この記事はリモート取材で作成されました
オフィスをどうテレワークへ移行するか

生産性維持の秘訣は「社内に見劣りしない環境整備」 生産性維持の秘訣は「社内に見劣りしない環境整備」

提供:アイ・オー・データ機器

PCやデジタル機器の周辺機器を幅広く製造販売するアイ・オー・データ機器。高度化・多様化の一途をたどるデジタル社会の中で、40年以上にわたり培ってきた技術をベースに企業のさまざまなニーズに応えている。今回、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応が求められるなか、3月初めから早々と全社的なテレワークを実施し、政府の緊急事態宣言に対応した業務体制を固めてきた。同社では、なぜこのような迅速なテレワーク移行が可能だったのか。さらにテレワークにおける課題と解決ポイントとは何なのだろうか。

新型コロナウイルスの感染拡大で
テレワーク導入のフェーズが一気に変わった

写真:宇津原 武

株式会社アイ・オー・データ機器
営業本部 コーポレート営業部 副部長
「働き方改革」推進グループ グループ長

宇津原 武

 石川県金沢市に本社を構えるアイ・オー・データ機器だが、東京オフィスをはじめ営業拠点は大阪、札幌、仙台、名古屋、広島、福岡に展開しており、ビジネスエリアは全国に広がっている。そして、これら本社および各営業拠点に勤務するすべての社員は、3月初めから完全なテレワーク体制に移行している。

 このスピーディな対応の背景にあるのは、ここ数年をかけて推進してきた働き方改革を支える環境整備だ。とくに2019年には社内電話回線の完全Skype化、Microsoft Teamsの導入、社員利用のVPN回線の整備など、積極的な社内インフラの整備を実行してきた。またオリンピックイヤーに向けて自社商品を活用した働き方改革のソリューション提案を加速するなかで、その有効性の実証機会としてテレワークの社内実践も進めてきた。

 こうした継続的な取り組みの成果が、現在の局面で発揮されたわけだ。ただ、そんな同社といえども、今回の“コロナショック”はあまりにも突然の出来事だった。

 同社営業本部コーポレート営業部付「働き方改革」推進グループ チーフリーダーの今川 泰代氏は「もともとは東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて期間中の交通混雑を避けるための備えとして、計画・準備を進めていました。ところが新型コロナウイルスの感染拡大を受けた出勤削減要請により、当初の予定を半年も前倒しして即座に対応しなければならなくなったのです」と語る。

 これに伴い、当初は「特定の部門や職種を対象に一定期間の実施」を想定していたテレワークの実施計画や目的そのものも大きく変化した。

 同社営業本部コーポレート営業部 副部長「働き方改革」推進グループ グループ長の宇津原武氏は「テレワーク導入のフェーズが一気に変わり、業務継続の実現が私たちのグループミッションとなったのです。『すべての部門の全社員が長期間にわたり出勤できない』状況下でも、決してお客さまに迷惑をかけることがないように、とにかく業務を止めないためのテレワーク体制を短期間で立ち上げなくてはなりませんでした」と語る。

 当然のことながら、簡単に対応できる問題ではない。例えば同社の東京オフィスでは外回りが多い営業担当者と営業アシスタントがほぼ半々の割合で働いているが、問題となったのはアシスタントだ。「常に社内にいて営業担当者のアシストやバックオフィス業務を担っているアシスタントは、社外で仕事をした経験がありません。全社員をいきなりテレワークに移行するのは大きな混乱を招くと予想されました」と今川氏は振り返る。

図1●マイクロソフト「Microsoft Teams」

図1●マイクロソフト「Microsoft Teams」

テレワークによる業務継続の重要ポイントは
電話とFAXをいかに対応させるか

写真:今川 泰代

株式会社アイ・オー・データ機器
営業本部 コーポレート営業部付
「働き方改革」推進グループ チーフリーダー

今川 泰代

 テレワーク導入において同社が直面した「現場の課題」は、「業務継続の実現」と「全社員をスムーズにテレワークに移行するための環境整備」に集約することができる。

 実際に同社がこれらの課題をどうやって解決したのか、順を追ってみていこう。

 まずは「業務継続の実現」だ。宇津原氏が最重要のポイントとして挙げるのが電話とFAXだ。「この2つの機能にリモート対応できる仕組みを構築しなければ、テレワーク体制下で業務継続を実現することは不可能です」と強調する。

