Enterprise IT Infrastructure 2020 〜DX時代に向けたレガシーインフラの刷新と共存〜 Review

デジタル技術を活用し、新たなサービスやビジネスモデルを創出する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が進展している。これに伴い企業活用を支えるITインフラにも様々な変化が起こりつつある。クラウド型のコミュニケーションツールやAI/IoTの活用によって、ネットワークトラフィックが爆発的に増加しているのはその一例だ。また、経済産業省のDXレポートにもあるように、レガシーインフラからの脱却も急務となっている。DXを継続的に展開していくためには、基幹システムにとどまらず、ネットワークまで含めたモダナイゼーションを図っていく必要があるだろう。こうした次世代に向けたインフラの在り方を探るため、日経BP総研とソフトバンクが開催したのが「Enterprise IT Infrastructure 2020~DX時代に向けたレガシーインフラの刷新と共存~」だ。本セミナーでは先進企業の事例を紹介しつつ、DXを進展させ、レガシーインフラから脱却する解決策が提示された。

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「働き方改革」を支える音声インフラの考え方とは

モバイルワークの基盤となる音声システムの条件とは

ソフトバンク株式会社 法人プロダクト&事業戦略本部 モバイルES統括部 モバイルプロダクト2部 課長 横田 健太郎氏
ソフトバンク株式会社
法人プロダクト&事業戦略本部
モバイルES統括部
モバイルプロダクト2部 課長
横田 健太郎

働き方改革が注目される中、その解決策として、スマートフォンやタブレットを使って時間や場所に関係なく業務を行える「モバイルワーク」を導入する企業が増えている。

モバイルワークは移動中のスキマ時間を有効に使え、顧客からの問い合わせや資料のやりとり、社内会議などを、いつでもどこからでも行うことができる。このため業務効率や生産性の向上、柔軟に働ける職場環境の実現にも役立つ。

「そのモバイルワークを実践するために欠かせないのが音声システムです」と、ソフトバンクの横田 健太郎氏は指摘する。多くの業務はメールやデータのやりとりだけでは終わらない。顧客からの問い合わせに電話で応えたり、内線を通して緊急の情報共有を行ったりするケースが少なくないからだ。その音声システムは近年、オンプレミスPBXからモバイル化(FMC)、フルクラウド化(FMC+クラウドPBX)への移行が進んでいる。

FMCとはFixed Mobile Convergenceの略で、スマートフォンや携帯電話を子機代わりに利用したり、外出中に会社の電話を内線として受信できるサービスを指す。クラウドPBXはPBXの機能をインターネット上のサーバーに持たせたもので、ハードウエアの購入や配線工事の必要もない。拠点が分散していても柔軟にサービスを利用できるのが特長だ。

「ただし、やみくもにモバイル化・クラウド化を進めてもうまくいきません。次世代の音声システムは、「PBX老朽化」、日本企業に根付いた「島文化」、「音声品質」といった3つのポイントを考慮して選択することが重要です」と横田氏は述べる。

例えば、PBXの耐用年数は約10年だが、PBXを設置した複数の拠点で一斉に保守切れのタイミングがくるわけではない。各ベンダーが開発した使いやすいPBXの機能を、しばらくそのまま使い続けたいというニーズもあるだろう。こうした場合はオンプレミスPBXとクラウドPBXとの共存が必要になる。

また1台の電話機に複数の電話番号を着信させるマルチライン、電話番による取り次ぎなど、日本企業に根付いた固定電話ならではの島文化もある。取引先との外線通話や経営層向けの電話には高い音声品質も必要で、音がこもったりブツブツ切れたりすることのあるVoIP(Voice over Internet Protocol)のレベルでは導入が難しいと考える企業もあるはずだ。


クラウドPBXとFMCを統合した「ConnecTalk」

この3つのポイントを満たすためにソフトバンクがソリューション化したのが「ConnecTalk」だ(図)。

「ConnecTalkは、FMCとクラウドPBXをワンストップで提供するサービスです。スマートフォンや4G携帯、固定電話を統合し、外出先から内線通話をしたり、電話の取り次ぎを受けたりするなど、多様化するワークスタイルに対応した柔軟なビジネスコミュニケーションを可能にします」と横田氏は言う。

