特別トップインタビュー
激動をチャンスに変える2021年
ウィンボンド・エレクトロニクス

デジタル化社会に不可欠なメモリーを安定供給

新製品投入と生産増強で
市場拡大と需要増に対応
供給責任を果たす

ウィンボンド・エレクトロニクス
代表取締役社長

小林 平治

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クルマは半導体の塊となり、IoTやウェアラブルなど電子機器の利用シーンを増やす市場も広がってきた。さらに電子機器の中核に置くMCUとメモリーの需要が急激に高まっている。コード格納用メモリーの分野で世界をリードするのがウィンボンド・エレクトロニクスである。2020年7月に同社日本法人代表取締役社長に就任した小林平治氏に事業状況と展望を聞いた。

貴社の強みをお聞かせください。

小林 ウィンボンドは、NOR型やSLC NAND型のフラッシュメモリー、さらにはDRAMを展開する、低・中容量領域に特化したメモリー専業の半導体メーカーです。チップの設計からプロセス開発、自社工場での製造、さらには販売まで一貫して自社で行う、いわゆるIDM(垂直統合型デバイスメーカー)です。

 当社が供給するNOR型は、メモリーカードなどで用いられる大容量のNAND型とは異なり、電子機器を動作させるプログラムのコードの格納に使われます。アプリケーションは、パソコンやスマートフォンはもとより、テレビなどの家電製品や産業機器、自動車まで広範です。コードの格納に使われるシリアルNOR型のシェアでは市場をリードしているため、世界中の誰もが当社製品を搭載した何らかの応用機器を使っているのではないでしょうか。

日本では、どのような市場に向けてチップを供給しているのですか。

小林 日本市場ではとくに車載機器向けの割合が大きくなっています。長期にわたって高信頼・高品質なチップの安定供給が求められるため、自社工場で製造する当社の強みを発揮できる分野です。また、新横浜にはフラッシュとDRAMの設計に携わるエンジニアが多数常駐しているので、故障解析や対処などにエンジニアが直接対応し、迅速に解決できます。車載用に限らず、我々のメモリー製品群は、お客様の応用機器ごとに動作条件が変わり、カスタム対応が求められる場合もありますが、的確に応えられる体制を整えています。

需要は底を脱し一転タイトに

2020年は極めて特異な年でした。ビジネスの状況はいかがでしたか。

小林 当社も少なからず影響を受けました。ただし幸いにも、生産拠点がコロナ禍の影響が軽微だった台湾の台中にあるため、生産面での影響はほとんどありませんでした。一方、需要面では、お客様の生産拠点や市場が世界中に広がっているため、自動車関連の市場などを中心に減退しました。ただし、外出自粛による巣ごもり需要やリモートワークの拡大といった生活や仕事のスタイルの変化によって需要が伸びたお客様もあります。このため基本的に厳しい状況であることに変わりないですが、売り上げは若干の減少で収まると見ています。

 また米中貿易摩擦の顕在化も、中国本土との取り引きが多い当社は影響を受けました。ただし、単純な需要減ではなく、世界的な視野では当社製品の需要が増える現象も同時に起きました。中国企業が海外から半導体チップを輸入できず、中国本土内のファウンドリーでのロジック生産が増え、その分そこで生産していたNOR型の生産量が減ったからです。

 総じて、現在は急回復の中、短期的には需給バランスがタイトになりつつあります。

今後注力していく製品・応用分野をお聞かせください。

小林 2021年に向けて、2つの新分野への市場開拓に注力していきます。

 1つは、NOR型の用途に活用できる、高速インターフェースを備えたNAND型フラッシュ「OctalNAND Flash」です。NOR型は、構造上、素子の微細化による大容量化が限界に近づいていますが、パソコンや車載機器など多くの電子機器でコードの大規模化が進んでいます。例えば、車載用や産業機器用では512Mビット以上の容量が求められるようになり、そこにNOR型を使ったのではコスト増を招く可能性が出てきました。一方NAND型は、NOR型に比べ、セルサイズが小さいので、大容量化とビット単価に優位性があります。さらに、書き込み速度が速いというSLC NANDの特徴と、高速な読み出しが可能なOctalインターフェースを他社に先駆けて組み合わせた製品がOctalNANDです。当社のOctalNANDはデータ転送速度を240Mバイト/秒まで高めており、コード格納用に適したフラッシュメモリーです。現在、1Gビット、2Gビット、4Gビットの製品を提供しています。「OTA(Over the Air)」での無線を通じた迅速な車載機器のプログラム書き換えが可能で、機器を生産する際にもプログラムの書き込み時間を短縮できるため、生産性向上に貢献できます。

 もう1つは、小型機器に向けた大容量・高速なRAM「HyperRAM」です。疑似SRAMコアと高度な独自インターフェースで構成することによって、たった13本の信号ピンで第1世代では333Mバイト/秒、第2世代では400 Mバイト/秒と高速なデータ転送を可能にした製品です。現在、32Mビット、64Mビット、128Mビットの製品を提供しており、今後は256Mビット、512Mビットとより大容量の製品を投入していく予定です。また使い勝手に優れたセルフリフレッシュ機能や、さらなる低消費電力化が可能な「Hybrid Sleep Mode」を搭載しています。これらの特徴から、ウェアラブル機器やクラスターなど車載機器などのMCU用外付けメモリーとして最適な製品です。

2021年に向けてさらなる需要増が期待できそうですが、生産体制の増強などの計画はありますか。

小林 現在は300mmウエハー月産6万枚の生産能力を保有しています。新たな市場が続々と生まれ、しかも目下需要はタイトになる方向に向かっていますから、この分野をリードするメーカーとしての供給責任を果たせる生産体制を整えていきます。

 2020年にも、自社工場で月産約4000枚分の生産能力の増強を図りました。加えて台湾南部の高雄県に新工場を建設中で、2022年から最先端DRAMの生産をまず月産1万枚の規模で開始する予定です。そして、台中工場で生産していたDRAMを高雄に移し、空いた分をNOR型やSLC NAND型の生産増に向けて充てます。

最後にメッセージを一言。

小林 ウィンボンドは、自社内で開発、生産、販売を一貫して行なう強みを生かして、中・小容量だが電子機器を動かすために不可欠なメモリーを、必要な仕様で求められる量を確実に供給していく責務を果たしていきたいと考えています。日本には、FAEやQA(品質保証)の担当者など、お客様に向けたきめ細かなサポートを提供できる体制も整えています。今後にご期待ください。

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ウィンボンド SPIフラッシュメモリーのトレンド推移

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ウィンボンド・エレクトロニクス株式会社
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