズして装着可能な、協働ロボット用のシート型センサーである(図1左写真)。手などが軽く触れたり数mmの距離まで近づいたりすると、人の静電容量を検知。ロボットに信号が送られ、ロボットが即座に動きを停止する仕組みだ。アームのトルク変化などで検出する従来の方法に比べて敏感で、人に触れる寸前での反応が可能。接触の痛みや不安など、作業者の心理的負担を軽減することで、生産性への寄与を狙う。

 もう1つが、ワイヤレス・コネクティビティーを活用した、非常停止スイッチの操作支援システム(図1右写真)。ウエアラブル型の無線送信機を装着したオペレーターが、とっさの場合にそれを操作することで、離れた場所からでも非常停止スイッチを機械的に動作できる。

 非常停止スイッチそのものをウエアラブル化した場合、国際安全規格上、ワイヤレス・ネットワークが不通になると非常停止状態になることが求められる。しかしそれでは、装着したオペレーターが現場から離れ、通信範囲を外れてしまった場合も非常停止状態になり、意図せず設備が止まってしまうという生産性の課題があった。これに対し、今回の技術は「非常停止スイッチを一般的な無線で機械的に操作する」という考え方が新しい。協働ロボットの他、追いかけて操作しなければならない移動体などにも有用な、安心を向上させるための技術だ。

図1IDECのSafety関連ソリューション(参考展示)。人の静電容量を検知し、強く接触する前に協働ロボットの停止を実現するシート型のセンサー(左写真)と、ロボットやAGV/AMRに取り付けられた非常停止スイッチを遠隔操作可能なウエアラブル型無線送信機(右写真)。