オンライン申請での失敗を目にした自治体職員の中には、業務のICT化の難しさを痛感している人もいるだろう。しかし森氏は、「業務のICT化を難しく考える必要はありません。オンライン上では、すべての住民に、役所から必要以上に手厚い行政サービスを提供する必要はないのです。むしろ、困りごとを住民の手で自己解決できる仕組みを作り込んだ方が、成功の可能性が高く、住民の満足感と信頼感が得られます」という。
職員の手をわずらわせず、問題を自己解決できる場と仕組みが用意されるのならば、それを利用した方が解決は早く、ストレスも少ないと考える住民は多いのではないか。これは、小売店であれこれ接客を受けて商品を購入するより、ネット通販で自ら商品を選んで購入する方がよほど気楽で便利に感じるのと同じだ。しかも、デジタルネイティブが増えるこれからは、こうした感覚を持つ住民が多数派になる可能性がある。もちろん全ての住民に同様の対処を期待することはできないが、自己解決できる人に率先して動いてもらえば、自治体業務は飛躍的に効率化されることだろう。
住民の自己解決を促す際に重要なことは、問題解決に際して必要な情報を適切なタイミングで、確実に提供すること。専門性の高い知識が必要な確認や判断を自動化すること。また、住民と自治体の連携を円滑にし、正しく処理が進んでいる様子を可視化することである。
こうした要件を満たす、住民と行政をつなぐワークフローの可視化・自動化クラウドプラットフォームが、ServiceNowである(図1)。ServiceNow内部に貯めたナレッジの中から必要なものを「検索」する機能、「申込」に応じて仕事を自動的に割り振る機能、業務担当者のタイムリーな判断や決済を依頼するための「通知」を行う機能、未決の判断や決済の実行を促す「催促」の機能を備えている。