文部科学省の「GIGAスクール」構想が始動し、全国の小中学校で1人1台の端末を前提とするICT教育の新たな環境づくりが進んでいる。デバイスと教育コンテンツを一体化した製品が次々に登場しているなか、教育委員会や学校現場からの引き合いで他を圧倒しているのが「GIGAスクールパック」だ。豊富な実績に裏付けられたノウハウを生かし、導入後の活用を促進する様々な仕組みを提供している。その概要や人気の理由などについて取材した。

実績に裏付けられたノウハウを活用

レノボ・ジャパン合同会社
教育ビジネス開発部 マネージャー
武者 超 氏
※本取材はテレビ会議システムを活用し、テレワークにて実施しました

全国の小中学校で、1人1台のデバイスを利用する新しいICT教育の整備が加速している。文部科学省の「GIGAスクール」構想に加え、新型コロナウイルスへの対策として、オンラインによる遠隔授業の需要が急速に伸びているからだ。

教育向けのパソコン市場で世界一のシェアを持つレノボ・ジャパン合同会社(以下、レノボ・ジャパン)で文教ビジネス開発部マネージャーを務める武者氏によれば、「日本の教育市場向けに、かつて経験したことがないような台数の手配を求められている」という。

ICT教育の基盤作りに活用できるパッケージ製品も、続々と登場している。そんななか、実績の面で一歩抜きん出ているのが、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTTコミュニケーションズ)の「GIGAスクールパック」だ。

NTTコミュニケーションズとレノボ・ジャパンは早くから協業し、教育市場向けのパッケージ開発に取り組んできた。総務省と文部科学省による「フューチャースクール推進事業」(平成22年度~25年度)、総務省の「先導的教育システム実証事業」(平成26年度~28年度)など、国の実証実験にも中心的なメンバーとして参加した。すでに自治体向けに数万台規模の導入実績をいくつも有している。

「GIGAスクールパック」には、そうした経験に裏付けられたノウハウが生かされている。

Windows とChrome OSの2種類

「GIGAスクールパック」の第一の特徴は、必要なデバイスとコンテンツを含む基本モデルを4万4990円という価格で購入できる点だ。「GIGAスクール」構想に伴う国の補助金の上限である4万5000円に納まる。

「GIGAスクールパック」の構成内容。必要なデバイスとコンテンツを網羅した基本モデルを4万4990円で購入できる

保守やバッテリー交換、有害コンテンツのフィルタリングなどは、応用モデルとして追加する仕組みだ。

デバイスは、基本ソフト(OS)の異なる2機種から選択する。「Lenovo IdeaPad D330」(Windows 10)と「Lenovo 300e Chromebook 2nd Gen」(Chrome OS)だ。

「Lenovo IdeaPad D330」は、キーボードを外して液晶パネル部分だけをタブレットとして使用できる着脱式。タブレット部分は約610グラムと軽量で、子供が持ち歩いても疲れにくい。

一方、「Lenovo 300e Chromebook 2nd Gen」は着脱式ではないが、アメリカ軍の調達物資に課せられるMIL規格のテストに合格した耐久性を備える。防滴、防塵、耐衝撃性に優れ、子供たちが過酷な環境で使用しても壊れにくい。

どちらのデバイスも、クラウド環境で端末を管理できる仕組みを備えている。

日々の利活用を促進するコンテンツ

コンテンツは、しっかりとしたクラウド基盤のうえに、授業支援システム、ドリルやテストなどの個別学習教材、授業を記録して共有できるサービスなどが標準で提供される。すべてがNTTコミュニケーションズのクラウド型教育プラットフォーム「まなびポケット」という1つのサービスに統合されているため、1回のログインであらゆる機能にアクセスできる。

