ICTによって変化した
コミュニケーションのあり方

早期からICT教育を推進してきた立命館小学校ですが、1人1台の Surface と Microsoft 365 を導入してから、ICTの活用が急速に進んだと正頭氏は述べます。

まず、フォルダの概念が大きく変わり、「先生たちが共有フォルダにデータを置いて、それを子どもたちがダウンロードする」という活用方法が広く浸透したことです。これによって、授業にもさまざまな変化が見られました。正頭氏の担当する英語の授業では、音声データを共有フォルダにアップロードすることでスピーキングやリスニングの宿題を出せるようになったといいます。このほか図工の授業では、Surface Go の背面カメラで桜の木を写真に撮って写生したり、体育の授業では跳び箱のフォームを撮って改善点を指摘したり、理科の実験の様子を動画で撮影するなど、さまざまな形で活用が進みます。

そして、生徒のコミュニケーションにも変化が現れました。

「子どもたちはPCによって"検索"というアクションを手に入れました。これによって教師側にも『検索してわかることは授業する必要がない』という雰囲気が醸成されました」(正頭氏)

当初は「子どもたちに自分専用のPCを持たせることで、現実でのコミュニケーションが減っていくのではないか」という懸念もあったと正頭氏は語ります。しかし、実際にやってみると子どもたちの授業でのコミュニケーション量は圧倒的に増加したそうです。

「1人1台PCの副産物ではありますが、コミュニケーションのあり方が従来とは異なる形になっています。これまでは先生の話を静かに聞くことが生徒のスキルでしたが、"検索"というアクションを学んだことで、『検索した内容をどうやって報告するか、伝えるか』というスキルが身に付いたのです」(正頭氏)

同校の柔軟な対応は、デジタルペンの使い方にも表れています。PC利用における前提条件として、キーボードのタイピングスキル習得は挙げているものの、授業においてどのような形でノートを取るかは子どもたちに一任しています。先生の指定がない限り、紙と鉛筆でも、タイピングや Surface ペンを使っても、PCのカメラで板書を写真に撮って残すことも自由なのです。

立命館小学校では、1~4年生はロボティクス科、5~6年生はICT科としてコンピューターに関する授業を行っていますが、最大の特徴はICT科で"バーチャルなもの"を動かすことにあります。一般的な小学校では5年生からロボットなど“実際のもの”を動かしますが、同校ではロボティクス科のある4年生でその過程は終了し、ICT科では普段の生活ではできない、バーチャルな動きを学ぶことで想像力を養っているそうです。

世界中から注目を集める独創的な授業

正頭教諭の取り組みとして世界的に有名なのが「マインクラフト」を利用した学びです。京都市にある立命館小学校の徒歩30分圏内には、15か所もの世界遺産が存在します。これらをマインクラフトの中で再現していくという、独創的な授業を実施しているのです。

マインクラフトを使ったコラボレーション授業

世界遺産を再現するためには、さまざまな知識を必要とします。たとえば、世界遺産の背景は社会(歴史)、設計図は図工、ロボットによる英語での紹介、そしてプログラミング。複数の教科を通して横断的に学び、マインクラフトの世界に落とし込んでいくのです。

こういった取り組みが評価され、同校は2015年にマイクロソフトから「Microsoft Showcase Schools」の認定を受けました。日本では、プログラムが始まって以来、初めて認定された6校のうちの1校です。

Microsoft Showcase School 認定校では、6月と1月の年2回、公開授業が行われます。ICT授業にフォーカスする6月は100名ほど、通常授業も併せて公開する1月は500~1,000名もの教育関係者が見学に訪れるそうです。

Microsoft Showcase School 認定校として定期的に公開授業を実施

「Microsoft Showcase School に認定され、海外からのお客様を紹介していただく機会が増え、コネクションが拡がりました。ときにはマイクロソフトのエバンジェリストが学校に来て公開授業をしてくれたり、「Surface Hub 2」など最新の機器を貸与いただくこともあります」(正頭氏)

同じ Microsoft Showcase School 認定校である米シアトルのRenton Prep Schoolも見学に訪れたそうで、「マインクラフト for Education」を使ったコラボレーション授業も行われています。

