日経クロステック Special

IoTを支える京セミの光センシング・デバイス 最先端からレガシーまで多様な要求に応える光センサー

Industry 4.0やSociety 5.0の潮流に沿って、産業や社会の仕組みの情報化が加速している。そして産業機器や設備、プラントをより高度に管理・制御するため、現場からデータを吸い上げるセンサーの重要性が再認識されている。こうしたIoT時代の要請に応える光センシング・デバイスを提供するのが京都セミコンダクター(以下、京セミ)だ。
本多氏
京都セミコンダクター
執行役員
兼 開発本部本部長
本多裕徳
毛利氏
京都セミコンダクター
製造本部 生産技術部
部長
毛利 司
松田氏
京都セミコンダクター
製造本部 生産管理・戦略部
部長
松田哲朗

 センサーは、仮想世界から現実世界の様子や状態、動きなどの情報をうかがう“窓”である。いかに高性能な情報システムがあっても、処理対象となる情報の質が悪ければ、何の役にも立たない。このため、生活や社会を支える高度な管理・制御システムには、質の高い情報を入力する手段として、多様で高精度なセンサーが欠かせない。

 中でも光センサーは、人やモノを透過または反射した光を取り込むことで、様々な物質を検出できるデバイスだ。光センサー用のLEDやフォトダイオード(PD)の開発・製造をリードする世界有数のサプライヤーが京セミである。同社が開発・製造する光センシング・デバイスの応用は実に幅広い。「生活に密着した場所では、現金自動預払機(ATM)や自動販売機での紙幣の識別や、手洗いや台所で見られる自動水栓などに当社の製品が使われています。また、ガスや液体の分析、果物や野菜の糖度測定、自動車の塗料調合での測色、モノの温度測定、ロボットの動きなど、専門的な用途にも利用されています」と執行役員兼開発本部本部長の本多裕徳氏は語る。

多様な応用、技術要件に
応えるための手段

 光センサーの応用機器は千差万別である。そして、光センサーに求められる技術要件もまた極めて多様だ。サプライヤーには、応用機器の機能や性能に応じて、デバイスの特性をきめ細かく最適化した製品を供給する個々の応用への対応力が求められる。

 「センサー・サプライヤーとしての京セミの強みは、お客様の顔を見据えた開発です。エンジニアには専門性により比較的大きな裁量が与えられており、各エンジニアがお客様の要望を直接伺った上で、搭載するチップやパッケージの種類まで用途に応じて最適化し提案します。また、特殊な要求にも必要に応じてチップやパッケージをカスタム開発することも可能です」と製造本部生産技術部部長の毛利司氏は語る。

 例えば、紙幣判別機向けでは、特定波長の感度が高いセンサーが求められる。京セミは、化合物半導体のウエハー・プロセスを自社で行っている。このため、顧客が設計した機器の仕様に、センサーの特性をチップレベルからカスタム化して届けることができる。

 先進的で尖ったニーズに応えるだけではない。京セミでは、過去に販売され、既に他社が製造していないようなレガシーセンサーも提供する。センサーの応用機器の中には、30年以上にわたって使い続けられるものがある。それを修理・改修する際には、それまで使ってきたものと同じ仕様・特性のセンサーが求められることが多い。こうした要求に応えるサプライヤーは極めて少ないことから、同社を重宝する企業も少なくない。

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前工程(左:写真は化合物半導体のウエハー/中:写真はアライナーの操作)から後工程(右:写真はオートダイボンダー)まで、京セミが自社内で一貫して行う理由は、多様な要求に応える製品を柔軟に生産できるためだ。