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統合的、かつ堅牢なサービスの提供を目指して TISとラックの協業でクラウド&セキュリティ運用の実現へ統合的、かつ堅牢なサービスの提供を目指して TISとラックの協業でクラウド&セキュリティ運用の実現へ

SI大手のTISインテックグループのTISと、セキュリティソリューションサービスとSIサービスを展開するラックが2019年、クラウド及びセキュリティ分野での協業を発表した。すでに動き始めたプロジェクトも少なくない。このほど、両社のトップ対談が実現。協業によって生まれる価値、今後のビジネス・サービス展開の方向性などについて語り合った。

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TISとラックは2019年4月に、クラウドサービスとセキュリティサービスの領域で協業すると発表した。マルチクラウド分野で多くの実績を持つTIS、セキュリティ分野で独自の技術を持つラックが互いの強みを生かして連携。金融機関や製造業、公共分野に向けたサービスを共同で展開するとともに、政府が推進する「セキュリティ・バイ・デザイン」を実現する次世代型のクラウド&セキュリティサービスプラットフォームの構築に向けて共に歩みを進める。

ITによる社会課題解決セキュリティがカギを握る

―まず、両社のパートナーシップの背景、経緯などについてうかがいます。

西本  ラックは大きく2つの事業を展開しています。システムの受託開発とセキュリティ関連サービスです。受託開発ではTISさんの仕事に関わることも多く、以前から信頼関係を構築してきました。

一方のセキュリティは当社の「ウリ」であり、専門人材を多数擁しています。現在、多くの企業がクラウドシフトを進めており、クラウド環境で個人情報を含む重要データが扱われるようになりました。クラウドにおけるセキュリティの重要性は一層高まっています。こうした中で、クラウド関連分野に積極的な投資を続けてきたTISさんのお役に立てる部分もあるでしょうし、当社のクラウドサービス及びセキュリティサービスを強化する上でも大きな意味があるとも考えました。

桑野 様々な社会課題を解決する上で、ITは不可欠です。TISはいま来年度から始まる次期中期経営計画を策定中ですが、その中核にあるのは「SDGsに対して、事業を通じて貢献する」という考え方。その上で、4つのテーマを掲げました。

第1に金融包摂。世界を見渡せば、銀行口座を持たない人たちが多くいます。こうした人たちにも金融サービスを届けるために、ITの力は欠かせません。第2に都市への集中や地方の衰退への対策。スマートシティをはじめ、ITが担うべき役割は大きいでしょう。第3にエネルギー問題。例えば、当社も参画して北海道で行った実証実験では、EVによる移送サービスのほか、再生エネルギーを中心とするエネルギーの地産地消などに取り組みました。第4にヘルスケアですが、健康社会の実現に向けてITが寄与できる部分は大きいと思います。以上のテーマすべてに、クラウドとセキュリティが密接に関わっています。

桑野 徹氏
TIS株式会社 代表取締役会長兼社長 桑野 徹氏

1976年4月、株式会社東洋情報システム(現TIS株式会社)入社。クレジットシステムの開発部長や企画部長などを歴任し、2011年4月に当時のTIS代表取締役社長、2016年7月に現TIS代表取締役に就任。現在代表取締役会長兼社長 監査部担当。

西本逸郎氏
株式会社ラック 代表取締役社長 執行役員社長CEO 西本逸郎氏

プログラマとして数多くの情報通信技術システムの開発や企画を担当。2000年より、情報通信技術の社会化を支えるため、サイバーセキュリティ分野にて新たな脅威への研究や対策に邁進。イベントやセミナーでの講演や新聞・雑誌への寄稿、テレビやラジオなどでコメントなど多数実施。

―環境変化が加速する中で、社会とビジネスも大きく変わりつつあります。

西本 新型コロナウイルスの感染拡大により、その変化が加速しています。例えば、テレワークの普及はITの構造にも影響を与えています。オフィスワークを前提に設計されたシステムから、在宅勤務をしているデバイスを直接インターネットにつなぐという形への移行を進めている企業も少なくありません。

また、激しい変化に対応するためには、次々に事業を立ち上げて、修正・改善のサイクルを高速で回す必要もあるでしょう。アジャイル開発への関心も高まっています。

桑野 その通りです。すべての産業において、大きな変革が起きています。業界の垣根が低くなり、どこから強力なライバルが出現するか分からない時代です。巨大企業といえども、安閑としてはいられません。

こうした中で、多くの企業がデジタル化に取り組み、DXによって新しいビジネスやサービスを生みだそうとしています。西本さんのご指摘のように、アジャイル開発を採用する企業も増えています。

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