対談 DX時代に相応しい基幹システムを目指し「SAP S/4HANA」へ移行 対談 DX時代に相応しい基幹システムを目指し「SAP S/4HANA」へ移行

三井物産 執行役員 デジタル総合戦略部長 真野雄司氏 日経BP総研 イノベーションICTラボ所長 戸川尚樹

三井物産では、SAP ERPで構築された大規模基幹システムを、最新の「SAP S/4HANA」に移行するプロジェクトを推進。投資面やスピード感を念頭に「ストレートコンバージョン」を採用した同社のプロジェクトを、パートナーとして支えているのが、同社におけるSAPの導入、運用・保守を一貫して支えてきた三井情報だ。日経BP総研 イノベーションICTラボ所長 戸川尚樹が、三井物産 執行役員 デジタル総合戦略部長 真野雄司氏にその取り組み内容について聞いた。

ストレートコンバージョンで俊敏に新システムへと移行

三井物産 執行役員 デジタル総合戦略部長 真野雄司氏

戸川 日本を代表する総合商社であり、SAPのパワーユーザーとしても知られる三井物産では、国内外のSAP ERP(ECC 6.0)で構築した大規模基幹システムを最新の「SAP S/4HANA」へと移行するプロジェクトに着手していますが、その狙いについてお聞かせください。

真野  当社では2000年に初めてSAP® R/3®を海外で導入し、国内は2004年に導入。その後ECC 6.0に移行し、以来、国内(単体・関係会社)、海外の3つのインスタンスで運用してきました。近年、IoTやAIといったデジタル技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が重要なテーマとなる中、一部レガシーな部分を抱えている既存システムでは、今後、そうした攻めのIT活用を基盤として支えていくのが困難であるとの課題認識がありました。具体的には、DXの根幹ともいえるデータ活用の推進や、財務領域をはじめとした先鋭化をさらに進めていこうとしているSaaSとの密接な連携などを円滑に行っていける環境の整備こそが求められていたわけです。

戸川 今回のプロジェクトでは、既存のECC 6.0の資産をSAP S/4HANAへと「ストレートコンバージョン」により移行するというアプローチを採用されているとのことですね。

真野 はい。もっとも当初は、より長期的な視点から運用管理性や業務プロセスのグローバル統一・標準化を高めるべく、国内、海外を1つのインスタンスに統合、抜本的なシステムの再構築を図るという方向性を模索していました。ただそうなると、相応な投資が必要となるほか、何よりも構築に約2年という期間を要し、相応の人的リソースを投入せざるを得ないことが想定されました。常に激変するビジネス状況にあって、この2年というのは、やはりスピード感の面で許容できるものではありませんでした。一方、検討を進める中で、ストレートコンバージョンでの移行によっても、すでに述べたようなデータ活用や外部システムとの連携といった我々の要件を十分に満たし得るということもわかってきました。そこで、試算によれば再構築に比べて6分の1程度という低廉な投資で、迅速に最新環境への移行が可能なストレートコンバージョンを採用する運びとなったわけです。

業務プロセスの改善による付加価値向上も同時に推進

日経BP総研 イノベーションICTラボ所長 戸川尚樹

戸川 プロジェクトをともに推進するパートナーとして三井情報を選んだ理由についてお聞かせください。

真野 三井情報は、当社のグループ会社でもあり、総合商社である我々のビジネスに精通していることに加え、当社におけるSAPの導入、運用・保守を一貫して支えてきたパートナーでもあります。今回のSAP S/4HANAをターゲットとする移行案件に関しても、豊富なプロジェクト経験を有しており、またSAP社とも密接なリレーションシップを築き上げてきています。もちろん、それらをトータルに見ても三井情報には圧倒的な信頼感がありました。三井情報をパートナーとして選択するというのは当社にとって、むしろ必然であり、決してグループ会社だから選択したわけではないということはぜひ申し添えておきたいと思います。

戸川 移行プロジェクトの現在のステータスについて教えてください。

真野 我々の海外のインスタンスは、世界約40カ国にまたがる当社拠点の約3500ユーザーが共同で利用していますが、国内のインスタンスが当社独自の業務プロセスに合わせて多くのアドオン開発が施されたものになっているのに対し、基本的にはSAPの標準モジュールをそのまま利用するかたちで運用されており、システム自体が非常にシンプル。そうしたことから、海外インスタンスの移行を先行させ、2018年9月に取り組みに着手。2019年11月にプロジェクトを完了させました。一方、国内のインスタンスは、2019年9月にプロジェクトをキックオフ。海外インスタンスでの取り組みで蓄積されたノウハウを活かし、より短期、具体的には10カ月という期間での完了を見込んでおり、2020年7月に本番稼働を開始する予定です。なお、両インスタンスともあわせて業務プロセスの改善や使い勝手の向上も実施しており、例えば、これまで多くの手間を要していた入金消込作業を最新のテクノロジーの1つである「SAP® Cash Application」により自動化したり、UIに「SAP Fiori」を採用して操作性を高めるなど、現場ユーザーに新たな付加価値を提供しています。

DXの推進を念頭に置いてIT部門の組織変革を断行

戸川尚樹(左)真野雄司氏(右)

戸川 そうしたシステム面での取り組みに並行させて、DXを念頭に置いた組織面の改革にも取り組まれているそうですね。

真野 組織面では、2019年10月に当社の情報システム部門にあたるIT 推進部に、それまで経営企画部内に置かれていたDXチームを統合して、デジタル総合戦略部と名称を変更しました。さらに2020 年4月には、DX時代における情報システム部門の存在意義を徹底的に見直すかたちで、事業部門やコーポレートにあった個別IT 組織をも集約して、当社グループ全体のデジタルに関わる総合戦略を推進する新たな組織へと改編します。そのコンセプトは「デジタルの力で新しい価値を創る」というもので、事業部門が必要とするシステムを構築していくというそれまでのスタンスを脱却し、社内にある16の事業部門と一体となって、各部門におけるDXの推進をデジタル総合戦略部が率先して提案。必要なIT 環境を整えて、確実にビジネス価値を創出していくという役割を担っていこうとしています。また、事業部門の人員を柔軟にデジタル総合戦略部に受け入れて、一定期間活動したのち、そこで培ったデジタル技術に関する知見を再び元の現場に戻って生かしていけるような体制も整備。まさにIT側、ビジネス側、双方のマインドセットの変革をベースに、互いのノウハウを融合するかたちでDXを強力に推進していける体制の実現に向けた組織変革を進めています。

戸川 最後に、国内インスタンスの移行がまだ完了していない状況ですが、これまでの成果についてお聞かせください。

真野 IoTやAIといったデジタル技術の活用はビジネスそのものであり、それを支える基幹システムと切り離して考えることはできません。すべての移行が完了した暁には、真にビジネス価値創出に直結するシステム基盤が整うものと確信しています。三井情報には今後も引き続き、パートナーとして当社のDX推進をシステム面からしっかりと支えていってくれることを大いに期待しています。

※記載されているすべてのSAP製品およびサービス名はドイツにあるSAP SEやその他世界各国における登録商標または商標です。

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