日経クロステック Special

48Vフル活用、BMS無線化、パワー半導体削減 一歩進んだクルマの電動化3つの技術領域でTIが起こすイノベーション

クルマの電動化は、厳しさを増す排ガス削減規制を遵守するため避けて通れない開発テーマである。目標値をクリアするための技術的ハードルは高く、パワーエレクトロニクス関連の車載システムに新たな発想からの技術が必要になっている。チャレンジすべき困難な課題の解決に向けて、米テキサス・インスツルメンツ(TI)は、3つの技術領域でイノベーションを起こそうとしている。
テキサス・インスツルメンツ・インコーポレイテッド
オートモーティブ・システム事業
パワートレイン部門
ジェネラル・マネージャ
カール・ハインツ・スタインメッツ

 自動車業界が現在取り組むべき技術開発のテーマは膨大であり、しかも実現すべき技術のハードルは上がり続けている。特に各国・地域の排ガス削減目標は年々厳しさを増し、OEMはそれを確実にクリアしていかないとクルマを販売できない状況。ゼロエミッションを目指したクルマの電動化の推進が必要不可欠になっている(図1)。目標を達成するためには、高効率なモーターの駆動、電力変換、バッテリー制御など、パワーエレクトロニクス関連システムを、着実に進化させていく必要がある。

図1 ゼロエミッションを目指すクルマの電動化のロードマップ
図1│ゼロエミッションを目指すクルマの電動化のロードマップ
ゼロエミッションへの道は大きく5段階に分けることができる。①アイドリング・ストップに対応するマイクロ・ハイブリッド、②48V駆動のモーターを搭載したマイルド・ハイブリッド、③回生電力を活用するフルスペック・ハイブリッド(HEV)、④再充電が可能なプラグイン・ハイブリッド(PHEV)、そして⑤完全モーター駆動の電気自動車(EV)へと、電動化の度合いを高めていく。

 しかし、OEMやティア1は、自動運転やコネクテッドなどの分野でも技術革新が求められており、電動化に関連した技術を、システム中の回路の子細まで自社開発する余裕はない。それぞれの分野で専門的なシステム技術を持つ企業の力を借りて、イノベーションを創出していかなければ、思い描くクルマのビジョンの実現や課題解決ができない。

システム提案こそTIの存在意義

 数ある半導体メーカーの中で、価値あるシステム・ソリューションを提供するサプライヤーとして、特に自動車業界から高い評価を得ている半導体メーカーがTIである。

 同社は、車載対応のアナログ製品や組み込み製品を約7000種(車載専用は2500種)保有し、毎年500種の車載用ICを新規開発し続けている。そして、自動車業界の将来ビジョンや技術トレンドを見据えながら、新たな価値を持ち、困難な課題を解決できるシステム・ソリューションを開発・提供している。特にクルマの電動化の領域では、150種類の電動化関連サブシステムに向けて、350種類以上のリファレンス・デザインを用意。それらはすべて厳正なテストを経て動作と安全性を確認し、IATF、ISI、OHSAS認証などの厳格な品質要件の規格に適応したものだ。

 「現在当社では、①電源システムの48V化によるエネルギー効率向上、②バッテリー制御システム(BMS)の革新、③パワートレインの制御の集積化という3つの領域に注目し、それぞれ新たな価値を持つシステム・ソリューションを開発・提供しています。これらは、一歩進んだクルマの電動化を実現するイノベーションとなることでしょう」と同社のパワートレイン部門を統括するカール・ハインツ・スタインメッツ氏は語る。ここからは、その概要について紹介したい。