住宅の機能をキュービックな単位の箱とし、それらをある適度な距離間で分散配置し平面が出来上がっています。大きな屋根がこれらのユニットを覆うというシンプルかつ明快な構成となっています。形式的なダイヤグラムをスケールや距離感、新旧のモノの配置のあり方、素材を吟味することで居心地の良い空間が出来上がっています。
当コンテストは、木の質感や魅力を効果的に引き出す木材保護着色ステインが、住まい手や利用者に、いかにやさしい建築空間を提供するかを知ってもらいたいという、主催者の熱い思いで、災害や疫病の蔓延など、様々な厳しい社会情勢の中、第7回まで継続されてきました。この住宅は、そのような主催者の心に響いた作品です。
黒い木の外壁と生地仕上げの軒裏で、外観は伸び伸びとダイナミックに構成され印象深いです。敷地の豊かさを享受するには、内部構成にもう少しゆとりがほしい気がします。この家の要となる多目的スペースの家具(食卓?)は重要で、表現されていないのが残念です。少々窮屈にみえるのか、様々な行動を触発するような場となるのか、落ち着ける空間となるのか・・等々、はてしなく想像してしまいます。