これまで、一部の社員に働き方改革やダイバーシティの施策としてテレワーク・在宅勤務を導入し実施してきた中堅中小企業も、まさかほぼ全社員に要請することになるとは想像もしていなかったのではないだろうか。急ごしらえで用意したり、急きょ対象者を拡大しようと、慌てて導入したテレワークには、さまざまな面で問題がある。端末運用管理の煩雑化によるITガバナンス機能の低下や、セキュリティリスクの拡大は、企業の生命線に関わるものだ。また、情報システム部門の負荷増大もテレワーク基盤を揺るがす要因となる。新型コロナ禍の終息が見えない中、いかに真のテレワークを効率的かつ迅速に実現していくか。最適解のひとつといえるのが、端末運用管理のトータルアウトソーシングサービスを提供する、日立の「統合クライアントサービス」だ。

テレワーク導入を阻む2つの大きなハードル
ハードの整備とセキュリティの確保

2020年4月、東京商工会議所が発表した「新型コロナウイルス感染症への対応に関するアンケート(会員企業13,297件対象)」の調査結果によると、テレワークを実施している企業が26.0%、実施検討中が19.5%となり、実施予定なしとの回答が過半数以上を占めた。また従業員規模が小さくなるほど実施率が低いとのデータも示された。なぜ、テレワークを実施できないのか。「テレワークを検討するにあたっての課題」という設問では、社内体制の整備に続き、パソコンなどハードウェアの整備、セキュリティの確保を挙げる企業が多かった。つまり、システム担当者の手が足りていないのだ。

感染防止対策として外出自粛・在宅勤務の社会的要請が高まる中、中堅中小企業にも早急な対応が求められている。「できるところから、まず始めることが大事」と、日立製作所 働き方改革ソリューション本部 ワークスペースソリューション部 津嘉山睦月氏は強調し、こう続ける。「社内ルールを整備し、重要なデータは持ち出さないなど運用上の工夫でセキュリティを確保しながら、在宅勤務に踏み出すことが大切です。例えばそもそもインターネットに接続させられないような、セキュリティ対策が不十分であったり重要なデータが保存されているパソコンを自宅に持ち帰るのは大変危険です。自席のPCにリモートアクセスして画面を参照できるシンクライアント端末を持ち帰らせたり、導入のハードルを低くするようなSaaSのサービスなども企業が無償や低価格での支援を開始していますので、比較的手軽に利用することが可能です。また、Web会議であれば、ブラウザーさえ利用できる環境があれば、スマートフォンやタブレットでも利用できますし、BYOD(Bring Your Own Device、私物端末の業務利用) などを活用して在宅勤務に踏み出すことも一案かもしれません。例えばWeb会議であればデータを持ち出す必要もなく、手軽に行えます」

新型コロナ禍の終息は見通せず、長期化する懸念もあることから、在宅勤務インフラの整備に向けて「今」すぐできる緊急対策と合わせて、「数カ月後」を見据えた対策に取り組むことが重要だ。しっかりと準備することなく「急ごしらえ」で導入したテレワークには、もう1つの企業危機が潜んでいる。

「パンデミックにおける事業継続性を目的に、全社員が対象となることに加え、ノートPCやスマートフォンなどユーザーが複数台の端末を利用するケースも増えています。煩雑化する端末運用管理に伴い、ひとり情シスをはじめ、少人数の情報システム部門における業務負荷が増大し、ITガバナンス機能の低下が懸念されます」(津嘉山氏)

「端末管理と資産管理は違う」と働き方改革ソリューション本部 ワークスペース基盤サービス部 多田克己氏は指摘する。「資産管理番号で端末を管理するのが資産管理で、端末で何ができるかを管理するのが端末管理です。資産管理の不備は台帳上の問題で済みますが、端末管理に不備があると、セキュリティリスクが発生します。端末の紛失は、結果的に情報漏えいにならなかったとしても、企業の信用失墜につながります」

少人数の情報システム部門で在宅勤務インフラを構築し、セキュリティを確保しながら運用していくのは現実的ではない。「経営者も情報システム部門も、ユーザーを顧客と見立て、より生産性の高いクライアントデバイスの使い方やコミュニケーションの取り方を実現できるようなサービスを提供していくべきです。そうすると、デバイスはアプリケーションのライフサイクルに合わせて新しいものを提供していく必要がでてくる。そこで、端末も所有するのではなく運用も含めてサービスとして利用するという意識改革が必要です」と、ワークスペース基盤サービス部 近藤和明氏は強調する。

テレワーク導入に伴い、情報システム部門の負荷は増大。運用管理も含め端末をサービスとして利用するといった意識改革が必要に

端末運用管理のアウトソーシングにより
「ひとり情シス」でもテレワークの実現が可能に

端末運用管理のアウトソーシングでは、情報システム部門における業務の見直しが必要になると、ワークスペースソリューション部 西脇友香氏は話す。「IT戦略、自社開発、ユーザーが利用するIT環境の改善など、情報システム部門にしかできない業務はたくさんあります。一方で、端末の調達や運用管理などは情報システム部門でなくても行える、すべての企業に共通する業務です。端末の運用管理をアウトソーシングすることで、ひとり情シスでも負荷をかけることなく多種多様な端末デバイスの提供や運用を実現することができ、本来業務に集中する時間と余力を生み出します」

企業の競争力につながる業務と、アウトソーシングが可能な業務の仕分けが重要。日立製作所の「統合クライアントサービス」が端末の導入・運用業務をサポートする

企業によって業務内容もセキュリティポリシーも異なることから、在宅勤務のあり方もさまざまだ。どれだけ各企業の視点に立ったソリューションを提供できるかが、端末運用管理のアウトソーシングサービスを選択する上で重要なポイントとなる。「当社では2004年からシンクライアント導入支援を通じて、さまざまな企業の働き方改革推進に貢献してきました。お客さまの立場に立った提案力とサポート力は当社の強みです。これまで培ってきた技術とノウハウに加え、社内テレワークの実践から得た知見を生かした『統合クライアントサービス』は、新型コロナ禍に端を発した在宅勤務ニーズへの対応のみならず、終息後のV字回復における強力な推進力となります」(近藤氏)

端末の調達から導入、運用、保守、廃棄まで
トータルアウトソーシングを月額サービスで提供