高校教育の一歩先を。

ITの導入と実践・運用の最適解を探る

導入事例岐阜県教育委員会

教育機関への導入台数としては国内最大規模
探究型の「ふるさと教育」を推進する岐阜県が
「Surface Go 2」を県立高校生全員に導入

岐阜県教育委員会は県立高校の全生徒に向けて、国内最大規模となる約4万2000台のマイクロソフト「Surface」を導入する。岐阜県では2019年に、全県立高校および特別支援学校向けにプロジェクター、無線LAN、教室向けタブレットを導入するなど、先進的なICT環境の整備に努めてきた。今回、県立高校生全員への導入に踏み切った同教育委員会に、その背景と最新タブレット「Surface Go 2」選択の決め手を聞いた。

先進的なICT環境の整備により短期間で非常事態に対応
4月には10日で県立高校のオンラインライブ配信を実現

岐阜県教育委員会
教育総務課教育企画第二係管理主事 日比 学

岐阜県では2019年3月に策定した「岐阜県教育振興基本計画(第3次岐阜県教育ビジョン)」により、地域への貢献を目指した探究型の「ふるさと教育」に力を入れるべく、先進的なICT機器の環境を整備してきた。

19年度中には全県立高校のすべての普通教室と一部の特別教室に固定式の、全県立特別支援学校に可動式のプロジェクター、無線LAN、ホワイトボード、実物投影機(書画カメラ)、そして約4000台のタブレット端末「Surface Go」を導入。岐阜県が目指すICTを活用した「主体的・対話的で深い学び」を加速させている。

こうした迅速な整備は今年4月、誰もが予想していなかったコロナ禍による臨時休校の際に大きな役割を果たす。岐阜県は4月中旬から県立高校でのオンライン授業の準備に取り掛かり、わずか10日間あまりでライブ配信授業を順次実現した。全県立高校63校と特別支援学校20校を含めた計83校でのオンライン配信授業は全国でも珍しく、その画期的な施策が注目を集めた。

岐阜県4月下旬オンライン配信時の様子 岐阜県4月下旬オンライン配信学習の様子(岐阜北高)

Surfaceを使用した学習の様子 Surfaceを使用した学習の様子(大垣北高)

岐阜県教育委員会教育総務課教育企画第二係管理主事の日比学氏は、「県立高全体で『Surface Go』や無線LANなど、ICT環境が整備されていたため、オンライン授業がいち早く実現できました。『Surface Go』はカメラ機能も充実し、新たなICT機器を導入する必要がないので、先生方もすぐに準備できたようです」と語る。

「Surface」の導入台数は国内最大規模
1人1台で全生徒に公平な学びの機会を

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春のコロナ禍をオンライン授業で乗り切った岐阜県は今、県立高校生に1人1台の「Surface Go 2」の導入を進めている。ICT教育を加速すべく、21年1月までに約3万8000台を配布する計画だ。これは昨年学校向けに導入した「Surface Go」約4000台と合わせると、教育機関での「Surface」の導入台数として、国内最大規模になる。

岐阜県ではすでにGIGAスクール構想の一環として、小中学生には1人1台PCの導入を進めているが(今年度中に整備完了予定)、その対象外となる全県立高校生に向けても1人1台の導入に踏み切る理由について、同教育委員会は大きく3つのポイントを挙げている。

まず1点目は、4月からのオンライン配信で、生徒側の端末の多くがスマートフォンだったことだ。生徒の主体的なオンライン学習を支えるためのサイズ感や機能を考えると、やはりタブレット導入の必要性を実感したという。

2点目は、国が推進するGIGAスクール構想により、岐阜県内の小中学校への1人1台PCが整備されたことが大きい。県内の私立高校もその動きに誘発されてICT環境を充実させるなか、県立高校でもICT環境の整備に対する機運が高まった。

3点目は、コロナ禍により、岐阜県の推進する先進的なグループ学習や課外活動の実施が難しくなってしまったことが挙げられる。「グループでの対話型の学びが減少したことで、早急に1人1台タブレットを活用した対話型の学びを可能にして、全生徒に公平な学びを継続させる必要がありました」(日比氏)。

