新規拠点の開設にも、現拠点の分散にも最適 日本橋に誕生したクオリティ スモール オフィス「H¹O」

新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークの導入が急速に広がったことで、働く場所、ひいてはオフィスに対する意識が大きく変化している。新しいオフィスの在り方などについて研究を行う「HUMAN FIRST研究所*」が、東京と大阪で働くオフィスワーカーを対象に「働く場所と生産性に関する意識調査」を実施したところ、緊急事態宣言解除後は「オフィス、在宅勤務、サテライトオフィスを組み合わせた活用がよい」と考える人が72.4%に上ったという。つまり、従来主流であった一極集中型ではなく、適性分散配置型のオフィスが望ましいと考えるビジネスパーソンが多いのである。

そんな中、注目を集めるのが、野村不動産が手掛けるオフィスブランドだ。同社では、規模・コストなどが異なる幅広いオフィスブランドを展開し、本社オフィスの分散化や拡張・縮小移転など、オフィスの再編成に伴って増加している様々なニーズに応えている。そして、今年5月、そのオフィスブランドのうちの1つ、従業員10 名未満向けのクオリティ スモール オフィス「H¹O(エイチワンオー)」が、日本橋小舟町に誕生。同ブランド初となる、この一棟開発型拠点について、特徴や開発の狙いを担当者に聞いた。
*2020年6月に野村不動産が設立した企業や有識者とともにこれからのオフィスの在り方を探る研究所

働く人に寄り添ってオフィス環境を構築する
HUMAN FIRST(ヒューマン ファースト)という考え方

野村不動産株式会社
都市開発事業本部 ビルディング事業一部
事業企画課 主任 安見 彩香 氏

「当社では創業以来、お客様の生活に寄り添うことを第一とした住まいづくりを行ってきましたが、オフィス事業においてもその考えを踏襲しています。ビジネスにおける価値創造の源泉は“個”にあるという、『HUMAN FIRST』の考え方の元でサービスを展開しています。具体的には『自分らしさ』『心地よさ』『心身の健康』『豊かな感性』という4つの価値をオフィスワーカーに提供し、生き生きと働ける環境を実現していきます」

野村不動産のオフィス事業のコンセプトについて、このように語るのは、同社 都市開発事業本部 ビルディング事業一部 事業企画課 主任 安見彩香氏。

同社では、このコンセプトのもと、大規模から小規模まで、幅広いオフィスビル事業を展開しているが、昨年11月に日本橋室町に誕生したのを皮切りに、都内で徐々にその数を増やしている「H¹O(エイチワンオー)」に注目が集まっている。

オフィススペースイメージ(H¹O 西新宿)
※家具はオプションメニュー

平成28年に総務省と経済産業省が実施した経済センサスによれば、国内事業所の約8割は10人未満。しかし、このレベルの事業規模、すなわちスモールビジネスを展開する企業にフィットするオフィスの供給は足りていないという。従業員10名未満の少数精鋭企業向けにオフィススペースを提供する「H¹O」は、まさにこのようなニーズに応えるものなのである。

いまや労働環境の改善は、人材の採用や定着に大きな影響を与える経営課題の1つだ。企業が新たに拠点を持とうとすると、社員の執務スペースはもちろん、会議や応接スペース、複合機やプリンターなどの様々な備品類といった、自前で整えようとするとかなりの時間とコストがかかる。リソースに余裕のある大企業ならいざ知らず、中小企業では困難なケースもあるだろう。これら多くの準備が必要ないというのが、サービス付きオフィスである「H¹O」の特徴の一つ。入居を決めたら、オフィスワーカーが理想とする環境を手にいれることができ、通常のオフィスビルを借りるより手軽に早く働き始められるという訳だ。

日本橋エリアに深い知見を有する
野村不動産が着目した小舟町の魅力

2020年5月、第三号物件となる「H¹O」が日本橋小舟町に誕生した。シリーズ初の一棟開発型拠点とあって、これまでになかったサービスや機能を持ち合わせている。

シリーズ初の一棟開発型拠点「H¹O 日本橋小舟町」のエントランス

安見氏は、日本橋小舟町のロケーションについて「東京駅へのアクセスがよい割に、コストとグレードのバランスの良さが魅力です。日本橋エリアには、歴史ある企業が数多く存在しますが、そのような企業とビジネスを展開することを視野に入れたベンチャーやスタートアップ企業様からのお問い合わせが増えています。また、この度の新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに『オフィス環境を改善したい』『オフィスの見直しをしたい』という理由で関心を寄せる企業様も多いですね」と説明する。

