NTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズは、5G時代におけるソリューションの協創を目的としたアイデアコンテストを開催。最終選考会では、1次選考を通過した8チームが、それぞれのアイデアや思いをピッチでアピールした。白熱した最終選考会の様子をレポートする。

顔という個人情報を巧みに扱うアイデアの続出に好感触

●LAMP LIGHT

 多彩なソフトウエアの開発を手掛けるLAMP LIGHT。リアルタイム顔認証と位置情報ソリューションを組み合わせ、大規模な施設などでの迷子を捜索できる仕組みのアイデアを紹介した。

 課題として着目したのは、アミューズメント施設などで子どもが迷子になった際に「親が右往左往してしまう」という状況だ。今回のアイデアでは、施設内にいる従業員がウエアラブルなカメラを装着し、そのカメラから「顔情報+位置情報」を送信して顔認証に連携できるシステムを構築。親が事前に子どもの顔情報を登録しておけば、我が子が迷子になった場合に「施設内のカメラだけでなく、従業員のカメラの映像からも子どもの位置を確認できる」ようになる。

 イメージとしては、見守り系サービスに近いと言えるが、従来であれば大容量の映像データを送信するには有線ネットワークが前提だった。しかし、5Gの利用によって、無線での対応も可能になる。そのため、「移動を前提としたサービスを創造できる」という点で新規性を秘めている。

 迷子の捜索サービスは「B to C」を対象としているが、「B to B」への展開も視野に入れており、不特定多数が出入りするホテルなどでは来訪する人物を特定できることから、よりプレミアムなサービスを提供するような使い方も可能だ。さらに、タクシーの車載カメラと連携した場合には、5GとSAFRの親和性から「乗車前に危険人物を検知するソリューション」や「顔パスサービス」などへの発展も想定する。

LAMP LIGHT

●ハタプロ

 AI(人工知能)×IoTや次世代ロボット開発、DTx(Digital Therapeutics、デジタル療法)サービスを提供し、グローバルでも評価もされているハタプロ。画像認識・対話AIを活用したケアロボットによる「ヘルスケアステーション」を提案した。

 利用するケアロボットは、人感センサーや通信モジュール、マイク、スピーカーなどを搭載し、医療・介護業界に特化したプロアクティブなデバイスとなるフクロウ型のAIロボット「ZUKKU(ズック)」。介護施設向けとしてすでに展開しており、例えば高齢者との会話で「喉が痛い」などの異常ワードを検知した場合は、要約した内容を家族に通知する機能を備えている。これに、同社が開発する画像診断AIやセンサー検知、対話AIと、SAFRを組み合わせたソリューションとなる。

 今回の提案では、保育園・幼稚園向けの健康管理オートメーションサービスを想定。カメラAIによる顔認識で児童を特定し、非接触による画像分析で目や口などの状態を確認するほか、対話AIで問診、センサーで体温などの計測に対応していく予定だ。保育園や幼稚園での健康チェックは必須事項となることから、ロボットによる自動チェックで異常がある場合は職員に報告することで、職員の手間を削減する。

 将来的には、このような日々の健康データが集まることによって、一人ひとりの健康観察をより丁寧に行うことが可能になる。さらに、地域ごとの健康データを分析することで「感染症の流行状況を早期に発見し、感染拡大の防止につながる」ことから、「社会的な意義もある」と考える。また今後の展開として、画像認識AI(SAFR)+対話AI(ZUKKU)による無人の次世代クリニックも検討しているそうだ。

ハタプロ

●Wright Flyer Live Entertainment

 VTuber専用ライブ視聴・配信アプリ「REALITY」などを展開するWright Flyer Live Entertainmentは、これまで培った技術を活用した学校向けプライバシー配慮ID管理システム「AVATAR CAMPUS」を解説した。私立中等教育/大学に向けた学籍番号に代わるソリューションを想定しており、「プライバシー配慮と顔画像利用に対するリテラシー教育を同時に達成する」ことを目指している。