 電話については、前述した社内電話回線の完全Skype化やMicrosoft Teams導入などの取り組みが奏功した。「社員がどこにいても、すぐに連絡をとれるようになりました。とくに大きいのはMicrosoft Teamsの導入効果です。営業拠点をまたいだ複数の社員がグループチャットやWeb会議で議論するなど、従来の社内電話ではできなかった“場所を問わないコミュニケーション”が活性化しています」と語る。

 問題はFAXだ。同社の一部の顧客との間では、現在もFAXが主な連絡手段として使われており、商品の発注伝票から細かな要望まですべてFAXで送られてくる。その枚数は東京オフィスだけでも1日あたり数百枚に達している。商慣習上、このようなFAXのやり取りをすぐになくすことはできず、一見、リモート対応は不可能と思われた。しかし、発想を少し変えることで解決の糸口をつかんだという。

 今川氏は「FAXといえば紙、つまり“データ化されていないもの”という印象を持つ方が多いようですが、実際の送受信はデジタルデータで行われており、複合機はそれを紙に印刷しているだけです。ですから、紙への出力にこだわらず、ファイル出力することでデータとしての活用の幅が広がります」と説明する。

 具体的には、オフィスの複合機とビジネスNASを連携させることで、受信したFAXデータを直接HDDに保存する仕組みを構築した。これをファイルサーバーとして使うことで、VPNを用いたリモートアクセスで閲覧することを可能にしたのだ。

 同社の東京支社でのファイルサーバーの利用者は100名に及ぶ大人数となるため、ここではActive Directory管理が可能なWindows Storage Server搭載NAS「HDL-Zシリーズ」を選択した。

 NASは新規導入ではなく、社内のファイル共有やパソコンのバックアップ先として使用していたものを活用した。また複合機も、既存製品が持つ機能を活かしている。大規模投資なくスピーディに始めるために、いまある資産を使うことにこだわった結果だ。

 「有事の時だからこそ、改革が可能なのだと実感しました。FAXのような既存の業務に改善の余地を感じている方は多いはず。既存資産の使い方や埋もれている機能などに目を向け、いま一度、現状の環境に合わせた使い方に変化させる検討とそれに踏み切る決断が重要です」(宇津原氏)

図2●FAXとNASの連携構成例

図2●FAXとNASの連携構成例

「社内と同等の操作性」が基本
生産性を落とさないテレワーク環境とは

写真:西田谷 直弘

株式会社アイ・オー・データ機器
事業戦略本部 販売促進部 副部長
販売促進課 課長

西田谷 直弘

 以上のように業務継続のための基本的な基盤を固めた上で、同社が推進したのが「全社員をスムーズにテレワークに移行するための環境整備」である。先述したとおり、とくに配慮する必要があったのが営業アシスタントだ。「これまで社外で仕事をした経験のない人々を短期間でテレワークに移行させるとともに、社内にいるのと同等の業務生産性を維持することを目指しました」と今川氏は語る。

 まず社員が自宅で利用する端末として、Windows 10へのリプレイスに伴い余剰となっていたノートPCを再生し、リモートデスクトップ接続用端末に仕立てて貸与した。一方、営業アシスタントが利用するデスクトップPCはそのままオフィスに残すことにより、リモートデスクトップ接続で社内システムを利用可能とした。

 加えて同社が実施したのが、PC業務の作業領域、つまりテレワークへの移行に先立つ予行練習である。社員たちを自席から会議室に移動させ、この端末を実際に使って通常業務を行うことでテレワークを疑似体験させるというものだ。

