大規模プロジェクトを通して「SAP S/4HANA」移行ノウハウを蓄積 大規模プロジェクトを通して「SAP S/4HANA」移行ノウハウを蓄積 大規模プロジェクトを通して「SAP S/4HANA」移行ノウハウを蓄積

SAP ERPをベースとした既存システムを、SAPの最新ERPスイート「SAP S/4HANA」へと移行するプロジェクトに着手した三井物産。SAPにかかわるシステム構築・移行についての豊富な実績と高度なノウハウを有する三井情報の支援のもと、国内、海外、双方のインスタンスの完全移行に向けて、目下、プロジェクトが順調に推移しているところだ。プロジェクトを牽引する三井物産、三井情報、両社のキーマンに具体的な取り組み内容について聞いた。

ストレートコンバージョンと改修対応の短期完了を目指す

 三井物産が進めるSAP ERP(ECC 6.0)から「SAP S/4HANA」への基幹システム移行プロジェクト。その現状のステータスとしては、2018年9月にスタートした海外インスタンスにかかわる移行作業が2019年11月に完了し、本番稼働を開始している。一方、2019年9月にキックオフした国内インスタンス分の作業も、2020年7月のカットオーバーを期して、現在、鋭意進められているところだ。

 今回移行のアプローチとして「ストレートコンバージョン」が採用されているが、それに加え、これまでのシステムについて現場が抱えていた改善要望に応じた改修を、移行を機に実施。そうした意味で同プロジェクトでは、ツールを活用したアプリケーション資産のコンバージョンと、改善要望を満たすためのソフトウエア開発という2軸による取り組みが行われているわけだ。

変則的なプロジェクトの運営を高度なスキルで適切にマネジメント

 プロジェクトの推進体制は、システムの移行・開発にかかわる実作業を、プロジェクトマネジメントも含めて三井情報が一括で受託。「コンバージョンチームと開発チームを明確に分け、プロジェクトマネージャーの指揮のもと両者が適切に連携を取りながら作業を実施しています」と三井情報の斯波泰正氏は紹介する。

 まずコンバージョンの作業は、すでに述べた通り、SAPから提供されるツールを活用したものとなるわけだが、その実施には思いのほか、大きな困難が伴うという。「ツールを実行すると正体不明のエラーが度々発生します。そのエラーをSAPへの問い合わせなども随時行いながら、1つひとつ正しく理解して地道に解消していくというのがコンバージョンの主たる作業だと言っても過言ではないでしょう」と語るのは三井情報の矢野口正明氏だ。

アライアンスを結んだインドのテックマヒンドラリミテッド社と

アライアンスを結んだインドのテックマヒンドラリミテッド社と

 一方の開発側の作業では、それに先立つ改善要望の取りまとめを三井物産が実施。「例えば海外インスタンスについては、世界40カ国56 社が単一のシステムを共同利用していますが、各現場の改善要望を拠点ごとに集約し、それを東京の本社側で三井情報にも参画してもらいながら、技術面、費用対効果の観点からその採否を吟味しました」と三井物産の奥山秀俊氏は説明する。このときの基本的な採否の基準は、できるだけすべての国のユーザーにメリットがもたらされる汎用性の高い要望を優先的に採用した。また、国内インスタンスについては、現場の要望をベースに業務プロセス改善の視点なども交えながら改修案件を採択しているという。

 開発チームの作業では、要件定義から設計・実装、テストといったソフトウエア開発における一般的なフェーズを実践していくことになるが、三井情報ではこの開発作業についてインドのテックマヒンドラリミテッド社とアライアンスを結び、同社の技術者リソースを投入している。

 「このようなコンバージョンと開発という2つのチームによる協業を行い、さらにオフショアの開発リソースも交えた、変則的なプロジェクトの舵取りには、非常に高度なスキルが要求されることは言うまでもありません。そうした観点から三井物産では、今回のプロジェクトを通じた、三井情報の高いマネジメント能力を改めて評価しています」と奥山氏は語る。