持続可能なオンライン学習を目指し、
録画した授業を動画配信

文部科学省はGIGAスクール構想の実現を目指した取り組みを行っていますが、実際の対応には学校ごとに大きな差がありました。新型コロナウイルス感染症の影響により2020年2月末から休校を余儀なくされたことで、ICTの活用による家庭学習はいま大きな進化を遂げようとしています。

正頭氏は「立命館小学校は休校が長期戦になると早期から予測して対策の検討を進める中で、教室で行われている授業の延長線上としてオンライン授業を行うと失敗すると考えました。教室での授業は、先生との会話や子どもたち同士の触れ合いといった、人と人との温度感があります。同じものをオンライン授業に求めても、教室での授業と比べて学びの質が落ちてしまうだけなのです」(正頭氏)

立命館小学校はこのような考えのもと、録画した授業の動画をオンラインで配信する形式を採用。いつでも、どこでも、何度でも学べるようにしました。子どもたちは動画配信で授業を受け、Microsoft Teams などを利用しながら課題をこなします。教室で行う授業の代替としてオンライン授業を行うのではなく、デジタルの長所を最大限に活かし、リアルとは異なる土俵で学びを提供することで、休校が長期化した場合にも続けられる、持続可能な学習を目指したのです。

「これは生徒のためだけではなく、教員の安心安全のためでもあります。先生たちも在宅で授業をリアルタイム配信するのは難しく、それを実現するためには、危険を冒して学校に来て授業を配信しなければならなくなります」(正頭氏)

ただし朝の会、帰りの会はテレビ会議システムを使ってリアルタイムにやり取りを行っているそうです。ここで先生は子どもたちの表情や温度感を知ることができ、子どもたちは先生や友達と交流を持つことができます。正頭氏は「一番大事にしたいのは、心と心をつなぐこと。心のケア」と強く念を押し、話を続けます。

「先生たちと顔がつながらないということが、子どもたちにとってどれほど不安で大きな負担になっているか、ということを私たちは知っています。初めてリアルタイムなテレビ会議で子どもたちとつながった時の笑顔は忘れられません。この土台がない限り、学びが続くわけがないのです」(正頭氏)

つながりには「今までのつながりを続ける」「新しいつながりを作る」の2つがあり、それぞれ社会的能力を伸ばしていくために欠かせない要素であり、学校は新しいつながりを作る上で重要な役割を担っていると正頭氏は説明。「ICTはただの手段にすぎませんが、子どもたちに『ちゃんと学校とつながっているよ』というメッセージを発信することができます。これが本当に大切なことなのです」と最後に熱く語りました。

こうして立命館小学校は、新型コロナウイルスという未曽有の事態に対し、約1週間で素早くオンライン学習支援の仕組みを整えました。これが実現できた理由を正頭氏は「知見ではなく文化であり、8年をかけた試行錯誤によって教員と生徒にICT教育の基盤となるマインドセットができていたから」と説明します。

多くの学校では、これから数カ月でICT環境とマインドセットを並行して作っていくことになるでしょう。立命館小学校のこれまでの取り組みは、オンライン授業の仕組みづくりを早急に行わねばならない学校の足掛かりの1つとなるのではないでしょうか。

1人1台PCとして複数の教科で使われている Surface Go。
横断的な学習で、さまざまな知識を深める

お客様の声
Customer Quote

本校では『PCを文房具にしよう』という言葉で表しています。たとえば生徒はコンパスを常に筆箱の中に入れて持ち歩いていますが、国語の授業では使わないし、数学でも単元によっては使いません。それでも子どもは毎日持ち歩いている。必要なときはコンパスを使って早く綺麗に、正確な円が描ける。これと同じ感覚でPCを持ち歩き、利用することを立命館小学校は目指したのです

教員である私たちは、あくまで『教科を教える』という本質の中にPCを取り込まなくてはいけません。たとえば、国語の授業であれば、ICTを取り入れることで漢字の学習がおろそかになっては、ICTを活用する意味はないのです。安価であっても故障が多かったり、対応に時間がかかったりしていては学びが止まってしまいます。Surface は基本スペックが高く、また1週間程度で素早くアフターフォローを行ってくれますので、この点は決めての1つとなりました

―――立命館小学校 英語科 教諭 / ICT教育部長 正頭 英和 氏

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日本マイクロソフト

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