BIM、VR時代に失敗しないマシンの条件とは(エプソンダイレクト)

拡張性の高いパソコンで生産性向上を!

建築設計には今、BIMやVRなどの3D技術が急速に導入され、
生産性向上や働き方改革も喫緊の課題だ。
これからの時代、パソコンに求められる条件は何か。
建築家の山代悟氏と建設ITジャーナリストの家入龍太氏が、
エプソンダイレクトの「Endeavor Pro9000」を前に語り合った。

家入 山代さんは建築家であるとともに、芝浦工業大学建築学部の教授も務めておられますね。そして工学博士号も持っていらっしゃいます。いったい、どんな建築家人生を歩んでこられたのでしょうか。

山代 東京大学の建築学科で、大野秀敏先生に指導を受けて大学院まで出た後、槇文彦先生の事務所で7年修行しました。その後、2002年に東大に戻り、安藤忠雄先生の助手や難波和彦先生の助教を務めました。

家入 あの安藤忠雄さんの助手を務められたとは。安藤さんは、どんなふうに学生を教えていたのですか。

山代 安藤先生はインターンの学生をよく、事務所に受け入れていました。4週間の受け入れ期間のうち、8回ある土日は、ひとつのお寺を何度も見に行け、8回も行っているうちに、見えてくるものがある。8回も訪ねていくと、和尚さんもその熱意に負けて一般の人には非公開の部分まで見せてくれるようになるから、と。

家入 なるほど、建物を何度も見ているうちに細部まで理解できるようになるというわけですね。難波先生とは、どんな研究をされましたか。

山代 街並みを丸ごと3Dモデル化して、コンピューターで風の流れ方を求める流体解析なども取り組まれていました。槇先生の事務所に就職したのが1995年、あのWindows95が登場した年です。当時の設計ツールは手描き図面や2次元CADが混在した面白い時代でした。

家入 その後、2002年に独立され西澤高男さんとともに「ビルディングランドスケープ」という設計事務所を立ち上げました。どんな事務所ですか。

山代 スタッフ数は6人なのに拠点が東京のほか山形や大阪、広島など6カ所もあります(笑)。全員が集まることが難しいので、事務所内の会議は、ビデオ会議で行っています。また、社内ではインターネットメールは使わず、SlackやTalknoteなどのコラボレーションツールを使っています。画面上で社員全員が集合できますし、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の画面を共有しながら、ディスカッションすることもできます。出張先からでも会議に参加できますよ。

ビルディングランドスケープ共同主宰 建築家 博士(工学) 芝浦工大 建築学部 教授 山代 悟 氏

家入 山代さんは建築分野の中でも、特に木造建物の設計法の開発に取り組んでおられるそうですね。

山代 はい、木造の建物というと、大工さんが経験にもとづいて設計・施工を行ってきた木造住宅を思い浮かべるかもしれませんが、私が取り組んでいるのは、十数階建てのオフィスビルや集合住宅のような大規模な建物です。これだけの規模になると鉄骨造のビルと同様に、コンピューターを使った構造計算によって設計する必要があります。中大規模木造の推進委員会のメンバーとして、標準設計法の開発や施工技術の整理を行っています。

家入 そんなに大きな建物を木造で建設した例は見たことがありませんが、現場はどんな状態になるのでしょうか。

山代 部材も60㎝角とか大きくなりますので、大工さんが現場で切ったり彫ったりするわけにはいきません。柱と梁の接続部などの「仕口」は、あらかじめBIMソフトで3次元形状や納まりの細部までしっかり設計しておき、そのデータをもとに部材を工場で加工します。また、部材の組み立て順序も事前にシミュレーションしておきます。

家入 部材のスケール感が、木造住宅のイメージとは全く違いますね。

山代 ええ、現場で各部材を組み立て順通りにクレーンが吊り上げられるように、部材を仮置きするときも組み立て順序通りにしておきます。そして部材にはQRコードを張って、BIMモデルと対応させながら現場への搬送も管理します。

家入 木造建築の技術に、ITが組み合わさって、BIM時代の新しい施工法が生まれてきたわけですね。

山代 このほか、古い木造建物のリニューアルも手がけています。昭和初期などに建てられた木造の酒蔵や屋敷、倉庫、住宅などをリニューアルするためには現況図面が必要になりますが、図面が残っているものはほとんどありません。そこでメジャーでの実測や360度カメラによる記録写真から、図面を作ることから始まります。

家入 リニューアルの分野では最近、建物の内部の3D形状を計測する3Dレーザースキャナーや、写真測量の原理で3Dモデル化するフォトグラメトリー技術が急速に普及しつつありますね。

山代 昨年、宮崎県都城市で解体された旧・都城市民会館が解体直前にクラウドファンディングによって資金を集め、ドローンや3Dスキャナー、写真によって現況を3Dモデル化したニュースが話題になりました。実物の建物をリニューアル保存するのも重要ですが、これからは在りし日の姿を“バーチャル保存”することも、建物保存の選択肢の1つになるでしょう。

建設ITジャーナリスト 関西大学 総合情報学部 非常勤講師 家入 龍太 氏
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