教育とICT OnlineSpecial

子どもたちの未来をより明るくするためにICT活用で学校の「文化」に変革をもたらす

マイクロソフトは2020年2月4日、文部科学省が進めている「GIGAスクール構想」の実現に協力するため、パートナー企業9社と連携して、教育機関向けの新たなソリューション「GIGAスクールパッケージ」を提供していくと発表した。マイクロソフトは日本の教育界の現状をどのように認識し、教育のICT化に向けてどのような戦略を持っているのか。渡航規制が敷かれるなか、「Microsoft Teams」を使ってリモート取材を実施。マイクロソフトの教育事業分野における基本的な考え方について、日米それぞれの文教部門責任者に話を聞いた。

デジタル時代に求められるのは
共感力などのヒューマンスキル

 狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く第5の社会として、サイバー空間と現実空間が一体化した「Society5.0」を日本政府が提唱したのは2016年。その後、AI技術などの急速な進展によって、Society5.0を象徴する遠隔医療や無人店舗などは少しずつ現実のものとなりつつある。来たるべきSociety5.0時代、子どもたちに求められるのはどんな能力なのか。

 「社会のデジタル化が進展すればするほど逆に、これからの子どもたちには共感力やリーダーシップなどのヒューマンスキルが求められるようになるでしょう」

 そう持論を展開するのは、米マイクロソフト社で文教ソリューション部門に20年以上携わってきた、バイスプレジデントのアンソニー・サルシト氏だ。

 「デジタル時代だからこそ、他者に共感する力やコミュニケーション力、物事を総合的にとらえて的確に意思決定するという、コンピュータでは代替のきかない、人間ならではのヒューマンスキルが重要になるのです」とサルシト氏。そして、ヒューマンスキルを培うための教育について、こう続ける。

 「今、世の中ではどんな人間性が求められていて、教室で学ぶことにどんな意味があるのか、生徒一人ひとりが自主的に学べる環境が必要になるのではないでしょうか。それはある意味、日本の学校にとっての新たな『文化』ととらえられるかもしれません。このたびのGIGAスクール構想は、そんな新たな文化を生む契機になると、私たちは考えています」

 サルシト氏が指摘する、日本の学校で育まれることが期待されている「文化」とはどういうものなのか。日本マイクロソフト文教営業統括本部長の中井陽子氏は次のように説明する。

 「GIGAスクール構想は、一般的には『学校教育への新たなテクノロジーの導入』ととらえられています。しかし、私たちから見れば、生徒1人1台端末体制を確立したり、校内LANネットワークを整備したりすることは、学校改革のごく一部分に過ぎません」

 中井氏によれば、重要なのは生徒一人ひとりが自主的・能動的に学ぶ環境を整えること。そして、そんな生徒たちの学びを支援するために、学校の教師たちにも、これまでの役割をあらためて見直すことが求められるという。

 「わかりやすくいえば、従来の『知識を教える人』から『生徒の自主学習を指導する人』へ、ティーチャーからコーチ、ファシリテーターへの転身です。そのような先生方に見守られて初めて、生徒たちは目的意識を持って学習に意欲的に取り組むことができるし、自分たちの能力がこの社会に向けて解放されると感じるはずです。そうしたことも含めて、ICTの活用によって学校に新たな『文化』が生まれるのです」

教育のICT化が進めば
教師の役割はより大きくなっていく

マイクロソフトコーポレーション ワールドワイドエデュケーション担当 バイスプレジデントマイクロソフトコーポレーション
ワールドワイドエデュケーション担当
バイスプレジデント
アンソニー・サルシト

日本マイクロソフト パブリックセンター事業部 業務執行役員 文教営業統括本部長日本マイクロソフト
パブリックセンター事業部
業務執行役員 
文教営業統括本部長
中井陽子