  • 三井情報株式会社 ソリューション技術本部 SAPソリューション部 第一技術室 室長 斯波 泰正 氏

    三井情報株式会社

    ソリューション技術本部
    SAPソリューション部  
    第一技術室
    室長

    斯波 泰正

  • 三井情報株式会社 ソリューション技術本部 SAPソリューション部 第一技術室 マネージャー 矢野口 正明 氏

    三井情報株式会社

    ソリューション技術本部
    SAPソリューション部  
    第一技術室
    マネージャー

    矢野口 正明

  • 三井物産株式会社 デジタル総合戦略部 基幹システム室長 奥山 秀俊 氏

    三井物産株式会社

    デジタル総合戦略部
    基幹システム室長

    奥山 秀俊

SAP S/4HANAへの移行を目指す企業を持ち前の総合力により強力に支援

 一方、今回の移行プロジェクトにおいて、システム面で注目すべきポイントの1つにSAP S/4HANAのシステムのインフラとして Microsoft Azure が採用されていることが挙げられる。これまでのSAP ERPは三井物産の契約するデータセンター内に構築されていたが、今回その基盤がパブリッククラウド上に展開されたのだ。奥山氏は「プロジェクトに着手する数年前からシステムリソースの調達にかかわる俊敏性など運用面でのメリットからパブリッククラウドへの移行を計画しており、他のクラウドも含めた実証なども実施した結果、SAPとも親和性の高い Azure が新システムの基盤に最適だと考えました」と説明する。

 すでに完了している海外インスタンスの移行において、Azure 上で大量のシステムリソースを適宜活用しながら事前に本番機のデータを使いトライアルとチューニングを繰り返すことで、システム切り替え時のダウンタイムを当初の予測から約3割短縮するという多大な成果を上げている。「特に、データ移行時にはエラーやワーニングが頻発しましたが、かねてより三井情報がSAPの構築/移行プロジェクトで培ってきた知見を駆使し、速やかに問題解決を図り、ダウンタイムを最小化することができました」と矢野口氏は語る。

S/4HANAへのデータ移行のアプローチ

SAP S/4HANAへのデータ移行のイメージ図

データ移行のダウンタイムを短縮するため、オペレーションレベルで手順を明確化。さらにハードウェアリソース割り当てなど徹底的にチューニングすることで、ダウンタイムを当初の想定より3割削減することに成功。

 すでに海外インスタンスの移行を完了し、2020年7月の本番稼働を期して、目下、国内インスタンスの移行作業が鋭意進められている。三井情報では、元来同社が持ち合わせているSAPシステムの構築・運用保守に関する豊富な実績と、今回の三井物産におけるプロジェクトの経験を通してさらに積み上げたノウハウ・知見により、今後SAP S/4HANAへの移行を目指す企業をなお一層強力に支援していくことになる。

 「一般にSAP S/4HANAへの移行は単なるSAP ERPのバージョンアップに比べて難度が高いと捉えられますが、お客様には我々の豊富な経験に基づく支援によって、安心して取り組んでいただけるものと思います」と斯波氏は強調する。

 これについて三井情報では、2019年4月に、組織名に「SAP」を冠した「SAPソリューション部」を社内に設置。システムベンダーとしてSAPのビジネスに大きなリソースを割いて注力していこうという姿勢を鮮明に打ち出している。また、その一方でドイツにあるSAP本社とのリレーションシップの強化に向けた取り組みも推進。さらに、すでに触れたテックマヒンドラリミテッド社との協業も含め、SAP S/4HANA移行プロジェクトを支える技術要員を600人にまで拡大していくとの目標も発表している。

 「あわせて、SAP S/4HANAへの移行によりお客様の現行のSAPシステムがどのようなインパクトを受けるかを明らかにするアセスメントサービスや、SAP S/4HANAを活用したお客様システムの将来像を描くお手伝いをする構想策定支援サービスなども用意しています」と斯波氏は紹介する。

 三井物産の大規模システムの移行プロジェクトを通してさらに総合力を高めた三井情報の動向に、SAPユーザーは要注目である。

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SAP S/4HANA構想策定支援サービス

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SAP ERP, SAP S/4HANA運用・保守サービス

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MKI マネージドサービス for SAP S/4HANA

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商社・卸売業・メーカー販社向け
テンプレートMKI-Trade Suite

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