例えば、日本橋小舟町エリアに数多い製薬会社と取り引きするライフサイエンス系のベンチャーやスタートアップからの引き合いが多いようだ。そして、そのような企業は、オフィスのグレードやセキュリティ性能の高さを気にするという。機密情報をはじめとする知的財産の漏洩を防ぐという意味はもちろん、セキュアな環境でなければ、取引先からの信用も得られないからだ。

その点、「H¹O」なら、建物のグレードや、オフィス内の機能やサービスは、大企業のオフィスと比べても遜色がない。だからこそ、先に挙げたような小規模企業のニーズはもちろん、大~中規模企業におけるイノベーション創出のための新規プロジェクト拠点や、BCP(事業継続計画)や働き方改革の推進を踏まえた分室など、増加する分散拠点需要としての利用にも応えられると安見氏は胸を張る。

それでは、具体的にどのような特徴があるのだろうか?

パッシブ エコ ビルディングという設計思想が
働く人の快適性と環境配慮を両立

野村不動産株式会社
都市開発事業本部 建築部
推進課 課長 石渡 慎一 氏

「H¹O日本橋小舟町」の設計思想について、次のように語るのは、同社 都市開発事業本部 建築部 推進課 課長の石渡慎一氏だ。

「この建物は、環境や社会への配慮を追求した『パッシブ エコ ビルディング(Passive Eco Building)』という考え方で設計しています。例えば、全ての部屋が外壁に面するようにして、開閉可能な窓を設けていること。これによって自然通風を可能にすることで、快適性を向上させています。また、窓を壁面から奥まった位置に設けるとともに、窓にルーバーを設置して室内に入る直射日光を遮ることで、空調負荷を軽減しています。このようなことが実現できるのも一棟型開発だからこそだと言えるでしょう」

さらに、建物内部に自然の光と風を導く、中庭「エコ・VOID」も特徴的だ。

「1階から吹き抜けになっている中庭『エコ・VOID』を設けることで、すべての専有個室の採光と通風を確保するとともに、2階に位置する2つの共用ラウンジや廊下にも自然の光と風が通ります。本来変化の少ないオフィスという場所ですが、心地よい自然の移ろいを感じていただけると思います。このような仕掛けを通して、インスピレーションが湧く、五感を刺激するような体験をしていただきたいという想いで設計をしています」と石渡氏。

中庭『エコ・VOID』を設けることで、オフィスの様々な場所で自然の移ろいを感じることができる

さらには、電源コンセントやWi-Fiといった通信環境を完備した屋上テラスの設置も、一棟開発型拠点ならでは。

石渡氏は、「今の季節であれば朝や夕方の時間帯、春先や秋口であれば、日中もワークスペースとして使っていただける環境を整えています。近年日本でも広がっている『ABW』という考え方のもと用意したスペースで、ワーカー個人が、その時の状況や気分に合わせて働く場所を“自由に選択“できる。その幅の広さを持たせることを意識しています」と語る。

この豊かな緑に囲まれた屋上テラスの空間的な演出は、『バイオフィリックデザイン』に基づくもの。「人と自然が調和したとき、幸福度や健康を増進するデザイン」として、国内外で注目されている考え方だ。このように、先進的な設計思想を取り入れ、一人一人にとって自分らしいワークスタイルを実現するための工夫が随所に散りばめられているのが、H¹Oの大きな特徴だろう。

朝8時から利用可能な屋上テラス

野村不動産株式会社
都市開発事業本部 技術管理部
技術課 課長 杉山 龍朗 氏

また、室内にも一棟型開発だからこその工夫が施されている。

「室内の空調は、床放射空調システムを採用しています。一般的な空調とは異なり、室内にいる人が、不快なドラフト(空気の流れ)を感じることなく快適に過ごせることが特徴で、また静音性も高く、設定温度も通常より2℃程度抑えることが可能です。さらに、こちらの建物は鉄筋コンクリート造ですが、熱を蓄えやすいコンクリート構造体のメリットとの相乗効果で、空間全体の温度ムラがない快適な空調を実現しています」

