教育とICT OnlineSpecial

倉敷市教育委員会 ソニー4K大型提示装置の教育効果を実証 小規模校同士が遠隔交流を実施 使いやすさと鮮明な画質で授業への集中を高める

コロナ禍による臨時休校措置などの影響を受け、学校と家庭をつなぐ遠隔授業への関心が急速に高まっている。そうしたなか、倉敷市教育委員会は2020年度から、倉敷市立南浦小学校を中心にして小規模校同士をつないだ遠隔授業の実証を開始した。その授業を支えるキーツールとして注目されているのが、ソニー4K大型提示装置だ。実際にどう活用され、どのような教育効果をもたらしているのか。南浦小学校の授業をレポートする。

授業の目的は、多様な考えを理解し
自分の意見を正しく伝えること

手作りのボードを使って出題。マスクを着けたり、絵を描いたりと、工夫を凝らす児童も 手作りのボードを使って出題。マスクを着けたり、絵を描いたりと、工夫を凝らす児童も

 「皆さん、おはようございます。南浦小学校5年の○○です。今日はよろしくお願いします」

 教室の前方に置かれた大型提示装置の前に児童一人ひとりが進み、画面を見ながら大きな声で自己紹介する。画面上には、それに応えて拍手する沙美小学校の児童たちの笑顔が映し出されている──。

 岡山県倉敷市玉島地区に立地する市立南浦小学校は1873年創立。多い時は300名程度の児童が在籍したという伝統ある小学校だが、現在は13名が学ぶ小規模校だ。一方、南浦小の東に位置する沙美地区には、同じく1873年に創立された市立沙美小学校があるが、こちらも現在の児童数が26名という小規模校である。

 2学期に入って間もない9月11日、そんな小規模校同士をつなぐ遠隔授業が実施された。参加したのは、南浦小学校5・6年生の7人と、沙美小学校5・6年生の7人。南浦小学校の教室には、PCを接続した55V型のソニー4K大型提示装置が設置され、その画面下にWebカメラ・マイク・スピーカーを一体化したロジクールのMeetUpを装着。Office365で提供されるコミュニケーション促進ツール、Microsoft Teamsを使って沙美小学校の教室とつないだ。

 今回の遠隔授業は「クイズ形式」で進められた。岡山藩初代藩主・池田光政によって開設された日本最古の庶民のための学校、「閑谷学校」に関するクイズをそれぞれの学校が作成し、お互いに回答したり、正解を解説し合ったりする。そうした活動を通して、相手の意見を正しく理解し、自分の考えをわかりやすく伝える力を養おうというのが狙いだ。

倉敷市立南浦小学校 校長 萱嶋 淑美 氏 倉敷市立南浦小学校 校長
萱嶋 淑美

 手作りのボードを使って出題する沙美小の友だちの様子を、大型提示装置を通してじっと見つめる南浦小の児童たち。ソニー4Kならではの鮮明な画質のおかげで、相手の表情やボードの文字、絵もよくわかり、授業はスムーズに進行していく。質問に正解すれば、拍手と歓声が起こり、友だちの説明には真剣に耳を傾ける。なかには「孔子」のマスクを着け、「論語を書いたのは、〝孔子〟でしょうか、〝子牛〟でしょうか」と画面の向こうに問い掛ける児童もいるなど、それぞれが工夫を凝らして授業に参加している。クイズというゲーム的な要素が取り入れられていることもあってか、どの児童の表情も生き生きとしており、大型提示装置を中心にして授業への集中度が高まっていく様子が感じられた。

小規模校の課題を克服するために
他校との遠隔交流を目指す

 「小規模校には、小規模校ならではのストロングポイントがある一方で、ウイークポイントもあります。家族的な雰囲気のため、多くを語らなくても意思が通じてしまう半面、多様な意見が出にくい、多くの人の前で自分の考えを伝える機会が少ないという傾向があります」

 こう語るのは、2019年に南浦小学校の校長に就任した萱嶋淑美氏だ。着任するとすぐに萱嶋氏は、そうした小規模校特有のウイークポイントの克服を大きな課題として掲げた。そして、それを解決する手段として、遠隔で他校と交流することを検討し始めたという。

画面の向こうから問い掛ける質問に、すかさず挙手。大型提示装置を中心に、授業はスムーズに進んでいく 画面の向こうから問い掛ける質問に、すかさず挙手。大型提示装置を中心に、授業はスムーズに進んでいく

 「実は、私は以前から外国語教育に関心があり、授業の一環として、2005年にニュージーランドの姉妹校と倉敷の小学校をつなぎ、子ども同士で会話をするという遠隔授業を試みたことがあります。当時は、コンピュータ室を利用し、ビデオカメラを設置するなど、大がかりな設備が必要でした。しかも音質や画質が悪く、操作にも手間がかかり、遠隔授業を日常的に行うのは難しい状況でした。でも、今は技術が飛躍的な進歩を遂げています。当時の経験と今のICT技術を活かせば、他校との遠隔授業を日常的に行うことができると考えたのです」

 そこで、倉敷市教育委員会・倉敷情報学習センター館長の尾島正敏氏に相談したところ、ソニー4K大型提示装置を核とした遠隔授業システムの利用を提案された。倉敷市教育委員会では、2009年度スクール・ニューディール事業で導入したデジタルテレビの老朽化を受け、2018年度にソニー4K大型提示装置を教室に持ち込んで、その見え方や機能などを比較・検証したという経緯がある。その実績が評価されたのだ。