不確実性への対応力を左右するDX 先進企業は緊急事態をどう乗り越えたのか

Special talk特別対談

アクセンチュア×日本マイクロソフト特別対談 前編
「ポストコロナ:ニューノーマル時代を勝ち抜くために」
~デジタルを活用した企業変革で危機を成長の機会に変える~

アクセンチュアとマイクロソフトがグローバルでアライアンスを強化した新組織「AMBG(Accenture Microsoft Business Group)」。両社の知見を融合し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する日本企業を支援する中で、新型コロナウイルス 感染拡大による企業危機が訪れた。 ニューノーマル時代のビジネス世界とは? アクセンチュア 代表取締役副社長 関戸 亮司氏と日本マイクロソフト 執行役員 常務 パートナー事業本部長 高橋 美波氏がDXの豊富な知見とAMBGでの実践経験のもと、日本企業が生き残るための戦略や条件について語り合った。

※本取材は6月26日に「Microsoft Teams」で実施いたしました。日本マイクロソフト 高橋氏は7月1日よりエンタープライズ事業本部長に就任されておりますが、取材時はパートナー事業本部長でしたので、当時の肩書にて表記しております。
(2020年7月1日より日本マイクロソフト株式会社 執行役員 専務 エンタープライズ事業本部長)

アクセンチュアと日本マイクロソフトが協働し
日本企業のDXを支援

高橋 2000年にアクセンチュアとマイクロソフトは、ビジネス拡大のためジョイントベンチャーとしてアバナードを設立しました。3社でソリューションや新規ビジネスを創造することで培ってきた信頼関係のもと、社会や産業の構造を大きく変革するDXに取り組む企業を支援するべく、2019年2月にアライアンスを強化した新組織「AMBG(Accenture Microsoft Business Group)」を立ち上げ、同年5月には日本でもキックオフしました。この1年間、日本企業の様々な改革の支援を一緒に取り組む中で改めて感じたのは、ITを導入するだけでなく、ITをお客様に根付かせることの大切さです。

関戸 AMBGにより両社の協業は新たなステージに入ったと感じています。マイクロソフトはスケーラブルなクラウドのプラットフォームと、その上で広範囲にわたるテクノロジーを有しています。それらを最大限に活用しお客様のDX推進に貢献するべく、アクセンチュアでは各産業における豊富な知見や各種テクノロジーに関する専門スキルを用いて、あらゆるお客様のニーズに即した支援が行える組織体制を整えました。

DX時代を勝ち抜くためにスピードが求められる中、戦略立案など早い段階から両社により共同提案を行うことでお客様のビジネスチャンスは拡大します。両社の強みを活かした組織体制のもと、期せずして新型コロナウイルスの感染症拡大という未曾有の事態を迎えることになりました。AMBGは、コロナ禍の日本企業の支援において重要な役割を果たしています。

高橋 日本においてもDXにより流通業の企業が金融業に参入するなどクロスインダストリーの動きが活発化してきています。今後もポストコロナを見据え、新たな成長戦略を描くために業界を超えたコンバージェンス(融合)がさらに増大していくと考えています。クラウドやAI、IoTなどデジタル技術を有するマイクロソフトと、産業に対する造詣の深いアクセンチュアが一体となったソリューションは、異業種コラボレーションの可能性拡大にも大きく貢献できます。

関戸 アクセンチュアにおいても、産業分野を超えたプラットフォームの構築やビジネスの立ち上げなどクロスインダストリーのプロジェクト支援が増えています。各産業のエキスパートや最新技術の有識者が集まって知見や知恵を結集できることがアクセンチュアの強みです。マイクソフトと一緒に、先進的な取り組みにチャレンジするお客様を後押ししていきたいと思います。

日本のお客様の7割がコロナ禍問題を短期ではなく
中長期で捉えていた

高橋 新型コロナウイルスの拡大に伴い世界中の企業が存続危機に直面しています。AMBGでは日本企業に対し、外出自粛要請に応えながら業務継続を実現するための提案活動を行ってきました。関戸さんは経営者の方とお話をされる中で、この危機に対し、日本企業はどう向き合おうとしていると見ていますか?

