中堅~大手が続々導入!業種特化型基幹系システム 日本企業のDXを加速する「進化する」クラウドERP

重厚長大でレガシーな基幹系システムが、ビジネスの妨げとなっている――。経済産業省「DXレポート」をきっかけに、この課題を改めて「自分事化」した日本企業は多いだろう。課題解決に向け、様々な方法論が検討される中、ここへきて新しいアプローチが注目を集めている。それが、インフォアが提唱する「進化するERP」だ。その概要と、実現により得られるメリットとは。日経BP総研 イノベーションICTラボの戸川 尚樹が聞いた。

ERPの構築・運用に苦労するのは「もうやめよう」

戸川初めに、日本のERP市場のトレンドについて教えてください。

石田スクラッチで構築・運用してきた基幹系システムの全面刷新を検討・実行に移す企業が増えています。経済産業省「DXレポート」が示した「2025年の崖」の影響でしょう。コロナ禍で経営環境は大きな変化に見舞われましたが、ERPパッケージへの移行、あるいはクラウド化を検討するニーズは依然強く残っている印象です。

戸川ERPパッケージが日本に入ってきて数十年がたちます。長年、運用してきたことでアドオンシステムが増え、アップグレードのたびに苦労するケースが目立ってきました。このあたりの状況はいかがでしょうか。

石田おっしゃる通りですね。後付けで実装した機能が多すぎて、更改のたびに膨大なお金と時間が必要になってしまう。また、その作業に当たっては、現場業務への影響をなるべく抑えるために、各部署との調整も必要になり、プロジェクトを担う情報システム部門も疲弊します。結果、もう“塩漬け”にするしかないという、消極的な選択をする企業も多いようです。

戸川でも、そうしてしまうと、ビジネスの強化や経営管理の高度化を図りにくくなってしまいます。この課題を解消し、成長につなげる基幹系システムを具現化するには、どのようなアプローチが必要ですか。

石田インフォアでは、「苦労をもうやめましょう」と言っています。これまでのように多くのコストと時間を消費して、複雑化した基幹系システムを運用していくのをやめ、自社の業務にフィットした、シンプルな新しい仕組みを利用するのです。

新しい仕組みの検討に当たっては、そぎ落とす発想が大事です。「これも欲しいね」「いずれあったらいいよね」は、カットオーバーのタイミングでは極力排除しておく。最初から入れておかずに、機能追加が簡単に行える製品・サービスを選択しておき、本当に必要になったときに追加すればよいのです。そうすることで、市場の変化やビジネス戦略の転換にも追従でき、常に最新・最適なERPが具現化できます。私たちは、この「進化するERP」こそが、これからのERPのあるべき姿だと考えています。

細分化された業種特化型のソリューションを提供

戸川「進化するERP」とは興味深い考え方です。これがインフォアのERPのコンセプトでもあるわけですね。ソリューションについてもう少し詳しく教えてください。

インフォアジャパン株式会社 執行役員 ソリューションコンサルティング本部 本部長 石田 雅久氏

石田米国に本拠を置くインフォアは、2000年代、10年ほどの間に企業向けの業務アプリケーションを次々に買収して業容を拡大しました。コアとなるERPだけで6種あるほか、SCMや倉庫管理、会計などの業務アプリケーションを有しています。

その後、約10年前に製品戦略を転換し、保有してきた多彩なソリューションを、業種別にまとめてSuite化する方向にかじを切りました。こうして生まれたのが、中核となるクラウド型ERP製品「Infor CloudSuite」です。

Infor CloudSuiteは全12の業種に向けたソリューションを用意しており、日本ではそのうち「産業用機械製造」「工業用製品製造」「自動車」「航空宇宙」「ファブレス・流通」「ファッション」「食品飲料/化学」「ホスピタリティ」の8業種向けを主力としています(図1)。

図1 Infor CloudSuite

図1 Infor CloudSuite

業種別に細分化されたERPをそろえる。これまで複数のERPを提供してきたインフォアだからこそ、培った多様なノウハウを基に具現化できたソリューションといえる

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アマゾン ウェブ サービス(AWS)の基盤上で、業種ごとに特化した標準機能とオプション機能を提供します。そもそも業種別なので、標準機能で十分なケースは多いですが、より特化した機能が必要な場合はオプションを自由に追加できます(図2)。もちろん、最初は機能を部分的に利用しながら、徐々に拡張していくという段階移行も可能。クラウドなので、柔軟なスケールアウトが可能なほか、多くのコストと工数をかけてアップグレードを行わなくても、常に機能が最新の状態に保たれることもポイントです。まさしく、お客様の経営環境の変化に合わせて進化していく点が最大の強みといえます。

※日本国内ではそのうち3種類を中心に提供

図2 業種別ソリューションが提供する機能の例(食品飲料/大規模組立製造)

図2 業種別ソリューションが提供する機能の例(食品飲料/大規模組立製造)

各業種で求められる機能群を標準でそろえるほか、より特化した機能が必要な場合はオプションから選択できる。機能はいずれもサブスクリプション型で提供される

顧客自身がERPを「使いこなす」ことで進化を加速

戸川実際の導入プロセスはどのような手順で進めるのでしょうか。

株式会社 日経BP 日経BP総研 イノベーションICTラボ 所長 戸川 尚樹

石田標準化の徹底と、導入期間の短縮に向けて「インプリメンテーションアクセラレーター」というインフォア独自のテンプレートをフル活用します。これには業種ごとの標準プロセスや機能、テストシナリオ、サンプルデータなどが含まれています。これを使うことで、素早くプロトタイプを動かし、プロジェクトを短期間で進めることができます。

またプロトタイピングの際は、ユーザーであるお客様側の現場部門担当者にも参加してもらい、触って、納得してもらってから導入を進めます。そうすることで、後からアドオンの要望が出てきたり、導入後の活用定着プロセスがスムーズに進まなくなってしまうことを防ぎます。

さらに、実際にシステムに触れ、慣れ親しんでいただくことは、その後の活用改善、ひいてはERP自体の進化を加速することにもつながります。Infor CloudSuiteのメリットを引き出し、“塩漬け”システムの再発を回避するうえでは、お客様自身がERPの使いこなしに深くかかわることが重要だと当社は考えています。

基幹系のデータを活用したDXがますます重要になる

戸川国内ではどのような企業が導入しているのですか。

石田まず、Infor CloudSuite Food & Beverage(食品飲料)を利用しているのがワタミ様です。ワタミ様は、居酒屋店舗向けと弁当製造向けの2種類の工場を持っています。当初はサプライチェーン改革を目的に導入したのですが、その後、生産管理や購買、物流などの領域にも活用を拡大。現在は、会計以外ほとんどの領域の業務で活用しています。併せて、ERP内のデータを変革に生かすため、当社のクラウドBIプラットフォームも導入。DX推進に向けた基盤を構築しています。

もう1社が、自動車部品製造大手の東プレ様です。同社は先頃、Infor CloudSuite Automotive(自動車)を採用し、生産から販売、購買、在庫管理などの領域と、BIの活用によるデータ分析領域に適用する予定で導入を進めています。

戸川DXを実現するには、基幹系システムが保持するデータの利活用が非常に重要になります。ところが、老朽化した基幹系システムがネックとなって、データの利活用が思うように進まない企業は少なくありません。インフォアの提案は、こうした課題を解消するということでしょうか。

石田まさに当社はそれを目指しています。Infor CloudSuiteをさらに進化させることで、お客様のビジネス、そしてDXへの挑戦を強力にご支援していきたいと考えています。

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インフォアジャパン株式会社
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