最大の特徴は、授業支援システム「スクールタクト(school Takt)GIGAスクール版」の利用ライセンスが、3年間無償で提供される点だ。

授業支援システム「スクールタクト」。約5000種類の課題を内蔵している。
テンプレートを利用して、オリジナルの課題も容易に作成できる

「スクールタクト」とは、先生がオンラインで課題を出し、児童生徒から回答を回収するシステムのことだ。先生と児童生徒、児童生徒同士のコミュニケーションも可能で、主体的で協働的な学びを支援してくれる。実際に利用した児童生徒や先生からの人気は高く、前述した総務省の実証実験では、10種類以上の教材の中で「スクールタクト」が利用率で1位となった。

人気の理由は、課題作成を支援する機能が充実していることだ。学年や科目ごとに、約5000種類の基本課題が最初から用意されており、すぐに使い始めることができる。また、数々のテンプレートを利用すれば、オリジナルの課題も容易に作成できる。すでに所有している課題をpdf形式で読み込んだり、独自に撮影した写真や教科書のページなどを取り込むことも可能だ。

確かなサポートで利用率を向上

NTTコミュニケーションズ スマートエデュケーション推進室の稲田氏は、国や自治体による数々の実証実験に携わってきた経験から、ある重要な事実に気づいた。それは、「ツールや環境が優れていても、ユーザーをしっかりとサポートしない限り、利用率は上がらない」(稲田氏)ということだ。

NTTコミュニケーションズ株式会社
スマートエデュケーション推進室 担当課長
稲田 友 氏
※本取材はテレビ会議システムを活用し、テレワークにて実施しました

「GIGAスクールパック」では、パッケージの内容もさることながら、導入後のサポートに力を入れている。サポート体制は、主に次の3段階で提供される。

まず、オンライン上の動画マニュアルを充実させ、ユーザー登録や更新手順など、活用の準備段階にあるユーザーを支援する。文字だけで伝えるマニュアルより理解しやすく、初期ユーザーの敷居を大幅に下げることができる。

次に、利用を開始する段階で、自治体ごとにオンライン研修を実施する。コンテンツの概要や具体的な操作方法などを解説し、教職員や教育主事の方など、関係者全体への周知を図る。オンライン研修は会場や人数に制限がなく、ユーザーが参加しやすい。

最後に、継続的な活用を後押しするためのwebセミナーやオンライン・コミュニティの充実だ。全国の学校でのユニークな活用事例を紹介したり、ユーザー間でノウハウや情報を共有できる場を提供している。

「せっかく導入しても、途中で使われなくなってしまうケースをよく目にしました。それを避けるため、あらゆる手段を講じていきます」(稲田氏)。

レノボ・ジャパンも同じ考えを共有し、独自の施策を進めている。例えば、日本の教育機関向けに販売するデバイスのサポートは、すべて国内で完結できる体制を整えた。「どの学校でも、これほど多くのデバイスを運用した経験はないと思います。不具合や故障が起きたとき、国内で迅速に対応できる体制が必要です。修理は国内の弊社工場で対応します」(武者氏)。

ユーザーの反応は、おおむね良好だ。「児童生徒と先生の距離が近くなった」、「対話型の深い学びを実現できる」、「学習活動に不可欠なインフラになっている」といった声が届いている。

将来の進化にも対応

両社は当面、新しいICT教育環境の普及に注力する考えだ。しかし、時間が経過するにつれて、それは当たり前のインフラとなり、話題の中心はその活用法へとシフトしていくだろう。そして、5年、10年のうちには、学習データをビッグデータとして活用しながら、学習効果をさらに高める方向へ進化すると考えている。

「将来的にはデータを利活用することで、1人ひとりに合わせてパーソナライズされた学習コンテンツを提供するなど、さらに学習効果を高めていける道を提供していく予定です。それこそが、私たちが選ばれる本当の理由だと考えているからです」(稲田氏)。

デバイスやコンテンツの内容だけでなく、その後のサポート体制や将来的なロードマップまでを勘案すれば、多くの教育関係者にとって、「GIGAスクールパック」は有力な選択肢になるだろう。

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