激動をチャンスに変える2021年
IoT&5G、パワー&エネルギーマネージメント、
スマートモビリティー
メガトレンドを視野に
長期的な戦略で
市場をリードする
STマイクロエレクトロニクス
本社セールス・マーケティング・
コミュニケーション・戦略 社長
日本法人代表取締役社長
マルコ・カッシス氏

IoT&5G、パワー&エネルギーマネージメント、
スマートモビリティー
STマイクロエレクトロニクス
本社セールス・マーケティング・
コミュニケーション・戦略 社長
日本法人代表取締役社長
マルコ・カッシス氏
スイスのジュネーブに本社を置き、高性能な半導体デバイスをグローバルに展開するSTマイクロエレクトロニクス。同社は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に対し適切な対応をしながら、3つのメガトレンドに応える長期的な戦略を描く。全社のセールス・マーケティング・コミュニケーション・戦略を統括するマルコ・カッシス氏に詳細を聞いた。
—まず、2020年のビジネスを振り返っていかがでしたでしょうか。
カッシス 当初、2020年は2019年からのさらなる成長を目指す年として位置付けていましたが、COVID-19の影響は当社のビジネスにも及び、第2四半期は前年同期比でわずかにマイナスとなりました。
しかし第3四半期は、32ビットマイコン「STM32ファミリ」やMEMSセンサーなどを中心に中国での需要が力強く回復し、少し遅れて欧米市場も回復したことで、売上高は前期比で
+27.8%、前年同期比で+4.4%の26.7億ドルと、プラスに転じる結果となりました。市場トレンドに沿った強いソリューションを持っていることで、短期でリカバリーすることができたと考えています。
10月末に発表されたガイダンスでは、第4四半期を合わせた2020年度通年での売上高は、2019年度に比べて4.3%増の99.7億ドル前後となる見込みであり、営業利益率も2桁を維持できると予測しています。
事業戦略に関しては、従来通り、インダストリアルとオートモーティブの2つを柱に、パーソナル・エレクトロニクス、および、通信・コンピューターの各分野に重点的に取り組んでいます。
—重点分野として挙がったインダストリアルに関して具体的な取り組みを教えてください。
カッシス インダストリアル分野はお客様のニーズが多岐にわたります。その中でアプリケーションを問わず採用が広がっているのが、業界をリードする汎用の組み込みマイコン/マイクロプロセッサー「STM32ファミリ」です。
多様なニーズに応えられるようにこれまで数多くの品種を展開してきましたが、最近はIoTなどの応用拡大に伴う通信分野のニーズに応える拡充に力を入れています。その一環として、超広帯域(UWB)無線通信技術を持つBeSpoon社やセルラーIoTソリューションを得意とするRiot Micro社を新たに買収しました。今後の品種展開に反映していく予定です。
パワー半導体に関しては、IGBT、SiCやGaNのポートフォリオ拡充を進めています。このうちIGBTは、業界トップクラスとなる300mmウエハーの量産設備をイタリア・ミラノ近郊のアグラテ工場に建設中です。供給能力を高めてお客様の需要に応えていきます。
また、高出力のパワーモジュールの共同開発でサンケン電気と戦略的パートナーシップを結び、当社のIGBT素子を用いたモジュールの開発を進めています。
次世代パワー半導体として注目される低損失のGaNにも積極的な投資を行っており、100Vおよび650Vの製品を開発中です。台湾のTSMC社
と製造パートナーシップを結んだほか、GaNの結晶成長技術を有するExagan社を買収済みです。GaNは本格的な普及までにはもう少し時間がかかると見ていますが、電源の超小型化の実現など市場の期待は高く、当社としても注力していきます。
—続いて、オートモーティブでの取り組みはいかがでしょう。
カッシス オートモーティブ市場では電動化とデジタル化が大きなトレンドとなっています。このうち電動化に関してはSiCパワーデバイスの需要が増加していて、供給量を確保するために、SiCウエハーを製造しているスウェーデンのNorstel社を2019年に傘下に収めたほか、ロームグループの独SiCrystal社とSiCウエハーの長期供給について合意しました。
現在、SiCパワーデバイスはオートモーティブとインダストリアルを合わせて60社以上のお客様に採用いただいており、2025年までに売上高10億ドルを目指します。
またデジタル化では、従来の単機能のECU(電子制御ユニット)から、複数の機能を統合したドメインコントローラーへとアーキテクチャーが大きく変化していることを受けて、ボッシュ社と次世代向けの車載マイクロコントローラー「Stellar」を共同で開発しました。安全かつセキュアな仮想化で複数のソフトウエアを実行できるほか、ワイヤレスを通じたソフトウエアアップデート(OTA)にも対応しています。
—パーソナル・エレクトロニクスと通信・コンピューター分野についても簡単に説明してください。
カッシス これらのセグメントに対しては、量産型のアプリケーションに絞り、競合力の高い最適な製品を提供することで、リーダーシップを取っていくことを基本的な方針にしています。具体的には、パーソナル・エレクトロニクスでは、マイコンやイメージセンサー、ワイヤレス充電などのソリューション、通信・コンピューター分野では通信インフラ向けやHDD向けなどのソリューションを引き続き展開していきます。
—2021年はどのような展望を描いていますか。
カッシス 経済を停滞させるのではと懸念されていたCOVID-19ですが、在宅勤務の普及などによりデジタル化が加速され、ブロードバンド通信の必要性がますます高まってきました。
IoT&5G、パワー&エネルギーマネージメント、およびスマートモビリティー、という3つのメガトレンドが進行中であり、当社としても先ほど挙げた重点分野と併せて引き続き投資を行い、市場のリーダーシップを獲得しながらお客様に価値を提案していきます。
なお、トレンドをリードするソリューションをお客様にいち早く提供できるよう、このような状況にあっても研究開発のスピードはいっさい減速させていないことは強調しておきたいと思います。
現在はお客様と対面でお話しすることが難しくなっています。しかし、リモートを含む様々な手段をフルに活用して、一貫した戦略のもとで、業界をリードするソリューションの提案や技術サポートの提供に努めていきます。
イタリア・アグラテ工場に建設中のIGBT 300mmウエハー対応の新設備
お問い合わせ
STマイクロエレクトロニクス株式会社
TEL:東京:03-5783-8200 大阪:06-6397-4130 名古屋:052-259-2725
URL:https://www.st.com
アナログ・デバイセズ
代表取締役社長 工学博士
中村 勝史氏
Digi-Key Electronics
デジタルビジネス担当
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和島 正幸氏
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