ニューノーマル時代の新しい働き方 人、組織、HCM、テレワークを考える ニューノーマル時代の新しい働き方 人、組織、HCM、テレワークを考える 働き方イノベーションForum2020 Online Seminar Review

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基調講演

経済産業省

Society5.0」時代の働き方
Afterコロナを見据えた、組織の本質的なDXとは

Society5.0」の実現に向けDX推進政策は第2章へ
経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 課長補佐(総括) 出光 啓祐 氏

経済産業省

商務情報政策局 情報経済課
課長補佐(総括)

出光 啓祐

基調講演では、まず出光氏がDXとは何かを解説した。宮崎大学医学部の看護師の例を挙げ、

・単にカルテを電子化するのは、「Digitization(デジタイゼーション)」

・QRコードとスマホでカルテへの自動入力を実現し、残業を減らすのは、「Digitalization(デジタライゼーション)」

・業務用のSNSを実装して、看護師と医師がリアルタイムにやりとりできるようにするのは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション=DX)」

とした上で、「サービスレベルの向上・経営改善・働き方改革を同時に達成する、業務横断的な進化こそDXです」。そう出光氏は述べる。

DXは、付加価値をどのように生み出して競争に勝っていくかを考えなければ実現できない。「コロナへの対応で、付加価値の生み出し方が変化する中、変化を先取りする必要があります」(出光氏)

政府が提唱する「Society5.0」の実現に向け、DXの推進政策は第2章に入った。「産業・企業ごとに分断されていたデジタルインフラを連携させ、新しい産業を生み出し、個人が安心・安全にデータを流通できる基盤が求められています」(出光氏)

このため、Society5.0へ向けたデジタル社会基盤を整備すべく、産官学の知恵を結集する中立的な場(デジタルアーキテクチャ・デザインセンター)を設立したという。「Society5.0の世界観を具体的にイメージしながら、そこから逆算してデジタル市場の基盤整備を進めていきます」(出光氏)

出光氏はアフターコロナを見据え、組織が本質的なDXを進められるよう、政府は様々な施策を進めていくと最後に語った。

基調講演

一般社団法人社会的健康戦略研究所
/ 富士通ゼネラル

健康、ウェルビーイングからはじまる
VUCA時代の働き方の未来

アフターコロナは健康経営が経営戦略の中核に
一般社団法人社会的健康戦略研究所 代表理事 フジクラ健康社会研究所 代表取締役 CEO 浅野 健一郎 氏

一般社団法人
社会的健康戦略研究所

代表理事
フジクラ健康社会研究所
代表取締役 CEO

浅野 健一郎

講演の冒頭、浅野氏はコロナ禍で社会が大きく変化していること、「何年ぶり」や「史上初」と言われる異常気象や災害、大地震などが多発していることなどについて視聴者と共有した。「いわゆるVUCA(変動制・不確実性・複雑性・曖昧性)により、ビジネス環境の未来を見通すことが難しくなりました。これをニューノーマルと捉え、対応していかなければなりません」(浅野氏)

一方で社会保障費の高騰(年金・医療費・介護負担)、人口年齢構成と総人口の変化(少子高齢・人口減少)、社会の持続可能性の脅威(SDGs・ESG・グリーンリカバリー)、経済活動の主体の変化(Society5.0・経済発展と社会課題解決の両立)など、社会的な変化も進んでいる。

佐藤氏は「コロナ禍により、この1年で10年分の変化をもたらした」と話す。「一人ひとりの健康や価値観が変化しつつあり、『幸福感(Well Being)』という新たな価値観の下で経営陣が従業員と一体になって基盤作りを進めることが必要です」と、佐藤氏は訴える。

富士通ゼネラル サスティナビリティ推進本部 健康経営推進部 部長 人事統括部 主席部長 佐藤 光弘 氏

富士通ゼネラル

サスティナビリティ推進本部
健康経営推進部 部長
人事統括部 主席部長

佐藤 光弘

企業にとって人材は資本であり、その健康状態いかんで競争力が左右される時代に入った。これまでの健康経営は「健康管理」という意味合いが強かったが、今日の健康経営は経営戦略のためのツールとなる。健康とは「病気ではない」という意味ではなく、身体的・精神的・社会的に、すべてが満たされた状態にあることだと世界保健機関(WHO)も定義している。

