DTTF2020 -Digital Twin & Tranceformation Forum- on Web Review

開催日時:2020年9月23日水)13:00〜17:00

ーDXはもう待ったなし。
押し寄せるニューノーマルの波を
乗り切るためにー

アビームコンサルティング 執行役員 プリンシパル P&T Digital ビジネスユニット IoTセクター長 橘 知志 氏

ものづくり」ら発信する
未来とは?

~製造DXをバックキャストで考え
デザインする~

アビームコンサルティング

執行役員 プリンシパル
P&T Digital ビジネスユニット IoTセクター長

橘 知志

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アビームコンサルティングは13の国と地域に29の拠点を有し、従業員数6646人を抱えるグローバルなコンサルティング会社だ。産官学連携、技術連携、海外連携などでさまざまなパートナーと協力しながら、製造業を中心に企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援している。製造業のDXは、現場の改善からスタートし、バリューチェーンの再構築や製品サービスの拡充を経てビジネスモデルの変革へと至る。そのロードマップについて、同社の橘氏が詳しく解説した。

製造業のDXは業界ごとのパターンで
見るとわかりやすい

「産業の変化や社会課題、技術革新などの影響により、DXの課題も年々変化しています。バリューチェーンの変革や顧客理解の徹底、設計から量産化までの期間短縮など、さまざまな課題を解決する必要があります」とアビームコンサルティングの橘氏は冒頭で語った。

また、昨今の新型コロナウイルスの影響がDXをさらに加速し、人の移動が制限されたことで、リモートワークが進み、人の代わりにモノを動かすようになった。そこで、グローバル化と地産地消のバランスをどう取るかなど、新たな課題も生まれている。

「いま、製造部門ではDX推進へのプレッシャーの中で、現場の改善以外に何をすればよいかわからなくなってしまっているケースが少なくありません」(橘氏)

非連続な未来像をどう描けばよいのか。工場のプロフィットセンター化と言われても、どうすればよいのか。複数の課題に直面し、さまざまな方向からプレッシャーを受けている中、多くの企業のDXを支援してきた経験から橘氏は次のように語る。

「製造分野のDXには業界ごとに特徴的なパターンがあります。ものづくりのサービス化に始まり、製造コストの最小化、リモート対応、顧客ニーズを吸い上げる場である『魅せる工場』の構築などです。当社では、こうしたパターンをお客様に紹介し、自社に関連するパターンはないか、どのように組み合わせれば成功へ近づけるかなどを検討していきます」

具体的な選択肢を得ることで、各社各様のDXへの取り組み方が見えてくるのだという。

DXを成功へ導くフレームワーク
Industrial DX Journey」

同社には、製造業のDXを成功へと導く「Industrial DX Journey」という独自のフレームワークがある。

製造業のDXは、まず図の左下の「現場改善」からスタートする。これは「現在を創造する」ことを意味し、製造現場の改善を考え、現場のデジタル化を進め、必要なデータ収集を開始。そしてここから右上の「ビジネスモデル変革」を目指していくという流れだ。

例えば、デジタルデータと人工知能(AI)による新たな改善活動、設備状態や製品品質を把握するための状況の見える化、ダウンタイム削減による生産性の向上などが考えられる。

Industrial DX Journey

製造業のDXを成功へ導くIndustrial DX Journey。現在から未来へ向かうには大きく2つの道がある。

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また、匠(たくみ)の技能や技術の継承、従業員のコンディションの把握と最適配置によるパフォーマンスの改善、工場におけるリモートワークの推進や、階層別のKPIマネジメントなども重要だ。加えて同社では設備の挙動データに基づく遠隔監視や移動復帰、予知保全などによって、メンテナンスコストを削減したり、人員配置の最適化なども行っている。

こうして現場の改善をある程度進めると、そこからゴールへ至る道は、図の矢印で示すように、左回りと右回りのルートがある。

左回りなら、デジタルバリューチェーンの変革を進め、デジタルビジネス基盤(事業を支えるプラットフォーム)の構築を経てビジネスモデルの変革に至る。

右回りなら、製造現場のデジタル化によって得たさまざまなデータを製品やサービスの拡充に活用し、プロダクトの変革を推進。そこから、ビジネスモデルの変革を目指す。

図の中心部にある「未来の課題(産業変化、社会変化、技術変化)」は、机上の空論ではない未来像を描くために、産業、社会、技術の3つの変化を制約事項として検討することを意味している。

橘氏は「不確定要素が多い中で、未来をどう描くか。さまざまな社会課題や産業の変化、国のルールや規制、環境の変化などを前提として5~10年先の未来像を考えています。例えば、スーパーシティやスマートモビリティ、未来工場、サーキュラーエコノミーなどです。未来像をきちんと構想したうえでDXの方向性を見極めることが大切です」と語る。

DXを継続的な活動へと進化させる
DX Activity Circulation」

DXの取り組みを継続的に進めていくと、最終的には下図のような状態になる。同社では、これを「DX Activity Circulation」と呼んでいる。

DX Activity Circulation

DXがうまく回り始めると、このようなサイクルが形成される。どこの地点から始めてもよい。

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図の左側のグループが「企業・組織の構造変革」、右側が「産業・事業の構造変革」だ。この2つをカバーする大きな流れを作っていく。

この中にある項目は、すべてDXに必要な項目で、どこから始めてもよいという。

例えば、左上にある「DX成熟度アセスメント」から始める企業は多い。まず自社のDXがどのレベルにあるかをチェックし、現状を把握する。

その後、「人材育成や研修のプログラムデザイン」に進む企業もあれば、「企画やアイデアの創出」に進む場合もある。「未来のDX構想」に着手する企業もある。

「どちらにしても、『DX成熟度アセスメント』によって立ち位置を知り、そこから最も必要性の高い取り組みに進んでいく点は同じです。未来を構想し、シナリオを作る。ロードマップを作成し、実行へと移す。実行したら客観的な指標によって評価し、必要に応じて修正していきます」と橘氏は説明する。

図の左下にある「DX実績の方法論化・スキル体系化・知財化」も重要なプロセスだ。DXによって得られた知見やデータの活用を方法論化し、知財化して事業展開、他部門展開などにつなげていく。DXの成果は蓄積可能でなければならないし、技術継承の対象となるよう体系化すべきだ。

ひと通り活動したら、再び自社の立ち位置を確かめるために「DX成熟度アセスメント」に戻ってくる。スタート位置がどこだったとしても、こうしたサイクルを描けていれば、DXの活動は継続可能なものになる。

以上が、ものづくり起点で未来を構想するためのフレームワークだ。最後に橘氏は「製造業におけるDXのポイントとは、『手触り感のある経験』を積み上げることです。経営と現場の乖離(かいり)、組織の壁が生まれがちな製造業でこそ、ものづくりの現場も巻き込んで進める活動が有効です」と説く。

アビームコンサルティングはこれに関連するソリューションとして、「DX成熟度アセスメント」「未来DX構想」など幅広いラインアップを有している。「当社の豊富な実績・実例と、幅広いDXソリューションを通して、お客様の取り組みをご支援していきたい」と語り講演を締めくくった。

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