「働き方改革の基盤となるConnecTalk」 「働き方改革の基盤となるConnecTalk」

「働き方改革の基盤となるConnecTalk」

オンプレミスPBXを活用したFMC環境、SaaS型で提供するクラウドPBX環境をワンサービスで提供する「ConnecTalk」。場所にとらわれない円滑な音声コミュニケーションを実現する

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PBXの有無や拠点ごとにPBXの設置状況が異なる場合でも、ConnecTalkなら全拠点でシームレスに内線通話を利用することが可能だ。部署代表番号での発着、マルチラインやピックアップ、スケジュール転送やガイダンス応答による営業時間外の対応など、島文化を継承できる多彩なPBX機能も提供されている。

さらに、モバイルの音声通話は一般的なVoIPよりパケット優先度の高いVoLTE(Voice over LTE)を採用。キャリア品質の4G LTEを活用したVoLTEはインターネットの混雑の影響を受けないため、音声のクオリティは非常に高い。

「標準搭載のダイアラーだけでは難しい転送やピックアップ等の操作も独自開発のアプリケーションで補うことで、音声品質と操作性を両立させている点が大きな特長です。内線・外線、転送設定、着信規制、固定電話設定などは、Web管理画面からお客様自身で簡単に設定できるので、管理面での手間やコストも軽減できます。お客様が必要とされる固定電話機やスマートフォン、ネットワークもソフトバンクがワンストップで提供するため、安心して導入できます」と横田氏は話した。


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島忠がスマホとConnecTalkを導入 店舗の人手不足や手書きミスを解消

スマートフォンへの業務機能集中を決断

株式会社島忠 情報システム改革部 チーフ 泉 雅人氏
株式会社島忠
情報システム改革部
チーフ
泉 雅人

首都圏を中心に家具インテリアとホームセンターの複合店を59店舗運営する島忠。同社では、TSUTAYAとコラボした新業態を出店するなど、創業62年を迎えた今なお、新しい挑戦を続けている。

ただし、ほかの店舗型小売業と同様に、同社でも課題があった。人手不足により働き手が不足しており、生産性と効率性の向上に向けたIT活用が不可欠だったのだ。そこで2019年4月から社員にスマートフォンを配布し、様々な業務を集約することにしたという。

「店舗人数の不足、手書き帳票記入ミスによるコスト増、内線用PHSやインカムの老朽化といった店舗運営での課題を解消するためにスマートフォンの導入を決断しました」と島忠の泉 雅人氏は説明する。

従来は顧客が家具を購入すると、まず売場でスタッフが商品JANコードを手書きでメモし、顧客をレジに誘導した上で改めて商品の色や個数を伝票に転記、さらにシステム入力するといったアナログな運用が行われていた。複数購入の際は、スタッフがレジで何枚もの伝票を書かなければならなかったため、顧客を長時間待たせてしまうケースも少なくなかったという。また内線PHSの老朽化は、音声品質の低下と、保守切れで修理もままならない状況を生み、スタッフ間のコミュニケーションにも支障をきたしていた。

「そこで独自開発の業務支援アプリ『KANAME』を使い、PHS、インカム、ハンディ端末、伝票作成の機能をスマートフォン1台に集中し、老朽化したPBXをソフトバンク『ConnecTalk』に置き換えることで、スマートフォンと内線化サービスによる店舗間フルメッシュのコミュニケーション環境を構築しようと考えました」(泉氏)

機能集中の一例が、スマートフォンとバーコードリーダーアプリの連携だ。これまで手書きで行っていた伝票作成は、JANコードをスマートフォンのカメラで撮影して自動入力し、伝票をプリンタ出力することでデジタル化。転記ミスもなくなり、顧客を待たせない大幅な業務効率化と生産性向上につながっている。


ConnecTalkで店舗間フルメッシュの内線化を実現

クラウドPBXとFMCを統合したConnecTalkの導入も、大きな効果を生み出した。老朽化したPHSに代わり、スマートフォン同士での内線通話、固定電話との内線通話が可能となり、フロアや店舗間をまたいだスムーズなコミュニケーションを実現できるようになったからだ。

店舗間の内線連携を実現したConnecTalk 店舗間の内線連携を実現したConnecTalk

店舗間の内線連携を実現したConnecTalk

スマートフォンとConnecTalkで店舗間の内線化を実現。PBXの運用負担が解消されたほか、ソフトバンクの各種サービスとの連携で継続的なコスト最適化が期待されている