関戸 アクセンチュアでは、今年3月から6月までの3カ月間で、大企業のお客様を中心に新型コロナウイルス感染症への対策に関する提案や支援を実施しました。驚いたのは、そのうち7割のお客様が「短期間でテレワークを推進するためにどうしたらいいのか提案してほしい」というニーズよりも、「ニューノーマル時代を見据え、どのように組織や従業員の意識、ITプラットフォームを変えていけばいいのか、中長期的視点での示唆がほしい」とのご要望が強かったことです。新型コロナウイルス感染症の問題は、企業にとって脅威であるのと同時に、ビジネスチャンスでもあります。社会や業界、ビジネスのルールが一変するため、この1年、2年の間に勝ち負けがはっきりとしてくるでしょう。

これまでのように、導入するテクノロジーの検討段階から計画を立ててウォーターフォールで進めていくのではなく、まずテクノロジーのプラットフォームをすばやく選択し、その上でアジャイルに変革を進めていくスピード感が重要です。また、経営者は強い危機感を抱きながらも、ネガティブに考えるのではなく、新しいビジネスモデルで市場を開拓するといったポジティブ思考で経営戦略を立案していくことが大切です。日本人は最初の一歩を踏み出すのが得意ではない方が多い反面、いざ動き出すと優れた結束力で大きな成果を上げていきます。世界中の企業がニューノーマル時代のスタートラインに立っている今こそ、“本当の勝負のとき”です。

ツール、プロセス、マインドを
一体的に取り組むことで企業変革は加速する

高橋 新型コロナウイルスが終息するまでの間を在宅勤務などで凌ぐだけでなく、これを機会にポストコロナ時代を勝ち抜いていく戦略を描きたいと考える、日本企業の経営者が多いというのは嬉しい驚きですね。変革を推進していく上で重要なのは、経営トップがどれだけ新しいことにコミットできるかという点です。強いリーダーシップのもと、変化を好まない社員や現状維持を望む社員を含め全社員を巻き込むことが、変革を加速させ、成果を最大化します。

例えば在宅勤務も一過性ではなく定着させるためには、人事評価制度の見直しも必要です。在宅勤務の社員を管理する視点ではなく、企業が組織として何を重視するのか、KPI(重要業績指標)を明確に設定し全社員で共有した上で、労働時間ではなく成果で評価を行うジョブ型の人材管理にシフトしていくことが大切です。企業変革は、ツール、プロセス、マインドを一体的に取り組むことで初めて実現できます。アクセンチュアでは、働き方改革のテーマにおいてプロセスやマインド面でご相談を受けることがありますか?

関戸 日本マイクロソフトが提供するチームコラボレーションのハブである「Microsoft Teams」の導入を支援する際も、単にツールを導入するだけでなく「Teamsを利用して、管理者はどのように部下とコミュニケーションをとるべきか」といった活用や定着に向けて提案を行っています。高橋さんからお話のあったジョブ型の人材管理においても、古い発想のままでは管理が階層化し組織に余計な負荷をもたらすリスクがあります。フラットな組織で、テクノロジーを使って社員一人ひとりが責任を持って行動し、その成果が組織のKPI達成へ、お客様の価値創造へと繋がっていく仕組みづくりが大切です。大事なのは、ツールの導入ではなく課題の解決です。アクセンチュアとマイクロソフトが協働で取り組む意義は、お客様の本質的な課題解決に貢献できることにあります。

「全労働人口の6割を占める“現場”を有する分野でいかに働き方を改革するか」に続く

CONTENTS

「ニューノーマルの時代における“企業のあるべき姿”とは?」〜DXによる変革を加速させ、ニューノーマルに挑む〜アフラックCase Study 「コロナ禍に短期間で事業継続を実現できた要因とは?」〜DXがパンデミックへの対処の仕方を変えた〜アステラス製薬Case Study