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「紙」による業務をBPMで自動化 アグレックスの次世代BPOサービスを支える基盤「Pega Platform」

自動化の仕組みを採り入れるために「Pega Platform」を選定

 プロジェクトチームは当初、これを解決するためイメージワークフローを導入することを検討した。イメージワークフローなら、紙の申込書をデジタル化し、各業務プロセスで共有できるので、保管や移動の手間がなくなるからである。

 しかし、単なるイメージワークフローでは、プロジェクトチームが思い描く「次世代BPO」を実現するための基盤としては不十分だと土屋氏らは考えた。

 「目指したのは、広範囲にわたる業務の自動化です。業務プロセスの細分化によって、現行業務には紙にまつわる作業の他にも、様々な手作業があることが判明しました。それらをできる限り自動化して、生産性をもっと高めたい。そのためにはイメージワークフローやケースマネジメント機能を兼ね備えたBPM(ビジネスプロセスマネジメント)プラットフォームを導入するのが正解だと判断したのです」(土屋氏)

 そこで同社が「次世代BPO」に最もふさわしい基盤として白羽の矢を立てたのが、ペガジャパンの「Pega Platform」だ。

 佐々木氏は、数あるBPMプラットフォームの中から「Pega Platform」を選定した理由について、「唯一、業務プロセスを自動で回すために不可欠なワークフローや、ビジネスルール設定、ケースマネジメントなどの機能をすべて備えていたからです」と語る。

 「Pega Platform」は、業務プロセスの起点から終点に至るまでの一連の流れをケースで管理し、自動化できる部分と人が行う部分を明確化できるBPMプラットフォームである。業務に必要なシステム群やデータベース群を1つに束ねることで、「Aの作業が終われば、次はBの作業に」という作業の自動連携を可能にする。

宅見氏
株式会社アグレックス
ビジネスファンクションサービス事業本部
ビジネスマネジメント事業部
ビジネスプラットフォーム部
シニアエキスパート
宅見 栄作

 土屋氏は、「郵便物を取り扱うサービスの性格上、開封や仕分けといった『紙』にまつわる手作業はどうしても残ってしまいますが、それ以外の作業を可能な限り自動化するには、『Pega Platform』を採用するのがベストだと判断しました」と振り返る。

 こうしてアグレックスは「Pega Platform」を導入し、2020年4月から「次世代BPO」の仕組みを稼働させた。「当初、開発には7カ月かかると予定していましたが、実際には5カ月で稼働しました。2カ月も短縮できたのは、非常に作りやすい設計だったからです」と語るのは、プロジェクトチームでシステムの開発リーダーを担当した宅見栄作氏である。

 「Pega Platform」は、アプリケーションがノーコード・ローコードで開発できるように設計されており、アジャイルな開発に適している。

 「従来のプログラミングという形ではなく、画面を見ながら直観的に開発できます。実際に動くものを使って関係者へデモをしながら開発が進められますが、そのデモ自体も使い捨てにならず製品版として使えるので工数が無駄になりません。また、ペガジャパンのコンサルタントが本番そのもののデモを示しながら開発を支援してくれたので、出来上がりがイメージしやすく、開発のスピードアップにつながりました」と宅見氏は語る。

業務の自動化によって、従来比約30%の工数削減を達成

 プロジェクトチームは、手始めに「次世代BPO」の仕組みを3つの保険商品の業務で試験運用した。

 業務の細分化によって洗い出した68工程のうち、30工程が「Pega Platform」の導入によって自動化され、業務効率は格段に向上したという。

吉澤氏
株式会社アグレックス
ビジネスファンクションサービス事業本部
オペレーションサービス事業部
プロセシングサービス第1部
主任
吉澤 通

 プロジェクトチームで運用リーダーを務める吉澤通氏は、2020年4月の運用開始から約5カ月間の成果について、「自動化した30工程は、いずれも工数が従来に比べて25~30%削減されました。具体的には、入力した申込書のデータをシステムにインポートする作業や、申し込み内容の不備をチェックする作業などが自動処理できるようになり、スタッフたちからも『浮いた時間を、より品質向上など他の作業に回せるようになった』と好評です」と語る。

 「Pega Platform」に搭載されているイメージワークフローで、紙の申込書をデジタル化し、業務プロセス間で共有できるようになったことも、業務効率の大幅改善に結び付いている。

 アグレックスは、保険会社向けBPOサービスの拠点を複数に分散しており、A拠点が回収・仕分けした申込書の内容を、B拠点がチェックし、C拠点がデータ入力するといった連携によって業務プロセスが流れている。会社全体ではデータ運用が進んでいるものの、一部では「紙」での運用が残り、拠点間を物理的に移動させるだけでも一苦労だったが、デジタル化された状態ならその手間はなくなり、「紙」が他の拠点にあって作業ができないという非効率も解消され、ロケーションフリーが実現した。

つながる そして 高速化するBPOへ

図
「Pega Platform」を活用したデジタルBPOプラットフォームをベースに、顧客のビジネス変革を支えていくアグレックス

 「地震や台風など、何らかの問題で1つの拠点が動かなくなった場合、その作業を他の拠点がバックアップすることも可能です。BCP(事業継続計画)対策の観点でも、導入メリットは大きかったと言えるでしょう」と吉澤氏は語る。

 プロジェクト全体のリーダーである土屋氏は、今後の「次世代BPO」の展開について、「現在は3つの保険商品の業務に限定して試していますが、運用成果を検証しながら改善を加え、より多くの業務に広げていくつもりです。様々な業種のお客様に幅広くご利用いただけるプラットフォームとして拡大することを検討しています」と語る。

 また、「Pega Platform」にはAIやコールセンターと連携できる機能もあるので、今後より多くの機能を活用しながら、業務効率化やサービス品質の向上を図っていくという。

 「将来的に保険会社が業務状況をリアルタイムで把握できる仕組みを提供し、これまで以上にお客様に寄り添ったサービスを実現したいと考えています。そのためにも、使いこなせていない機能をもっと活用し、『次世代BPO』の完成度をさらに高めたいです。プロセスを徹底的に分析して組みなおすというのは、事務作業のある企業ならどこでも必要なはず。当社の提供する『ビジネス変革サービス』を活用し、そういった企業への業務変革支援もしていきたいですね」(土屋氏)

 「Pega Platform」は、アグレックスのサービス向上や成長を支える基盤として、大きな信頼を得ている。

 現在もしくは今後ビジネス変革に取り組む企業は、最適な業務プロセスをアジャイルに実現していく「Pega Platform」に注目してみてはいかがだろうか。

*2020年9月現在