 そうした中で明らかになったのが、ディスプレイの問題である。「これまで社員は自席で24~27型の大型液晶ディスプレイをマルチ(2台構成)で駆使し、業務を行っていました。ところがノートPCをベースとした端末では、画面サイズが小さすぎて操作性が著しく低下してしまいます。社員からは『社内システムやExcelのほか、FAXなどのペーパーレス化によって、同時に多くのウインドウを起動しての作業が画面に収まらない』といった不満が噴出しました。このようなストレスを感じさせる環境では、とても社内にいるのと同等の生産性は維持できません」と今川氏は語る。

 そこで同社は、社員に対してリモートデスクトップ接続用端末だけでなく、外付けの液晶ディスプレイを貸与することにした。ただし、社内で使っている24~27型の液晶ディスプレイでは、一般家庭にとって大きすぎる。どれほどのサイズなら自宅に無理なく設置でき、なおかつ社内と同等の操作環境を実現できるのか。社内会議室を使って模擬テレワーク環境を作り、社員と一緒に検証を実施。ノートPCの画面だけでは困難であること、会社と同じ27型では設置スペースがないなどのシミュレーションを重ねた結果、導き出されたのが21.5型、またはモバイルモデルの15.6型という画面サイズだ。

 この条件に合う同社製の「LCD-MF161XP」や「LCD-AH221XDB」を、営業部門のテレワーク用ディスプレイに選定した。

既存の資産にプラスアルファするだけで
生産性を落とさないリモート環境が実現する

写真:土肥 毅大

株式会社アイ・オー・データ機器
事業戦略本部 販売促進部 販売促進課
チーフリーダー

土肥 毅大

 「テレワークを実現するには、大がかりな環境整備が必要である」という考えは誤りだ。今回、同社が在宅環境の整備に活用したのは既存のノートPC、さらに新規のディスプレイが各社員に1台のみ。またFAXのペーパーレス化に必要だったのは、拠点ごとにNASが1台だが、これも比較的安価で導入しやすい上、大きなシステム改修は必要なかった。インターネット電話やWeb会議システム、VPNがすでに整備済みだったこともあり、社内と同レベルのテレワーク環境を短期間かつ安価に整えることができたのだ。

 十分な画面サイズのマルチディスプレイを採用したストレスフリーのテレワーク環境は、個々の業務を円滑に遂行するだけでなく、チームワークを維持する上でも効果があった。

 同社事業戦略本部販売促進部 副部長 兼 販売促進課 課長の西田谷直弘氏と同販売促進課チーフリーダーの土肥毅大氏は「社員がそれぞれの自宅で離れて仕事をしているからこそ、組織としてのコミュニケーションがますます重要となり、画面上にはSkypeやMicrosoft Teamsなどのツールが常時稼働することになります。複数のウインドウを同時表示できるマルチディスプレイの重要性を、私たち自身のテレワーク実践を通じて強く実感しました」と語る。

 顧客など社外の相手とのコミュニケーションも同様だ。「緊急事態宣言の発令以降、弊社の営業活動も大きく変わり、従来の訪問からWeb会議を使った商談スタイルが中心となっています。お客さまの顔を見ながらプレゼン資料を画面共有してPCを操作するとなれば、タスクの煩雑な切り替えは絶対に避けたいところです。スムーズに操作できるテレワーク環境を用意することで、リアルな対面とそん色がないビジネス活動を継続することが可能となります」と今川氏は強調する。

 もちろんマルチディスプレイやNASの活用だけが、テレワークを快適にする環境づくりにおいてすべてではない。実際にテレワーク業務を行っていくなかで生まれる課題について、一つひとつアイデアで解決していく必要がある。さまざまな商品のラインナップと多くのビジネスパートナーを持つ同社として、その実体験と苦労をお客さまの提案に還元していけるよう進めている。

 今回の“コロナショック”は一過性のものではなく、長期間にわたった対策が必要と予測されるだけに、同社の社内事例を参考にしたテレワークの環境整備をおすすめしたい。

図3●マルチディスプレイのメリット

図3●マルチディスプレイのメリット
社員がストレスを感じなくて済む快適なマルチディスプレイを提供することで、オフィスと同等の業務生産性を維持することができる

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