注目すべきは、同社ではそれら個々のソリューションを、国や自治体におけるデジタルガバメントの実現に向けた全体構想の中にしっかりと位置づけているということだ。「セールスフォース・ドットコムが構想するのは、『市民中心につながる次世代行政プラットフォーム』の実現。それは、政府が描く『デジタルガバメント』のビジョンをしっかりと踏まえたものとなっています」と小田氏は紹介する。
政府のデジタルガバメントにかかわる構想では、市民や民間事業者の利便性向上に重点を置き、行政のあり方そのものをデジタル前提で見直していこうとしている。そこでは、時間・場所を問わず市民が必要な行政サービスを最適なかたちで受けることができ、官民を問わずデータやサービスが有機的に連携して新たなイノベーションを創発するといった社会像が目指されている。
これに関し政府では、デジタル技術を活用した行政改革の推進にかかわる3つの基本原則を掲げている。その1つめが「デジタルファースト」で、行政にかかわる個々の手続き・サービスを一貫してデジタルで完結させるというもの。「セールスフォース・ドットコムでは、市民がいつでも、どこでも様々な手段で各種申請が行え、市民と行政の双方で手続きが極限にまで排除されている状態を実現することが重要だと捉えています」と小田氏は言う。
そこで同社は、電子申請サイトの実現はもちろん、従来型のWeb経由にとどまらず、例えばLINEなど市民が普段から利用しているコミュニケーションツールを使って、スマートフォン上で簡便に必要な申請が行えるといった、マルチチャネル、マルチデジタルによる電子行政窓口サービスの仕組みなども提供。あわせて、紙を主体としたアナログな手続きの円滑なデジタル化に寄与するソリューションも用意している。