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「店舗在庫がない場合も近隣店舗の担当者に直接内線で問い合わせ、スピーディーに商品を取り寄せられるようになりました。古いPHSでは、なかなか店をまたいだ連携ができなかっただけに大きな進化です」と泉氏は評価する。

PBXのクラウド化により、業務継続性や機能も向上。PBXの故障リスクや管理負担が激減したことに加え、「今まで業務時間外は、電話が長い間鳴りっぱなしになるケースもありましたが、何時から時間外のアナウンスを流すかなどをWeb管理コンソールから店舗ごとに簡単に設定できるようになりました」(泉氏)。

ConnecTalkを導入した効果はこれだけではない。「ISDN終了に伴うPBX対応が不要になった点が最大のメリット」だと言う。電話・FAX用のISDNは2024年にサービス終了が予定されている。通常なら古いPBXを解析して対応策を考える必要があるが、PBXそのものをクラウド化することで、将来的な不安や負担がすべて解消されたからだ。

さらにConnecTalkは格安固定電話サービス「おとくライン」や、IP電話サービス「おとく光電話」とも連携できる。今後は既存固定回線の見直しによるコストの最適化、固定電話機台数の最適化にもつなげていく予定だ。

3つのフェーズに分けられた導入プロジェクトは、現在第1フェーズが完了し、第2フェーズへと移行している。「今後は店舗だけでなく、バイヤーや管理部門、本部も含めた全社のスマートフォン内線化と、人事データベースと連動したクラウド電話帳アプリの導入も検討しています。販売員がバックヤード業務に追われることなく、お客様によりよいサービスを提供できるよう、店舗のデジタル化で業務のさらなる効率化を目指していきます」と泉氏は抱負を述べた。


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ソフトバンクとマイクロソフトが再定義する「コミュニケーション4.0」の世界とは

Microsoft Teams向けの音声通話サービスを提供

ソフトバンク株式会社 法人プロダクト&事業戦略本部 ネットワークサービス統括部 クラウドボイスサービス部 部長 石井 基章氏
ソフトバンク株式会社
法人プロダクト&事業戦略本部
ネットワークサービス統括部
クラウドボイスサービス部
部長
石井 基章

働き方改革によってワークスタイルの変革が進む中、音声サービスやコミュニケーション手段にも進化の波が押し寄せている。固定電話(1.0)、携帯電話/SMS(2.0)、SNS/チャット(3.0)という時代を経て、「現在はコミュニケーション4.0、すなわちすべてのモノがつながるユニファイドコミュニケーション時代が到来しています。そのポイントは協同性、生産性、創造性の3つです」とソフトバンクの石井 基章氏は説明する。

協同性とは多様性や言語の壁を乗り越えた社員コミュニケーション力、生産性は人間の思考や判断をAIが代替する“言葉のデジタル化”、創造性はface to faceの直観を遠隔でも可能とする人間のチームワーク力を指す。

「クラウド、5G、AIなどを活用したコミュニケーション4.0の実現で、人手不足や効率性、場所に依存した働き方などの課題を解決することができます。そのコンセプトを具現化した新しいコミュニケーションプラットフォームの1つが『UniTalk』です」と石井氏は言う。

ソフトバンクとマイクロソフト社が共同開発したUniTalkは、Office 365で提供される統合コミュニケーションツール「Microsoft Teams」の利用者が、オフィスや外出先からPC、タブレット、スマートフォンなどを利用して、固定電話番号(0AB〜J番号)での発着信を定額化できるクラウド型の音声通話サービスだ。

在宅勤務やリモートワーク、社内のフリーアドレスでも、固定電話番号のほか「03」「092」などで始まる地域性を特定した市外局番も利用できる。このため、相手先の端末に表示される番号のステータスが重視される顧客対応業務にも対応できるのが特長だ。

「UniTalkは、チャットやビデオ会議、音声会議、ファイル共有などの機能を備えたMicrosoft Teamsに、高品質な音声通話機能を統合できるため、ビジネスに必要なあらゆるコミュニケーションを活用した多様なワークスタイルに対応します」(石井氏)


音声・機能面で企業ユーザーからも高い評価

UniTalkは、国内通話が定額800円でかけ放題とコストメリットが高い。番号ポータビリティにも対応しており、新規番号の取得だけでなく既存の番号からも乗り換えられる。

既に国内大手企業を中心に十数社が導入しており、「音声がクリアであることに加え、Microsoft Teamsとの親和性が高いといった評価を得ています」と石井氏は述べる。

