日経クロステック Special

お絵描き感覚で誰でも簡単に設計可能 生産設備向けアルミフレーム筐体の設計時間を最大9割削減する MISUMI FRAMES

フレーム交点に締結部品を自動配置しミスをゼロに

 MISUMI FRAMESは直感的な操作で、簡単にアルミフレームを用いた筐体などの制作物を設計することができる。角タイプの任意のフレーム部材を選び、始点と終点を指定して配置していくだけで構成可能だ。長さの調整(伸縮)、回転、コピー、追加や削除なども3D画面を見ながら簡単に行える。

 「MISUMI FRAMESは直感的に操作できるため、普段CADになじみのない購買部門や営業部門の方が使っている場合もあると伺っています」と浦氏は語る。

中野 氏
ゼンウェル・オーダード株式会社
技術部
設計課リーダー
中野 裕太

 実際にMISUMI FRAMESを活用する、パーツフィーダーを中心とした省力機器などの開発・設計・製作を行うゼンウェル・オーダード株式会社では、「導入前は設計が楽になるか半信半疑だった」という。過去に2D CADを入れ替えた際に、新旧CADの操作方法の違いに戸惑ったこともあり、新しい3Dでの設計ソフトの導入に不安があったのだ。

 しかし、「新しい操作を覚える必要はなく、直感でイメージしたものを画面に出せてお絵描き感覚で設計できるソフトだったので驚きでした」と同社 技術部 設計課リーダーの中野裕太氏は導入当初の感想を振り返る。

 また、設計における大きな特徴の一つが、フレーム部材の接続点に、ブラケットやナットなどの締結部品を自動的に配置してくれる機能である。

 「通常の3D CADでアルミフレーム筐体を設計しようとすると、人手で締結部品を選んで配置しなければならず、とても手間がかかってしまいます。ミスミでは、25年以上にわたるアルミフレーム商材の取り扱いで培った商品データベースをもとに、部材の組み合わせをルール化することで、締結部品の自動配置を実現しました。そのため締結部品の漏れやサイズが合わないといったミスが起こりません」と、浦氏はメリットを説明する。

 中野氏は、「従来の筐体設計は、2D図面から部品表を作成する際に、組図を印刷しペンでチェックしながら部品表を数えており、どうしても必要な寸法・数量を間違えて、急きょ追加発注や不要在庫になるということがありました。それがMISUMI FRAMESによって解決。部品表がモデルにひも付いた型番で簡単に作成できるので、今まで発生していた寸法や数量のミスがなくなり、結果、大幅な工数削減に加え、発注ミスを減らすことにもつながりました」とその効果を語る。

 MISUMI FRAMESはそのほかにも、パネル、扉、フレームキャップ、蝶番、キャスターなどのアクセサリー部品の配置や、様々なカスタマイズが可能。構成エラーのチェック、簡易的な強度計算、総重量の計算など、設計を効率化する機能も備えている。

 また、ユーザーが通常使っているCAD環境と類似の感覚で操作できるように、主要なCADツールに準じたマウスの操作パターンが7種類も用意されており、あらゆる人が使いやすい仕様にもなっている。

MISUMI FRAMESの設計画面
MISUMI FRAMESの設計画面。部品を選べば、後はお絵描き感覚で簡単に設計できる。さらにすべての締結部品はフレーム部材を設置すると自動で配置される

設計後すぐに発注可能で原則として発注翌日には出荷

 設計したアルミフレーム筐体のデータはテンプレートとして保存できるほか、外形寸法図、組図、組立展開図、断面図などの図面として出力することもできる。また、部品表や見積書も出力される。なお、部材の合計価格は設計画面上にリアルタイムで常に表示されているため、コストの把握も容易だ。

外形寸法図
外形寸法図の出力画面。MISUMI FRAMESでは汎用2D CADでの読み込みも想定している
見積画面
部品表はワンクリックで簡単に自動作成。さらに部品表画面からそのまま見積書の作成も可能で、続けて発注まで行うことができる

 2D CADおよび3D CADへのエクスポートも可能となり、DXF、STEP、Parasolid形式がサポートされている。いつも使用している設計環境に取り込んで、設計中の生産設備と組み合わせて全体図を作成したり、干渉の確認などに活用できる。「MISUMI FRAMESに設備の外形をSTLデータとして取り込み、そのデータをもとに作成されたガイド形状に沿いながら設計を進めることもできます」(浦氏)。

 また、発注業務も効率化できるように工夫されている。MISUMI FRAMESはミスミのeコマース「MISUMI-VONA(ミスミヴォーナ)」のウェブオーダーシステムにつながっているため、画面から直接発注できるのも特徴の一つだ。

 特に便利なのが「まとめ型番」機能である。設計した部材一式を単一型番として発注できる機能で、ミスミからはまとまった梱包で配送されるため、検収や仕分けを簡略化できる。もちろん部材を個別に発注することも可能だ。

 なお、フレーム部材や締結部材の価格や納期は、ミスミのeコマースから単品として発注した場合と変わらない。原則として発注の翌日に出荷されるスピード感はミスミならではだろう。

 「大型の筐体になればなるほど、時間削減効果がより期待できると思うので、大きい複雑な筐体設計案件があればMISUMI FRAMESを活用してみたいです」と中野氏は、今後の展望を語った。

MISUMI FRAMES設計の流れ
MISUMI-VONAとの連携で、設計から納品までアルミフレーム調達の一連の作業を効率化するMISUMI FRAMES

「時間戦略」で顧客の生産材調達の効率化を目指す

 冒頭で触れたように、ミスミは顧客の生産材調達を効率化する様々なサービスを提供してきた。1977年に業界に先駆けて機械部品のカタログ化を実践。2010年にはeコマースのMISUMI-VONAを開設し、さらに2016年には、3D CADデータをアップロードするだけでAI が価格と納期を即時に回答し、機械加工品を最短即日出荷できるプラットフォーム「meviy(メヴィー)」をスタートさせている。

 従来は生産設備などに必要な特注部品を調達しようとすると、まず図面を作成し、複数の加工メーカーに見積もりを依頼して、納期や価格を見てメーカーを選定した後、発注を行う流れだった。しかしそこに、機械部品の標準化や、価格と納期の明示など、それまでの常識を覆す新たな価値を持ち込んだのがミスミだ。

 今回紹介したMISUMI FRAMESもそうした取り組みの一環であり、確実短納期の実現により、製造業の効率を高めてイノベーションをもたらしたいとする同社の「時間戦略」が背景にある。同社は「ミスミから調達するのがお客様にとって業務効率が最も向上する」というところを今後も目指していくという。

 なお浦氏によると、MISUMI FRAMESに関してはユーザーの要望も聞きながら今後も一層改良を進めていく予定だという。設計した筐体を組み立てて出荷する際の見積・発注ができる新機能の開発や、その他の機能の向上、部材の拡充、さらにはサービスの海外展開などを構想しているという。

 非コアな業務であるアルミフレーム筐体の設計と調達を効率化することで、設計者の時間をコアな設計業務により割り当てることが可能になる。競争力の強化が求められている日本の製造業で、MISUMI FRAMESの活用が進むことが期待される。

アルミフレーム筐体設計ソフト MISUMI FRAMES 詳しくはこちら≫