軽量で持ち運びやすく、しかも堅牢
対話型の学びをサポートする機能を搭載

岐阜県教育委員会
教育財務課情報基盤管理係長 岩口 一平

では、なぜ「Surface Go 2」を選んだのだろうか。その理由について、岐阜県教育委員会教育財務課情報基盤管理係長の岩口一平氏はこう語る。

「軽量でコンパクトなノートPCを条件とした結果、『Surface Go 2』となりました。学校の机は奥行きや幅がそれほどなく、たとえノートや文房具などを片付けても、スペースに余裕があるわけではありません。『Surface Go 2』はキックスタンドの角度も自由に変えられ、省スペース化に役立ちます。また、持ち運びの際にはタブレットと一体になるため、厚みが増すこともありません。その手軽さが決め手になりました」

マイクロソフトによると、「Surface Go 2」の重さはペットボトル1本分に相当する約544 グラム。軽量で持ち運びやすいという特徴がある。液晶も10.5インチサイズなので、たとえ教室や自宅の机の上、外出先で広げてもコンパクトに扱える。

また、「Surface Go 2」は、マイクロソフトラボで実施される厳しい堅牢性のテストもクリアしている。「昨年、『Surface go』を導入するときもマイクロソフトさんが実機で、体重をかけてもキックスタンドが折れないことを丁寧に説明してくれました。そのコンパクトな見た目とは裏腹に、生徒が校外学習や部活動など、教室以外の場所で少々粗雑な扱いをしても耐えられる高い堅牢性を備えていることも、今回の選択の大きな理由になりました」(岩口氏)。

さらに、「Surface Go 2」で大きな特長となるのは、フルHD(1080p)の高精細なインカメラと2つのデュアルスタジオマイクだ。高品質なカメラとマイクを搭載したことで、ICT教育で注目が高まる対話型の学びを促進。「Teams」などのツールと組み合わせることで、先生や生徒同士の表情や声をクリアに届け、岐阜県が推進する双方向学習をサポートしていく。

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大規模導入もマイクロソフトが包括的に支援
導入後のサポート体制も充実

今回岐阜県では、県立高校生向けに「Surface Go 2」を導入するとともに、「Office365」のライセンス取得も展開していく。こうした大規模な導入に関しては、マイクロソフトのサポートも大きかったという。

「これまで、『Teams』は教員だけにアカウントが解放されていました。しかし今回、新たに『Office365』を展開するにあたり、生徒にもアカウントが作られます。そこで新たな権限やセキュリティの設定などについて、マイクロソフトさんに実際に来てもらい、支援していただきました。また、大規模導入にあたりクラウドサービスにデータを円滑に移行できる『Microsoft FastTrack』を活用するなど、『Office365』を含めた包括的なサポートを受けることができ、大変に助かりました」(岩口氏)

今後、岐阜県では導入後のサポートとして新たにヘルプデスクも設置する。これまで不具合や修理機器の管理は現場の教員が担当してきたが、今回、ヘルプデスクによる一括したサポート体制をとることで、先生側の負担を軽減しようというのが狙いだ。

学習支援ソフトの活用で対話型学習を深化
1人1台「Surface Go 2」で広がる学びの可能性

岐阜県では今後の展望について、現在のコロナ禍と、その先を見越した柔軟なICT教育を加速させていくという。

まずコロナ禍の現在は、学習支援ソフトなどを活用して、生徒が「Surface Go 2」に記入したものを教員がリアルタイムで把握するなど、テクノロジーを駆使した場所を問わないタブレット上での対話を継続させる。

そして、その先のコロナ後を見据え、ICTを活用した「ふるさと教育」を通じて、探究的な学びを加速させる取り組みを展開していく。1人1台のタブレットを生徒が携帯することで、自ら足を運ぶ課外活動においても、調査活動からレポート作成、発信に至るまで主体的な学びが可能になるのだ。

「ふるさと教育」図、写真 「ふるさと教育」とは……

「ふるさと教育」図、写真 「ふるさと教育ポスター発表」(恵那高)

「ふるさと教育」図、写真 「ふるさと教育地域で販売」(大垣商業高)

日比氏は、「例えば『Teams』を活用すれば、岐阜市の学校と高山市の学校をつないだ課題研究の発表会もできるようになります。また、地域や大学、研究機関からアドバイスをもらうなど、より専門的な見地を入れた課題研究にも取り組めます。さらに場所を問わない『Surface Go 2』の特長を生かせば、探究活動の場を国内のみならず、海外にも広げることができるでしょう」と、ICT活用の今後に大きな期待を託す。