 生徒一人ひとりが自主的・能動的に学ぶ環境を整えるためのGIGAスクール構想。その成否のカギを握っているのは、現場の教師たち一人ひとりだと中井氏は考えている。

 「校内LANネットワークを構築し、生徒1人1台PC端末を携帯したとしても、それだけで教育のICT化が実現できるわけではありません。ポイントは、現場の先生方がデバイスを日常的に使いこなせるようになることです。私たちは先生方がデバイス活用に習熟するまで、全力でサポートしたいと考えています」

 サルシト氏も中井氏とまったく同意見だと断ったうえで、日本のGIGAスクール構想は、現場の教師たちの存在をより大きなものにするだろうと示唆する。

 「現場の教師の皆さんは、テクノロジーの導入で自分たちの役割が小さくなると考えてしまいがちですが、私はむしろ、存在感は大きくなると考えています。なぜなら、ICTの活用で生徒たちの学習は教室の外へも拡大していくし、生徒一人ひとりが個別のテーマで学習するようにもなるからです。教師の皆さんは、そんな生徒一人ひとりを教室の内外でサポートする存在になっていきます。各生徒と1対1で相対する機会も増えるし、生徒との関係もより近いものに変わっていくのではないでしょうか」

 しかし、その一方で「教師の皆さんの負担を絶対に大きくしてはならない」と、サルシト氏は強調する。

 「日本ではこれまで長い間、教師の過重労働が問題になってきました。もし、今後のICT導入が教師の皆さんのさらなる負担になるようであれば、それこそ本末転倒です。幸い、私たちマイクロソフトには、全世界の教育現場でICTを導入した際の成功事例の蓄積があります。また、私たちのソリューションであるOffice 365、Microsoft Teams、LinkedIn、GitHubなどを活用すれば、日常業務の大幅な省力化が実現できます。日本では働き方改革が話題になっていますが、今回のGIGAスクール構想をきっかけに、教師の皆さんの労働環境が大きく改善することを期待しています」

マイクロソフトが教育改革に
貢献できる3つの強み

 それでは具体的に、マイクロソフトは日本の教育改革にどのような貢献ができるのか。中井氏によれば、同社の教育ソリューションには3つの大きな強みがあるという。

 「まず、私たちのWindowsとOffice 365には、生徒たちの学習効果を最大化できるメリットがあります。なぜなら、Office 365には、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteなど、子どもたちが長期にわたって包括的に学習を続けていけるだけの、さまざまなアプリやツールが揃っているからです」

 一例がMicrosoft Teamsだ。チャット、音声通信、会議などチーム内コミュニケーション促進ツールとして開発されたアプリだが、生徒同士のグループ学習にも最適。もちろん、教師と生徒や教師同士とのコミュニケーションにも使える。例えば、今年3月のように休校措置の事態に陥っても、生徒が自宅に居ながらの遠隔授業や教師間によるWeb職員会議が可能になる。

 「2つめの強みは、実社会で使えるスキルが身につくこと。現在、日本の商業社会の95%以上でOfficeが使われているので、小中学生時代からOfficeに慣れ親しんでおけば、それが本人のビジネススキルとして将来大いに役立つはずです」(中井氏)

 3つめの強みは、セキュリティー対策が徹底していること。マイクロソフトのセキュリティー対策は内閣府や文部科学省のガイドラインに完全対応しているため、教師としても安心してデータを扱えるという。

 最後に、サルシト氏は日本の教育関係者に向けてこう語った。

 「日本政府が進めているGIGAスクール構想は、生徒一人ひとりの未来をより明るく変革するものだと理解しています。最も大切なことは、彼らのポテンシャルを最大限に引き出し、未来への期待値を高めること。私たちマイクロソフトは、ノウハウの蓄積によるソリューションと先進的デジタルツールの両面から、この構想を強力にサポートしていきます。日本の教育界にとって、ここ数年がきわめて重要な時期になるはずですが、私たちは未来に対して楽観的であり、日本の教育改革に貢献できることを楽しみにしています。共に子どもたちの明るい未来を築いていきましょう」

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