DXを成功に導くヒント

VOL.1 ITグランドデザイン
VOL.2 DXコンサルティング

マルチSaaSを実現し自社をショーケース化 経営戦略をIT戦略に落とし込み全体最適を考えて変革に挑む

昨今、多様な働き方が広がりクラウド活用が推進されているが、本来目指すべき経営目標に対して、どのようにシステムが貢献できているのか、明確に打ち出せているケースは多くない。そんな中、先駆けてSaaS型基幹システムを自社に導入し、クラウドファーストを自ら体現、その知見を世に広く展開し続けるICT企業、三井情報は、経営目標の実現に向けた「ITグランドデザイン」を提唱。その誕生の背景や強み、そしてこの変革の時代だからこそ考えるべき、企業のIT活用のポイントに迫る。

ITで何を目指すのか。
グランドデザインを起点に変革に挑む

三井情報株式会社 経営企画統括本部 戦略企画部 IT戦略企画室 室長 岡田 秀之氏

三井情報株式会社
経営企画統括本部 戦略企画部
IT戦略企画室 室長
岡田 秀之

2018年、政府情報システムの方向性として「クラウド・バイ・デフォルト原則」が打ち出され、企業が使う情報システムのクラウドシフトはもはや世の既定路線といえよう。

だが、クラウドの利用はあくまでも手段であり、それ自体が目的となっては意味がない。また、クラウドシフトの理由としてコスト削減にとらわれすぎると、本来のメリットが享受できなくなってしまう。喫緊の課題である企業価値向上に向けた攻めのDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現もおぼつかないだろう。

では、クラウド活用を含むデジタル変革とはどうあるべきか。その真の姿を追求し、国内で先行してSaaS(Software as a Service)型の基幹システムに移行し、そこで得た知見を顧客に広く展開すべく、先端技術の活用に取り組む企業がある。ICT企業の三井情報株式会社(以下、三井情報)だ。

「チャレンジの起点となったのは、18年に発表した当社の中期経営計画でした」。そう明かすのは同社IT戦略企画室で室長を担う岡田秀之氏。

「最新のテクノロジーを活用し、経営判断スピードの向上や業務効率化を図り、働き方改革などを実現しながら飛躍的な成長を遂げるには、経営戦略とITとの密接な連携が必須です。その信念のもと、事業戦略の重要な基盤となる情報システムの構築に向けて、経営企画部門が主体となり、IT戦略を策定しました」

こうして18年に誕生したのが「ITグランドデザイン」だ。

図:ITグランドデザイン2020 基本方針。データ利活用、コミュニケーション/チームワーキング、いつでも/どこでも、簡単に安心に、UXの向上

18年に誕生した「ITグランドデザイン」をバージョンアップした20年版

「多様な働き方を支え、常に変化する環境に対応する情報システム基盤へ」と掲げ、「データ利活用」「コミュニケーション/チームワーキング」「いつでも/どこでも」「簡単に安心に」「UXの向上」を基本方針として明示した。

20年版では、ニューノーマルに対応した働き方を支えるために、「簡単・安心・安全につながること」「データを収集・分析・蓄積して、戦略立案や意思決定を行うデータドリブン経営を実現すること」「業務効率化と生産性の向上」などとさらに具体化して、実現するための技術や仕組みを3年間のスケジュールに落とし込み、そのロードマップを社内に公開した。

最新のテクノロジーやトレンドなどを踏まえた「ITグランドデザイン」をもとに、同社では19年6月より、基幹システムのSaaS化に着手。この基幹システムはSaaS型ERP「SAP S/4HANA Cloud」とCRMシステム「Salesforce」が連携している。その他にもコミュニケーションツールの「Microsoft 365」を始め、クラウドストレージサービス「Box」、ITサービスマネジメント「ServiceNow」など、複数のSaaSを利用したシステムを実現。20年7月より順次利用をスタートし、事業成長に向けて活用しているという。

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