ロームは、2020年6月、クルマの電動化が本格化を目前に控え、一層の高性能化を図った第4世代SiC-MOSFETを発表しました。第4世代SiC-MOSFETでは、独自のダブルトレンチ構造をさらに進化させることで、短絡耐量時間を犠牲にすることなく、オン抵抗を前世代比で40%低減することに成功しました。また、スイッチング時の課題となっていた寄生容量を大幅に削減し、スイッチング損失も前世代比で約50%削減しています。さらにロームは、第4世代SiC-MOSFETだけでなく、その潜在能力を最大限まで引き出すドライバICなど周辺チップも合わせて提供し、円滑な応用システムの価値向上に貢献していきます。
SiベースのIGBTは、既に性能向上の余地が小さくなってきています。これに対してSiCパワーデバイスの伸びしろはまだまだ大きく残されています。例えば、京都大学の木本恒暢教授のグループは、SiC-MOSFETの酸化膜を形成する際の欠陥密度を低減することで、電子移動度を2倍に向上できる研究成果を明らかにしています。こうした最新の研究成果を取り入れることによってSiCパワーデバイスはさらに進化し、xEVの一層の高効率化を実現します。ロームも、既に第5世代SiC-MOSFETの開発に着手しています。