同社 都市開発事業本部 技術管理部 技術課 課長 杉山龍朗氏は、室内の空調設備についてそのように説明する。

杉山氏はこう続ける。「環境や社会に配慮する、という思想が世の中に浸透しつつある今、その配慮が企業としての評価を高めることに繋がるケースもあります。それが後々、人材獲得に繋がったり、資金調達における企業としての信用度を高めたりする。そういった意味でも、従業員の心地よさや快適さ、そして環境や社会への配慮は、オフィスを選ぶ上で考慮したいポイントになるのではないでしょうか」

加えて、顔認証による多段階のキーレスセキュリティ設計や、IoTを活用して、共用ラウンジやトイレの混雑状況を確認できるサービスなどは、H¹Oシリーズ共通の機能として完備。作業や打ち合わせ、気分転換など、様々な用途に使える2つの共有ラウンジもあり、業務内容や気分に合わせて働く場所が選べるのも魅力的だ。

その共用ラウンジに設置されているのが、紫外線によって空気中に浮遊する菌やウイルスの不活性化を行う空気殺菌装置「エアロシールド」。新型コロナウイルスの流行以前に導入を決めていたシステムだが、人が集まる場所での感染対策にも抜かりがない。

オフィス入口にある顔認証システム(左上)、各部屋の空調設定もスマホアプリで操作可能(右上)、
個人での作業スペースとして用意されたパーソナルラウンジ(左下)、
菌やウイルスの不活性化を行う空気殺菌装置「エアロシールド」(エネフォレスト社)(右下)

課題解決や価値創造を重視する社会への変革が求められる今、このような環境が整っていれば、ワーカーたちの生産性が向上することに大きな期待が持てる。それは、建物内で働く人の健康や快適性、生産性の向上、安全・安心に関する性能を評価する「CASBEEウェルネスオフィス評価認証」で、大規模ビルと同等のAランクの認証を受けていることからも窺い知れるだろう。

企業の経営課題を、
「オフィスポートフォリオ」で最適化していく

今後、「H¹O」は、渋谷をはじめとする都内各所に続々とオープンする予定だという。働く人の生産性や快適性に寄与することはもちろん、「H¹O」のような環境にも配慮したオフィスに入居することで、企業イメージの向上も期待できるため、ますます注目を集めそうだ。

野村不動産のオフィス事業には、「H¹O」以外に、サテライト型シェアオフィス「H¹T(エイチワンティー)」や、中規模オフィスビル「PMO(ピーエムオー)」がある。あらゆる企業でオフィスの見直しが始まる今、今後はこのラインナップを活かし、本社オフィスの分散化や拡張・縮小移転など、オフィス編成について増加する様々なニーズに対応し、企業の「オフィスポートフォリオ」の最適化をサポートする役割を果たしていく考えだという。

「新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあって、これまでのように、すべての従業員が一か所に集まって、画一的なオフィス環境で仕事をするというスタイルが変わりつつあります。例えば、在宅勤務を恒常的に導入することが決まり、本社オフィスへの出社率が下がったため、オフィスを分散させて働く場所とコスト効率を見直したいというニーズ。また、営業担当とクリエイティブ業務担当では、ワークスタイルや重視したいことが異なるため、それぞれの職種に合わせて働く場所を配置したいというニーズ。これらのように、今後、働く場所、ひいてはオフィスに対するニーズは、これまでになかった色々なものが出てくると考えています。そこで、当社が提供するオフィスを組み合わせることで、企業の戦略を考える経営者にとっても、働く一人ひとりのワーカーにとっても、最適なワークスペース戦略の構築を実現していただきたいと思っています」(安見氏)

企業の「オフィスポートフォリオ」を最適化することは、無駄を省くだけでなく、生産性も大幅に向上させることが期待できる。H¹Oをはじめ、ぜひこの機会に、オフィスの在り方を再検討してみてはいかがだろうか?

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