富士通ゼネラルでは、3年前に発表した中期事業計画で「人を思い活かす経営」を掲げた。企業の基盤は人材であり、健康経営こそが経営戦略の中核になることを確認している。

従業員エンゲージメントが企業競争力を左右する時代において、HRテクノロジーの活用が急務だ。「また働き方改革を語るには、まず自社にとっての理想についてしっかりと議論する必要があります。理想を実現するための働き方改革であることを忘れてはなりません」。この言葉で浅野氏が対談を締めくくった。

特別講演

ニトリホールディングス
/ ブライトンパートナーズ

ニトリが考える社員のEmployee Journey
HR Techの未来形はどこにある?

個人の成長をいかに組織の成長につなげていくかが課題
ニトリホールディングス 理事 / 組織開発室室長 永島 寛之 氏

ニトリホールディングス

理事 / 組織開発室室長

永島 寛之

ニトリの組織論について、今回はブライトンパートナーズの鈴木氏が聞き出す形式で講演が行われた。冒頭、永島氏はドラッカーの「経営への5つの質問」を取り上げ、その中で「顧客は誰か」と「顧客にとっての価値は何か」の2つを意識することの重要性を説いた。「人事にとっての顧客は誰かといえば、それは従業員です。人事の仕事とは『従業員一人ひとりのジャーニーをいかにデザインできるか』です」と定義する。

「1対多」だった人事と従業員の関係性は、HRテクノロジーの進化によって「1対1」が可能となり、人事は従業員一人ひとりのキャリアと向き合えるようになった。そこで重要になるのは、適応課題と技術的問題を分けて考えることだという。

適応課題とは、組織開発や人材開発など、企業戦略を達成するためにどのような組織作りが必要かという本質的な課題だ。一方、技術的問題とはそれを解決するためのテクノロジー、すなわち手段である。ニトリは何のために存在し、その企業理念は何か。その課題から出発し、その実現のためにHRテクノロジーを活用するという順番でなければならない。

ブライトンパートナーズ 代表取締役 インナーブランディング研究協会(IBRA) 会長兼Founder 鈴木 誠一郎 氏

ブライトンパートナーズ

代表取締役
インナーブランディング研究協会
(IBRA)
会長兼Founder

鈴木 誠一郎

ニトリは33期連続で増収増益を続け、売上高はおよそ6400億円。これを2032年までに3兆円にするという中長期計画を掲げている。ニトリのコアコンピタンスは店舗や商品の優位性ではなく、それを生み出すビジネスモデルにある。このビジネスモデルを発展させ、中長期計画を実現するには、多数精鋭型のメンバーシップ組織になるしかない。そのコンセプトの下で、新しい人材の採用に力を入れている。

多数のインターンシップや50人の専任リクルーターを活用し、求職者の満足度向上に努力している。「採用後も社員の自律心を育てるために、全社員が3年に1回の異動を続けています。個人の成長をいかに組織の成長につなげていくかが最も重要なテーマです」と永島氏は述べる。

鈴木氏は話を引き継ぎ「今あらゆるところで飛び交う『ニューノーマル』や『DX』などの言葉に乗って流行にのみ込まれ、目的も不明確なまま『うちも早くデジタル化を進めなければ!』と思っていませんか」と語りかける。デジタル化は必ずしも新たな課題ではなく、コロナ禍によってそれへの対応が「加速化」したということだ。

「志は人にしか持ちえない。人を中心に課題を捉え、その解決手段としてテクノロジーを活用することが重要です。人事の皆さんが人の成長と組織の成長をつなげ、社会的生命体としての企業を成長させて世の中に貢献する。まさに人事は企業活動の基盤だといえます。本日の永島さんのお話で、さらに確信を強く持ちました」と鈴木氏は最後に述べ、講演をまとめた。

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