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部分最適化されたクラウド導入が全社的なデータ活用、DX推進を妨げる。その解決策の最前線とは?部分最適化されたクラウド導入が全社的なデータ活用、DX推進を妨げる。その解決策の最前線とは?

企業が生き残りをかけ、クラウドの活用でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する動きが国内で広がっている。だが、部分最適化されたクラウドの導入が、むしろDXを阻んでいる例が少なくなく、変革に向けては課題が山積している。データ活用の側面からDXを支える豊富な実績を持つクラウドデータ分析プラットフォームを提供するテラデータは、データ分析プラットフォームのアーキテクチャから熟考しなければ、DXは成功しないと説く。その真意について解き明かしていく。

DXの成功を左右するデータ統合の
アーキテクチャ像を描く

改めて言うまでもなく、DXとは、「デジタル」でビジネスモデルや業務プロセスなどを「変革(トランスフォーム)」することである。だが、日本企業の場合、デジタル化のアプローチは進んでいても、それが思うように変革に結び付いていないケースが多いようだ。

その大きな原因の一つと言えるのが、安易なクラウドサービスの導入であろう。導入しやすく、スピーディーに稼働するクラウドサービスは、本番稼働という形ある状態にすぐに持っていきやすい。それ自体は決して悪いことではないが、各部門が個別にクラウドを積極導入することで部分最適化が進み、データのサイロ化が必ず発生する。そして、企業内のデータ活用の全体最適化が妨げられるというジレンマを抱えやすくなるのだ。これがDXを妨げる大きな要因となりやすい。

そもそも、なぜDXの推進には全社的なデータ統合が不可欠なのか。理由は投げかけられるビジネスクエスチョンの数にあると、テラデータは説明する。

データは組み合わせるほど多くの「答え」を獲得
受注データのみから得られるビジネスクエスチョンの「答え」が150ある場合、ほかの様々なデータを組み合わせた場合の得られる「答え」の総数は、それぞれの単純な合計数ではなく、2000を超えるという

テラデータは40年以上にわたり、大手企業のデータ活用を支えてきた米国のソフトウエア企業だ。同社は、コンサルティングサービスにも注力しており、その中で得た知見を体系立てて整理している。ビジネスクエスチョンとは、ビジネス上の意思決定を行うために「答え」が欲しい問いのことだ。

例えば上図の通り、受注データだけを分析すると、「今、どれだけの受注を抱えているのか」など150のビジネスクエスチョンに対する答えを得ることができるという。しかし、在庫データや需要データ、経理データなど、様々なデータと組み合わせ分析することで、「どの受注の利益率が高いのか」「需要に応じた在庫の最適数はいくつか」など 2000を超える「答え」を獲得でき、より広範囲なビジネス課題の解決につながる。DXで真の変革を目指すには、データをいかに統合し、分析し、活用できる環境を整えるかが重要なのだ。

テラデータは、全社共通データ基盤と言える、大規模データ分析プラットフォームを実現するクラウドソフトウエア「Teradata Vantage」を提供している。DWH(データウエアハウス)やデータレイクを提供するクラウドサービスはほかにもあるが、全体最適化のためのアーキテクチャを描いた上で、それに合ったプラットフォームを提供できるプロバイダーは同社以外にはないという。

「例えるなら、ほかのプロバイダーは、個別部門ごとに仕様も大きさも異なる建売住宅を建てるようなものですが、テラデータは、全社におけるデータ統合・分析の方向性や将来性に沿って、それらを包括する1つの大きな建屋をつくるのです」と説明するのは、クラウド・アーキテクチャ・リードを務める藪公子氏である。

藪 公子氏
日本テラデータのクラウドビジネス強化における、リファレンス・アーキテクチャ策定の責任者。将来を見据えたデータ活用の概念や目的などのコンサルティングを通し、企業のデータ統合・分析基盤の構築を支援する

具体的なアーキテクチャづくりのアプローチとして、まずは「アーキテクチャ・フレームワーク」(下図参照)を使い、顧客が目指すビジネスの方向性や目標を確かめていくという。そこから、目標達成のためにはどのようなデータの収集・分析が必要で、そのためにはどのようなアプリケーションやシステムを構築すべきなのかを決めていく。

アーキテクチャ・フレームワーク
テラデータが提唱する「アーキテクチャ・フレームワーク」。ビジネスでの目標を出発点とし、その目標を達成するには、どんなデータ、アプリケーション、システムが必要なのかを考える

まずシステムありきでデータ統合・分析プラットフォームを構築する企業は少なくない。だが、そのシステムの活用目的から入らなければ、その投資は無駄な投資になってしまう可能性が非常に高く、システムとビジネスの不整合によってDXで目指す変革を起こせなくなる恐れもある。出発点を間違えず、ビジネスの目標からアーキテクチャを描いていくことが何よりも重要だろう。

では、具体的なアーキテクチャは、どうすべきなのだろうか。ここにもテラデータは、「リファレンス・アーキテクチャ」という独自のノウハウを持っているという。次ページでは、将来性までを見据えたクラウドにおけるデータ統合・分析の実装について、具体的なアプローチに迫る。

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