DTTF2020 -Digital Twin & Tranceformation Forum- on Web Review

開催日時:2020年9月23日水)13:00〜17:00

ーDXはもう待ったなし。
押し寄せるニューノーマルの波を
乗り切るためにー

マクニカ インダストリアルソリューション事業部 事業部長 阿部 幸太 氏

ものづくりにおける経営と
現場をつなぐデジタルツインとは?

~DXプロジェクトが抱える
根本的課題とその解決策~

マクニカ

インダストリアルソリューション事業部 事業部長

阿部 幸太

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デジタルトランスフォーメーション(DX)が進まない原因の1つは、経営陣や関係各部署のコンセンサスが取れないこと。その壁を越えるためには、デジタルツインを用いたシミュレーションの活用が効果的になる。DXの活動においてそうしたシミュレーションは地図とコンパスの役割を果たし、これを経営層や関係各部署と共有することで、DXの取り組みは格段にスムーズになる。本講演ではその様々な効果を事例を交えて解説した。

年々増加するDX推進の責任者の負担

「当社はデジタルトランスフォーメーション(DX)に関わるプロジェクトを、6年間で260件ほど支援してきました」と最初に語るのは講演者であるマクニカの阿部氏。
その約半数が、製造業の現場における人手不足や品質向上などの課題解決であり、残りの半数は、工場で使われる工作機械など装置・機器自体にAI/IoTの機能を付加する開発の支援だという。機械装置の機能・構造と、それを利用するユーザーの両方を理解していることがマクニカの強みである。

「製造現場の課題解決については、その約40%が自動車関係、次いで化学/素材、半導体や電子部品などです。最近は新型コロナウイルスの影響からか、食品加工や日用品製造などの企業から相談が増えています」と阿部氏は述べる。
DXの必要性に対する認識は、ここ数年でかなりの広がりをみせ、どこの経営陣もDXの必要性を認識し中期経営計画などに取り入れている。複数部門から抜擢されたDXの専門組織やプロジェクトチームがあり、コロナ禍もDXの推進を後押ししているが、その半面、DX計画の稟議やプロジェクトの期限、スピードなどに対する要求は厳しくなっている。その結果、DXのプロジェクトを推進する責任者やチームの負担が激増している事実があるのだ。

難解なDXをデジタルツインでわかりやすく

DXの基本的な問題は「難易度が高すぎること」、阿部氏はそう説明する。
多くの企業において、DXは“不確実なビジネス環境でも、安定的に利益を出したい”という問題意識からスタートする。
それをブレイクダウンすると、生産性の改善や品質向上などの課題が出てくる。それをさらにブレイクダウンすると、労働生産性の向上や納期改善、歩留まりの改善などといった課題に行き着くというのだ。
そして最終的なDXのテーマとしては、レイアウトや人流の最適化、生産計画の最適化、属人化の解消、予実管理、トレーサビリティの強化などに定まっていく。
「テーマごとにデジタルテクノロジーを当てはめていき、活動の骨格と見積もりを作ります。次にこれを稟議に通し、関連する現場や部門の関係者を説得してプロジェクトを決定へと持っていきます。スケジュールが決まれば、プロジェクトのマネジメントに奔走しなければならず、プロジェクトの担当者はこれだけの仕事と責任を負わされているのです。難易度が高すぎると申し上げたのは、そういう意味です」(阿部氏)

そこで実現に向けて有効に活用できるのが、デジタルツインだ。阿部氏は次の事例について説明した。

「3年ほど前、ある産業機械メーカーのプロジェクトで、初めてデジタルツインによるシミュレーションを活用しました。ある日、その会社の担当役員や関係者を集めた報告会がありました。そこでシミュレーターを使って状況を説明したのです。実際の工場を、コンピューター上にデジタルツインとして再現し、仕掛品や素材がどう流れ、どこに滞留しているのか。どこにどのようなニーズが発生し、スループットがどうなるかといったコンセプトを、CGでビジュアルに見せました。シミュレーションの精度はそれほど高くありませんでしたが、課題を共有するには十分でした」(阿部氏)

現実を理解し始めた経営層から、徐々に質問や意見が飛び出し、活発な議論が始まったという。そして“まずは在庫の解消から取り組む”という方針に、全員が同意した。
「その日を境に、会社の雰囲気は一変しました」。そう阿部氏は語る。

今までDXチームを中心に関連部署と個別に連絡する状態だったが、DXチームの方針に皆が納得したことによりDXチーム・経営層・関連部署が三位一体に動き出し、自発的なコミュニケーションが始まった結果、目標に向かってプロジェクトが一気に進み出したという。

「DXは、難しいから進まない。でもデジタルツインを実現するための重要な要素であるシミュレーションを行い、どのような施策がどのように課題を解決し、最終的な姿はこうなる、といったことを分かりやすく共有すると、組織の流れは大きく変わります。この経験以降、私たちはプロジェクトの最初にシミュレーションを提案することが増えました。どの企業でもシミュレーションから始めると、プロジェクトが進みやすくなります。お客様にも大きなメリットを感じてもらっています」(阿部氏)

シミュレーターが果たした絶大な効果

シミュレーターで課題をビジュアルに共有し、早い段階で関係者全員の認識が一致。DXチーム、経営層、関連部署が三位一体となり、プロジェクトは一気に進み出す。

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コツは大まかな傾向把握から
徐々に精度を上げること

シミュレーターは、DXプロジェクトの地図とコンパスだ。早い段階で経営層や関連部署との間で合意を取れば、プロジェクトは大きく進み出す。
阿部氏はデジタルツイン活用の基本を「粗く始めて徐々に精度を上げていくこと」に尽きると述べる。

く進捗しやすいやり方

シミュレーションは70~80%の精度で始め、まず全体像の把握を急ぐ。精度は必要に応じて徐々に上げていけばよい。

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「まず第1ステップでは、70~80%の精度で工程や工場を大まかに再現するシミュレーションモデルを作り、全体像の把握に努めます。大まかな傾向を把握できたら、第2ステップとして課題を設定し、優先順位を決め、合理的な投資判断をするためのたたき台を作ります。第3ステップでは、実用に向けて必要な分だけ徐々にデジタルツインの精度を上げていきます。そこで作成したモデルを、他の領域にも水平展開していきます」(阿部氏)

ここで重要なのは、第1ステップと第2ステップをいかに早く、低コストで、顧客の工数負担少なく実現するかに尽きる。100%の精度は必要なく、そこにコストと工数をかけないことがなによりも肝心と阿部氏は言及した。シミュレーターを様々な場面で有効活用してもらうことで、プロジェクトのROIが高まっていくため、同社ではシミュレーターをいかに容易に使ってもらえるかにもこだわって支援しているという。

「お客様自身で自由にモデルを開発し、容易にカスタマイズできるように、当社独自のライブラリと技術サポートを提供しています。ぜひお気軽にご相談ください」。阿部氏は最後にこの言葉を視聴者に呼びかけ講演を締めくくった。

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