 アイデアの新規性として着目したのは、文教方面市場において、スマホやSNSに潜むリスクが「ICT教育のブレーキになっている」という背景だ。これは「顔写真」に起因しているケースが多いことから、この問題をAVATAR CAMPUSによって解決することで、5G時代の新しいICT教育を提案していく。また、顔に対するプライバシーの考え方は学校によって多様なことから、子どもが「段階的にSNSを利用できるような仕組みを作る必要がある」と訴える。

 AVATAR CAMPUSの基本機能はシンプルで、顔画像を含む写真に対して「アバターのシール」を貼った画像を生成する機能を搭載。学内SNSへ写真を投稿した際に、個人の顔の部分をアバターの顔画像に自動置換する。これにより、生徒や保護者の顔情報のオプトアウトをしっかりコントロールできるため、LINEやSlackなどでの安全な画像共有が可能になる。

 将来的には、オープンキャンパス/学校見学の参加者を対象に、体験教室の見学予約から受験票の発行までをワンストップで対応させることも視野に入れている。同様の既存サービスでは個人情報を求められるが、AVATAR CAMPUSで顔の特徴からアバターを自動生成することで、例えば個人情報が未登録でも柔軟に対応できるという。

Wright Flyer Live Entertainment

●NTTデータSBC

 NTTデータSBCは、美容サロン向けのスマートミラーでお勧めの髪型を提案するアイデアを発表した。現在開発しているスマートミラーの試作機は、ハーフミラーの背面にカメラと液晶を搭載し、スマイルの度合いを判断して点数で表示。液晶に表示されたその点数は、鏡の前から視認できる。

 今回は、このスマートミラーとSAFRを活用したアイデアを3つ提案した。1つ目は「自分に似ているモデルの髪型をレコメンドする」というもの。新しい髪型が「本当に似合うのか」という不安に対して、似ているモデルの髪型をお勧めすることで、その不安を少しでも払拭してもらう。また、選んだ髪型のデータを保存しておく機能も想定している。

 2つ目は、化粧後の顔が「何歳ぐらいに見えているか」を測定して「若返り度をリアルタイムで判定して表示する」というもの。化粧品の試用やサロンのビフォーアフター、美容師の育成などに活用できると考える。

 3つ目は、SAFRと会員登録アプリを組み合わせた「顔認証による会員登録システム」。こちらは、美容室などが保有する会員情報の店舗間共有や、dポイントでのログインやd払いにも対応していく予定だ。

 これに加えて、「集客支援のためのシステム運用」のイメージも提案。まずはスマートミラーで会員情報を照合し、SAFRで顔情報を属性化する。そこから会員情報やモデル情報などを蓄積したクラウドデータベースを構築し、お勧めの髪型などを表示・保存。さらに、スマートミラーでの若返り度判定、d払いでの支払い、次回以降の顔パスでの入店などにつなげていくといった流れとなる。

NTTデータSBC

 8社のプレゼン終了後、6名の審査員による審査結果を発表。栄えある最優秀賞はハタプロが受賞した。受賞の挨拶で同社 代表取締役の伊澤氏は、「モノ作りは得意だが、人前で上手く発表することは正直得意ではない。それだけに、栄冠を勝ち取れたことはとても嬉しい」と笑顔を見せた。

 最後にNTTドコモ・ベンチャーズの稲川氏は、テクノロジードリブン(技術主導型)の難しさに触れ、SAFRによってもたらされる「“顔”という個人情報を扱う難しさに、皆さんが苦心したように感じた」と言及。そういったなかで「プライバシーを巧みに扱うアイデアがいくつもあったことに感心した」と、各社のピッチを総評した。

 5G の正式な商用サービス開始まで、残りはあとわずか。NTTドコモやNTTドコモ・ベンチャーズと、今回コンテストに参加した多くの企業、スタートアップが協創することで、画期的な新サービスが登場する日もそう遠くはないだろう。5Gとさまざまな技術の組み合わせによって、我々の生活はどんな形で便利になっていくのか。期待に胸を膨らませて待ち続けたい。

最優秀賞のハタプロには、賞金30万円と副賞の「東京-シアトル 往復航空券」が贈られた

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