日経クロステック Special

日経クロステック Special Webセミナー Technology Foresight 2020 ポスト・コロナを見据えた製造業の進路を描く 製造業DX、情報基盤と共にデータガバナンスの実践が必須

製造業DX、情報基盤と共に
データガバナンスの
実践が必須

データの増大・複雑化によって重要性が高まるデータガバナンス

三好 データマネジメントを実践する際には、データガバナンスへの留意が欠かせないとのことですが、ここでいうデータガバナンスとはどのようなものなのでしょうか。

吉田 データガバナンスとは、データを作成し、消費、管理、分析する際に、その行動が適切であることを示すためのフレームワークのようなものです。端的に言えば、増大して複雑化するデータを、どのように管理して、どのような仕組みでコントロールし、活用するのかを定めることです。データガバナンスの代表的なユースケースとして、データ分析の効率化、AIや機械学習に代表されるデータ・インテリジェンス、その他GDPR (一般データ保護規則)など法規制の遵守、ビジネス価値を生み出すためのデータ・マーケットプレイスなどが挙がります。

 データガバナンスは、何らかのツールやソリューションの導入をすれば実現するものではありません。プライバシーや情報セキュリティのポリシー、データを保管する際の仕組みや取り決めなど、企業内での取り組みを併せて行うことが重要です。

三好 データガバナンスを導入する際には、どのような取り組みが求められるのですか。

吉田 「組織構造の見直し」「各種ポリシーの策定」「各種プロセスの見直し」「リスクとコンプライアンス管理導入」など様々な視点からのアプローチがあります(図2)。Talendでは、「データのカタログ化」「データ所有者の定義」、データをきれいにまとめる「データ品質の管理」、クラウドとオンプレミスの間を分け隔てなく最適配置する「データポータビリティの実現」に向けたソリューションを提供して、こうした取り組みを支援します。

データガバナンス導入に必要なアプローチ
データガバナンス導入に必要なアプローチ
図2 データガバナンス導入に必要なアプローチ
データガバナンスとは、データを作成、消費、管理、分析する際に、その行動が適切であることを示すためのフレームワークである。効果的に実践するためには、企業内での取り組み(紺色のアイコン)と、取り組みを支援するツールの活用(緑色のアイコン)の両方が求められる

 例えば、データのカタログ化を支援するソリューションとして、「Talend Data Catalog」を提供しています。これは社内で保有する全データを管理する辞書のようなものであり、業務プロセスで生まれる全データの履歴を検索することが可能で、川下から川上へとさかのぼってデータの出どころを探ることができます。

三好 「Talend Data Catalog」は、データマネジメント基盤の中でどのような役割を果たしているのでしょうか。

吉田 データガバナンスを担うソリューションの一つとして位置づけられています。企業内ではERP(統合基幹業務システム)などの様々なツールによって日々データが生み出され、それをフロントエンドのユーザーが活用したり、蓄積したりしています。「Talend Data Catalog」を使えば、どこにどのようなデータがあって、どのように流れ、誰が所有しているのかを表示し、確認することができます。さらに、役職や部門、担当者の状況に応じてデータの一部公開や全公開、非公開といったアクセス制御も設定可能です。ユーザー企業のポリシーに沿ったデータのあり方や確認方法、表示の仕方などを使い分けることができるのです。

効果的データマネジメントで新薬開発を迅速化したアストラゼネカ社

三好 ソリューションの活用事例をご紹介いただけますか。

吉田 製薬会社のアストラゼネカ社では、データマネジメントとデータガバナンスを実践するために、Talendのソリューションを採用しています。現在同社は、ジェネリック薬との価格競合やM&Aを推し進めていく中で、グローバルな拠点展開に注力しています。その際、各拠点で生み出されるデータが独自仕様になっていたり、本社での確認ができなくなっていたりするなどの問題が発生し、各拠点のERPからデータを集めて連結会計をする際には長い時間を要していたそうです。

 そこで、Talendは、データを統合するソリューションと「Talend Data Catalog」を提案し、すべてのデータを俯瞰的に見る環境の構築を支援しました。CRM(顧客管理システム)やERPなど各種システムからデータを抽出してデータレイクに一元化し、それらのデータをユーザーが自由に検索、確認、分析へと活用できるようになりました。そのため、社内にある90%のデータを3分以内に探せるようになったそうです。

 データを活用する際には、求めるデータを探し、分析をかける必要があります。今までは、データの準備にかなりの時間がかかり、分析業務に費やす時間が短くなってしまっていました。その時間を短縮することで、同社は年間10億米ドルのコストを削減できたといいます。さらには新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンをはじめとする新薬の試験期間の短縮を実現できたそうです。

三好 データを集め、その中から付加価値を生み出す情報を抽出する作業は、DXの基本となるものです。そこの迅速化・明確化はDXの効果向上に大いに役立ちそうですね。

吉田 DXそのものの重要性については広く知られていますが、まず具体的に何から手を付けたら良いのか分かりにくい面があります。アストラゼネカ社はまだ道半ばと言っているそうですが、適切な第一歩を踏み出した成功事例として挙げられると思います。

三好 現在の日本企業をご覧になって、データマネジメントやデータガバナンスに関連した取り組み状況をどのように見ていますか。

吉田 日々、製造業のお客様とお話しする機会があるのですが、データマネジメントとデータガバナンスへの関心はとても高いと感じています。ただし、各企業の取り組み状況や体制の整備については、これからといった印象です。それでも、業務の正確性や分析の効果が高まる点に注目し、ビジネスでの付加価値向上につながる取り組みを目指してデータマネジメントやデータガバナンスに着手しようとする企業は着実に増えています。

 データマネジメントとデータガバナンスに関連した取り組みは継続的に行うことが重要です。Talendでは、取り組みの範囲や利用シーンが広がっても追加費用が不要なライセンスモデルを採用していますので、じっくり安心して取り組むことができます。

 データの収集・処理・分析は、DXを進めていく上で最も基本となる作業である。これらの作業での効率化や効果の向上は、DXの取り組み全体の成否にも影響する要因となることだろう。

 Talendの吉田氏が話すように、データマネジメントやデータガバナンスの実践は、ツールの導入さえすれば実現するというわけではない。DXを実践する現場やデータを活用する部署の業務改革も必要だ。まずは取り組みに着手し、現場や部署に根差すまで、PDCAサイクル(計画<Plan>を実行<Do>し、評価<Check>して改善<Act>に結びつけ、その結果を次の計画に生かすプロセス)を回しながらじっくりと取り組むことが重要になるだろう。そうした継続的取り組みを進める中で、課題解決するソリューションと魅力的なライセンスモデルを持つTalendは、頼れるパートナーとなるはずだ。

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