例えば、全国に多店舗展開するA社は、50店舗のPBXの更改を迎え、高額な入れ替えコストや、複雑な回線・機器の運用継続に悩んでいた。そこでUniTalkを提案したところ、各店舗でPBXを運用する負担がなくなり、トータルコストも低減できることから導入を決断。電話回線工事も不要のため、切り替えロスのない早期導入を実現したという。

またホテル業を展開するB社は、新たな電話システムを模索する中で、ロケーションを重視するホテルとしてIP電話の「050」は顧客受けが良くないとの判断から、固定電話番号を使え、宿泊者に迷惑となる電話工事を行う必要のないUniTalkを採用。予約確認の通話料を定額化できたことに加え、フロント周りの電話機もスマートフォンに変更し、洗練された空間演出にも寄与しているという。

「ビジネスで高く評価されているポイントは、現在オフィスで利用している番号を、スマートフォンやタブレット、PC、固定電話と、あらゆる端末から発着信できることです。Microsoft Teamsのクラウド基盤とソフトバンクの電話網を直接接続しているため音質も良く、お客様からのクレームは一切ありません」と石井氏は胸を張る。

モバイルワーカーにとって嬉しいのはボイスメール(留守電)の機能だ。UniTalkにかかってきた留守電は自動的にAIでテキスト化され、移動中でも内容を文字で確認できる。これはまさに“言葉のデジタル化”のメリットとなる。

またUniTalkは管理者負担も大幅に軽減することも重要なポイントだ。固定回線やオンプレミスPBXの運用では避けられない回線管理、障害対応、機器リプレースといった負担がほぼゼロになるからだ。

「Microsoft Teamsに音声サービスを付加できるUniTalk」 「Microsoft Teamsに音声サービスを付加できるUniTalk」

「Microsoft Teamsに音声サービスを付加できるUniTalk」

数々のメリットを備えるUniTalk。オフィスへの固定電話機の設置、電話回線・ゲートウェイ設備なども不要なため、導入時の工事や運用管理の負担が軽減される点も特長だ

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「企業内コミュニケーションの進化に向け、UniTalkは小規模拠点からトライアルし、中・大規模拠点へと段階的に導入していくのが正攻法。お客様の働き方改革やデジタルトランスフォーメーションを支援していきます」と石井氏は話す。今後もソフトバンクはコミュニケーション4.0の世界を広げるための施策やサポートを積極的に展開していく考えだ。


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デジタル時代の働き方を支える企業内音声コミュニケーションの最新事情

「どの業界でも共通に使われている音声通信。最近ではメールやチャットの利用も広がっていますが、重要な要件は電話を使いたいというニーズも高く、通話1件の重要性はむしろ高くなっています」と、日経BP 総合研究所の菊池 隆裕は語る。また映像や資料との組み合わせなど、使い方も多様化しているという。

これから2020年とその先の近未来において、企業内の音声コミュニケーションは、さらに激しく進化を遂げていくという。その理由は大きく2つある。

第1は「背景の変化」だ。働き方改革の推進に伴い、最近では「どこでも働ける」環境が整いつつある。少子高齢化が進むことで「自宅で仕事をせざるを得ない人」は、今後さらに増えていくだろう。テレワーク自体は「日経情報ストラテジー」で1998年に特集が組まれており、古くから注目され続けているテーマ。世界的なスポーツイベントが開催される2020年の夏には多くの人が実践し、音声コミュニケーションに変化をもたらすはずだ。

また多くの企業が進めている「デジタルトランスフォーメーション」や「プロジェクト単位での事業推進」、「慢性的な人手不足」なども、進化の要因になるという。その先には2025年問題も控えている。それは通信キャリアによる「固定電話マイグレーション」。これを機に、固定電話がIP網に収容され、ISDNサービス「INSネット(ディジタル通信モード)」など一部のサービスが使えなくなる。

第2は「技術トレンド」だ。ここでのキーワードは「モバイル」と「クラウド」。スマートフォンによるクラウド型音声サービスの利用へとシフトが進んでいくという。これによって初期導入費用が軽減され、変更設定も短時間で済むようになる。また場所によらない内線構築が容易になり、ほかのクラウドサービスとの連携も可能になる。

「音声コミュニケーションもモバイル&クラウドファーストが当たり前になっていくでしょう。変革は身近なところから始まっていくはずです」と菊池は予見した。

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