5G商用サービスのさらなる拡大を目指し、パートナーとの連携強化を進めるNTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズ。幅広い企業が保有する特徴的なアセットの発掘を目的とした「docomo 5G DX AWARDS™ 2020」を開催し、5Gを活用した新ソリューションとの協創を加速している。

参加者が語るアワードでの手応えやNTTドコモへの期待とは?

 今回のアワードでは、最優秀賞を獲得したAMATELUS以外にも、今後の5G時代に非常にマッチする可能性の高いアセットが多く見られた。そのなかから太陽企画、Kudan、トヨコーの3社をピックアップ。各社の特徴やアワードに参加した経緯、手応えなどについて聞いた。

●太陽企画

 大西氏によれば、映像制作会社の太陽企画がフォトグラメトリをスタートさせた経緯は、もともと「R&Dの一環だった」とのこと。多くの写真や動画を撮影し、そこから3Dモデルを作っていくなかで、大西氏はそれを「文化財などの保存を目的としたデジタルツインに活用できるのではないか」と考えそうだ。実際、最近では産業遺産などの大規模施設をデジタル的にアーカイブすることに取り組んでおり、文化庁の案件としてインバウンド向けに活用されている。

太陽企画はNTTドコモとの協業に期待を寄せる

 今回のアワードへの参加についても、他の企業のように画期的なプロダクトありきではなく、「面白い技術(=フォトグラメトリ)があり、それと5Gを組み合わせれば多くの人の役立ち、ビジネスにもなるのではないか」(大西氏)と考えたことが理由にある。また、フォトグラメトリは、言葉で説明するよりも、実際の映像や画像を見てもらった方が「驚きや面白さが伝わりやすい」というのもポイントとなる。

 まずはこの技術を広めていき、そのなかで「何ができるのかをさまざまな人とディスカッションしてビジネスにつなげいく」という考えだ。一方で、マネタイズが大きな課題としてあることを痛感している。そういった状況も含めて「いまはまさに夢の入り口」と表現する大西氏。NTTドコモとともにフォトグラメトリをもっと広げていき、そこからさらに次のビジネスに広げられれば、「今後の未来をもっと楽しくできるはず」と笑みを浮かべた。

●Kudan

 今回のアワード出場にあたって、中村氏は自社技術のSLAMとNTTドコモの5Gの“相性の良さ”を大きな理由の1つに挙げる。SLAMはロボットの「自己位置推定」と「環境地図作成」を実現する技術だが、作成した地図データは当然大容量になる。そのため、データ転送の遅延を極力抑えるさまざまな技術を導入しているものの、いずれは必ず「限界が来る」と中村氏は語る。だが、5Gの高速データ通信と組み合わせることができれば、その遅延を「飛躍的に改善できる」(中村氏)というわけだ。

Kudanは大容量・低遅延が特徴の5Gと自社のディープテックとの相性の良さを力説

 さらに中村氏は、NTTドコモが幅広いビジネスパートナーと新たなビジネスの創出を目指す「docomo 5G オープンパートナープログラム」を、もう1つの参加理由として挙げた。中村氏は自社を「“ど”が付くほどのディープテックカンパニー」と評し、「SLAMのような要素技術は、幅広く知ってもらうとともに実際に利用してもらわないとなかなかビジネスには結びつかない」と分析する。そのような背景から、オープンパートナープログラムの魅力の1つである「さまざまな企業とのマッチング」に大きな期待を寄せ、今回に参加に至ったそうだ。

 コーポレートベンチャーキャピタルが主催する他のアワードでは、確実なリターンや成果が期待できる“実現可能なソリューション”に注目が集まりやすい。中村氏はその傾向にフラストレーションを感じており、「もう一度、本当の根幹技術に目を向けるべきではないのか」という信念の元にプレゼンを行なったという。その結果、Kudanは最終的に準優秀賞を獲得。純粋に技術力を評価してくれた審査員に感謝するとともに、「アワードでの新しい兆しを作ることができた」と手応えを感じている。

●トヨコー

 橋の老朽化が社会問題になっている昨今、レーザーでサビや塗膜を除去するCoolLaserは、トヨコーの主力技術の1つである。しかし茂見氏によれば、CoolLaserには「作業環境の改善」や「サビの再発防止」のメリットがある一方で、その普及にあたっては「レーザーのエンジニアや専門の作業者が不可欠」という課題があるとする。

 また、世界的に見て日本のレーザー業界は非常に遅れており、世界シェアは「10%しかない」そうだ。そのような状況では当然、レーザーに関わる専門家が「ほとんど育っていない」(茂見氏)という問題が出てくる。

トヨコーではレーザーをIoT機器と捉えている

 そこでトヨコーは、レーザーをIoT機器と捉え、レーザーを遠隔で制御・設定できるシステムを開発。さらに、このシステムと5Gを組み合わせることで、遠隔で作業ガイドを示したり、故障時のメンテナンスなどをネットワーク経由で一元的に提供したりする仕組みを考案した。これにより、専門家などがいない環境でも安全・確実に作業ができる環境を作るようになり、「普及が促進される」と茂見氏は考えている。

 今回のアワードでは、すぐにでも実現できそうなソリューションが数多く披露されていたが、茂見氏は自社の新システムがそれらよりも「さらに一歩踏み込んだソリューション」だと捉えている。そういった意味では、5Gと組み合わせて本格的に実現させるためには少し時間がかかると感じている。

 このような背景から、NTTドコモに期待するのは5Gを含めたネットワークに関するソリューションやノウハウの提供だ。トヨコーは工事現場とレーザーの技術については詳しいが、ネットワークに関するノウハウは「まだまだ弱い」(茂見氏)。だからこそ、NTTドコモには「新しいソリューションを一緒に作り上げるパートナー」として大きな期待を寄せる。

NTTドコモ・ベンチャーズの稲川氏は遠隔とオンライン化をキーワードに挙げた

 NTTドコモ・ベンチャーズの稲川氏は今回のアワードを振り返り、参加者のレベルの高さを称賛した。そしてコロナ禍の影響に着目し、それぞれのソリューションが「“遠隔”をポイントに形作られている」ことを指摘。さらにオンライン化を重要なキーワードの1つに位置付け、そのなかで「何を実現していくかが重要だ」と参加者にエールを贈った。

 稲川氏が挙げた遠隔やオンライン化に対して、5Gが大きな役割を担うことは間違いない。NTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズがこれらのキーワードをしっかりと捉え、さまざまなパートナー企業と一緒に新しい事業を作っていけば、夢のある未来が1つずつ実現されていくはずだ。今回発表された画期的なアイデアが、5Gと融合しながら現実のサービスとして提供されることを期待したい。

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